診断と治療 113巻1号 (2025年1月発行)

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特集　胸痛―見逃さない，間違えない診断と専門医紹介のタイミング

ねらい阿古　潤哉 113巻1号 , 2025年1月 , pp.7-7

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　胸痛は非常によくみられる症状でありながら多くの疾患と関連している症状である．緊急性の高いものが鑑別疾患に含まれるために，時には即時の対応が求められるし，時に全く重症でない患者を救急扱いしてしまうことも数多くある．胸痛患者の診察には患者の病歴聴取が特に重要で，その後の診断治療の速度感を大きく左右する重要なステップとなる．

扉 113巻1号 , 2025年1月 , pp.11-11

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胸痛をきたす疾患は，緊急性の高いものもあれば時に肺や消化器の症状であることもあります

総　論

胸痛をきたす疾患陳　文瀚 , 園田　信成 , 野出　孝一 113巻1号 , 2025年1月 , pp.12-15

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・「胸痛」とひと言でいっても多くのニュアンスが含まれており，オープンクエスチョンで正確かつ詳細に話してもらうことが重要である．

・胸痛を主訴とする疾患は胸部臓器だけではなく多岐にわたり，緊急性が高いものが多く含まれている．

・胸痛の診察をする際は，緊急性の高い疾患を鑑別することが大変重要であり，胸痛の性状，発症様式，持続時間が鑑別のポイントとなる．

・胸痛を生じる原因として近年，冠微小循環障害（CMD）の関与が注目され，診断や治療の幅が広がっている．

胸痛患者をみたら：緊急性のある患者を見逃さない

胸痛の診察フロー　緊急を要する胸痛の病歴―これは救急車を考慮品川　弥人 113巻1号 , 2025年1月 , pp.16-21

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・胸痛の鑑別には緊急対応を要する疾患の特徴を意識した病歴聴取が重要である．胸痛の発症時刻と持続時間，痛みの性状，痛む場所，時間帯，悪化要因，随伴症状などを聴取する．

・持続する胸痛では急性冠症候群の鑑別を最優先に行う．問診の時点で疑ったらすぐにバイタルサインと心電図をチェックする．

・循環・呼吸状態の破綻したバイタルサインをみたら，確定診断よりも救急搬送を優先する．

緊急を要する心電図所見小菅　雅美 113巻1号 , 2025年1月 , pp.23-27

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・虚血性ST-T変化のなかで最もリスクが高いのはST上昇である．

・症状から心筋梗塞も疑われるが心電図で診断できない場合に大切なのは “比べること” である．過去の心電図や時間を空けてとり直した心電図と比べることで診断精度は向上する．

・Hyperacute T waveを認めたらST上昇型心筋梗塞（STEMI）として緊急対応が必要である．

・急性冠症候群でaVr誘導のST上昇はST上昇の有無にかかわらず重症虚血を反映し緊急対応が必要である．

緊急を要する胸痛：救急車で転送が必要な場合

急性冠症候群―STEMI― 杉崎　陽一郎 , 大竹　寛雅 113巻1号 , 2025年1月 , pp.29-32

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・胸痛患者が来院した場合，可及的速やかに心電図検査を行い，ST上昇型心筋梗塞（STEMI）の可否を判断する．

・病歴や症状，心電図からSTEMIと暫定診断した時点で経皮的冠動脈インターベンション（PCI）可能施設への搬送を開始する．

・ST低下を見つけた場合は，ST上昇がないか再度心電図を確認する．

・病歴聴取では，いかにその所見が急性冠症候群（ACS）らしい/らしくないのかを考える．

急性冠症候群―NSTEMI，UAP― 正木　亮多 , 新家　俊郎 113巻1号 , 2025年1月 , pp.33-39

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・非ST上昇型急性冠症候群（NSTE-ACS）は，迅速な再灌流療法に重きをおくよりも，初期のリスク評価がより重要であるため入念な問診が必要となる．

・本疾患を疑った場合，心筋バイオマーカーの測定を速やかに行い，陰性の場合でも2度目の測定を躊躇わずに行うべきである．

・リスクスコアが高度であれば，NSTE-ACSであっても緊急もしくは早期の冠動脈造影（CAG）が望ましい．

大動脈解離坂倉　建一 113巻1号 , 2025年1月 , pp.40-44

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・急性大動脈解離（AAD）は激烈な胸背部痛で発症する疾患である．

・Stanford A型大動脈解離は外科手術，Stanford B型大動脈解離は内科的降圧療法が選択されるが，いずれであっても集中治療が必要である．

・AADの診断はCTが最も重要であり，病歴からAADを疑ったらCTが施行な医療機関に救急搬送するべきである．

・AADでは胸部X線では異常を認めないことがある．

肺血栓塞栓症（PE）清水　一寛 113巻1号 , 2025年1月 , pp.45-50

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・肺血栓塞栓症（PE）は，多くの場合，下肢で生じた深部静脈血栓症（DVT）が原因となる．

