教養講座
ことばづかいと態度〔1〕
冨田 重雄
1,2
1市川市病院協会
2財団法人化学療法研究所付属病院
pp.45-47
発行日 1960年7月15日
Published Date 1960/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911130
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はしがき
日本占領中のG・H・Qのマニトフ女史は日本に来て数多くの病院で最も邪魔者扱いをされているのは患者であるといつたのは当時有名な話であつた。敗戦後の虚脱状態から脱して奇蹟的に復興をしているわが国の現在の病院の実状は立直つたとはいえ,まだまだ患者本位の病院からはほど遠いものがあることは否定できない事実であろう。この患者本位の病院としての理想に近づけ,ヒポクラテスの誓いにもあるように,人間の生命をその受胎の初めから至上のものとして尊敬する人間性尊重という基本的立場に立つて患者に快適でゆきとどいた看護を実践するためには,物的,人的両面から考えられねばならない。物の面からはけつきよく建物とか設備とか予算との関連におちつくことになろうが,それらを動かすものは人間であることに気がつかねばならない。近時,とかく人間性を没却するかたむきがあつた従来の科学的管理法に加えて人間関係が導入されて,経営ないし労務管理の分野において注目を集めているが,医療関係においてはこの人間関係のことがいわれるようになつたのはまだこと新しいことである。
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