・息切れや胸痛を契機に診断に至ることが多いが，肺動脈の閉塞の程度によっては，症状が乏しいことや，逆に，循環障害に伴いショックを呈することもある．そのため，本疾患を想定した場合は，診断と治療を迅速に行うことが重要である．

・組織の壊死を伴う肺梗塞を生じた場合，胸痛だけでなく，咳や血痰を認めることがある．

・PEを診断した際は，病態の把握およびセカンドアタックに備え，DVTの検索もしておく．

・治療の基本は，治療域の迅速な抗凝固療法である．

心筋炎髙橋　昌寛 , 永井　利幸 113巻1号 , 2025年1月 , pp.51-55

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・日本循環器学会「心筋炎の診断・治療に関するガイドライン（2023年改訂版）」において，急性心筋炎，慢性活動性心筋炎などが再定義された．

・急性心筋炎の臨床経過は多彩であり，突然死に至る症例から不顕性に経過する症例まで多岐にわたる．

・急性心筋炎に特異的な症状はなく，多角的な視点から本症を疑うことが肝要であり，疑わしければ専門施設への紹介を躊躇しないことが重要である．

たこつぼ症候群明石　嘉浩 113巻1号 , 2025年1月 , pp.57-61

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・たこつぼ症候群は，冠動脈支配領域を越えて，一過性に “たこつぼ様” 左室壁運動異常を呈する疾患群として知られているが，典型的ではない壁運動を呈することがある．

・圧倒的に閉経後の女性に多く，急性冠症候群を疑った患者の数%を占め，先行する精神的・身体的ストレスを認めることが多い．

・ガイドラインに則した治療法はなく，再発率や死亡率は既知のものよりも高いと考えられている．

・正式な発症機序はいまだ解明されていない．

緊張性気胸小川　史洋 113巻1号 , 2025年1月 , pp.63-66

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・早期診断と迅速な治療：緊張性気胸（tension pneumothorax）は致命的な合併症を引き起こす可能性があるため，早期診断と迅速な治療が不可欠である．患者の症状や身体所見を注意深く評価し，診断を確定させるために画像検査（肺エコー，胸部X線，胸部CT検査）を早急に行う．

・胸部ドレーンの挿入：切迫している状況であれば，特徴的な身体所見で緊張性気胸と診断し，早急に胸部ドレーンを挿入しなければならない．これにより，胸腔内の圧力が解放され，肺と心臓の圧迫が軽減される．

・モニタリングと支持療法：患者の状態を継続的にモニタリングし，必要に応じて酸素療法や輸液，循環器支持療法を行う．

専門医への紹介も考慮する

労作性狭心症の最新の知見と専門医紹介のタイミング吉川　将史 , 山口　淳一 113巻1号 , 2025年1月 , pp.67-72

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・労作性狭心症は，胸痛を訴える患者に一定数含まれ，必ず鑑別すべき疾患である．さらに，急性冠症候群との鑑別は，その後の治療戦略が異なることから重要である．

・これまで労作性狭心症に対する冠血行再建は広く行われてきたが，2020年にISCHEMIA試験が発表されて以降は，安定した労作性狭心症に対する治療に関して様々な議論がなされており，年齢や併存疾患，病変部位，さらには冠動脈のプラークの性状といった様々な観点からリスク評価し治療を考えることが重要である．

・また疾患の側面だけではなく，社会的要因を踏まえた共有意思決定（shared decision making）を行い，個々にアプローチしていくことが必要である．

冠攣縮性狭心症石井　正将 , 辻田　賢一 113巻1号 , 2025年1月 , pp.73-78

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・冠攣縮性狭心症は，有意な器質的狭窄のない狭心症である冠動脈閉塞を伴わない心筋虚血（INOCA）のエンドタイプの1つとして再注目されている．

・心臓表面を走行する冠動脈が攣縮することによって心筋虚血が引き起こされる．

・冠攣縮は狭心症だけでなく，心室細動による突然死や急性心筋梗塞を引き起こす．

・喫煙，飲酒，遺伝子多型などがリスク因子であり，院外心停止，喫煙，安静時狭心症，器質的有意狭窄の合併，多枝冠攣縮，発作時のST上昇，β遮断薬の使用が予後不良因子である．

・カルシウム拮抗薬が薬物治療の第一選択である．禁煙などの日常生活管理も重要であり，徹底した患者指導とフォローアップが必要である．

胸痛を伴う不整脈里見　和浩 113巻1号 , 2025年1月 , pp.79-83

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・胸痛をきたす不整脈として，心房細動，発作性上室性頻拍，期外収縮などがある．

・頻度の少ない発作性頻拍は診断困難なことがあり，発作時の心電図記録が重要である．

・発作性頻拍の診断には，従来の24時間（Holter）心電図に加え，2週間Holter心電図，携帯型心電計，スマートウォッチが用いられる．

・心房細動と診断されたら，リスクに応じて抗凝固療法を開始し，有症候例ではアブレーション治療を検討する．

・特発性心室期外収縮は12誘導心電図で診断可能であり，アブレーションの成績も良好である．

肺炎・胸膜炎寺本　信嗣 113巻1号 , 2025年1月 , pp.85-90

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・下気道症状がなく胸痛だけの場合，肺炎はむしろ否定的である．

・胸膜炎を発症した場合に胸痛が生じる．

・下気道症状，発熱があって胸痛があると，肺炎は重症の場合が多い．

・小児では，ウイルス性肺炎で胸痛を生じることがある．

・新型コロナウイルス感染症は胸膜炎を起こし得るが，頻度は高くない．

胃食道逆流症（GERD），食道運動障害，胆石症岡本　真 113巻1号 , 2025年1月 , pp.91-94

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・原因となる循環器疾患がない胸痛は非心臓性胸痛とよばれ，胃食道逆流症が最も頻度が高い．

・しばしば虚血性心疾患と胃食道逆流症の胸痛は鑑別が難しい．

・胃食道逆流症を疑った場合，PPIテストは有用な治療的診断となる．

・胸痛のほかに嚥下障害や体重減少などを伴う場合，PPIでも胸痛が改善しない場合は，上部消化管内視鏡検査を含めて専門医への紹介が必要である．

胸壁由来の疾患市毛　博之 , 石田　岳史 , 橋本　正良 113巻1号 , 2025年1月 , pp.95-99

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・病歴聴取においては発症様式にこだわり，レッドフラッグを意識した対応が重要である．

・胸壁由来の疾患は，緊急性は高くないものの，適切な診断と治療を要する疾患があり注意しなければならない．

・ていねいな医療面接と身体診察が診断確定の鍵になる．

心臓神経症岸　拓弥 113巻1号 , 2025年1月 , pp.100-104

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・動悸や胸痛など心臓に関する愁訴がありながら，それに相当するだけの器質的な所見が認められない場合を心臓神経症と診断する．

・器質的異常がないにもかかわらず患者は深刻な心臓病を患っているという強い確信をもち，生活の質を著しく低下させる原因となる．

・冠動脈閉塞を伴わない心筋虚血（INOCA）など器質的心疾患を除外しつつ，患者の不安や懸念に適切に対応することが重要である．

トピックス

INOCAの疾患概念箸方　健宏 113巻1号 , 2025年1月 , pp.105-109

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・冠動脈閉塞を伴わない心筋虚血（INOCA）は狭心症患者の約半数であるとされ，特に女性に多い．

・INOCAの主病態は冠血管攣縮と冠微小循環障害である．それぞれのエンドタイプの診断には心臓カテーテル検査を用いた侵襲的なプロトコルが推奨される．

・管理は薬物治療が中心となるが，従来のカルシウム拮抗薬や硝酸薬だけでは管理が不十分なケースはそれぞれのエンドタイプ診断に基づいた薬剤選択が重要である．

・精神疾患や自律神経失調症との関係も報告されており，環境因子の改善や包括的な薬物治療が有効なケースも含まれる．

ウェアラブルデバイスと医療DX 菊地　泰基 113巻1号 , 2025年1月 , pp.110-112

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・COVID-19パンデミックを契機にウェアラブルデバイスの技術が進歩し，わが国でも不整脈検知プログラムが医療機器として承認されている．

・不整脈検知プログラムの正確性については臨床研究が進められており，有用性が期待されている．

・ウェアラブルデバイスを利用することで，患者が主体的に参加する継続的なケアにシフトすることが可能となる．

POCUSが胸痛診療の質を上げる山田　博胤 , 松本　力三 113巻1号 , 2025年1月 , pp.114-119

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・point-of-care ultrasound（POCUS）は，従来の検査室で施行する超音波検査と異なり，臨床医が患者を診療する場所で施行する問題解決型の超音波検査である．

・心臓領域のPOCUSのうち，心エコー図を専門としない臨床医が施行する代表的なプロトコルにFoCUSがある．

・FoCUSおよびその応用が，胸痛例の診断，あるいは否定に役立つ．

・肺炎，気胸，胆石，肋骨骨折など，心臓以外を原因とする胸痛の診断に，各領域のPOCUSが役立つ．

連載　ジェネラリストのための咽頭のみかた

のどにできものができた！田中　茉奈美 113巻1号 , 2025年1月 , pp.1-4

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症例

60歳代男性．2か月前に咽頭痛あり，その後も咽頭違和感が持続．咽頭を鏡でみたところ「のどちんこの横にできものができた」とのことで，外来を受診した．たまに唾に血が混じることがあるとのこと．発熱はなし．頸部触診すると左側に硬く，可動性の悪い腫瘤を触知する．圧痛はなし．尋ねると「そういえば最近，首のしこりもある」とのこと．喫煙は10本/日，飲酒は機会飲酒．

連載　注目の新薬

エヴキーザ^®（エビナクマブ）多田　隼人 113巻1号 , 2025年1月 , pp.121-125

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ANGPTL3とは？

　アンジオポエチン様蛋白質（angiopoetin-like protein：ANGPTL）は血管新生や幹細胞の維持にかかわるアンジオポエチンに類似する構造的特徴をもつ分子のクローニングにより同定された．ANGPTLファミリーは，アンジオポエチンの特異的受容体であるTie2やそのファミリーメンバーであるTie1には結合できない．現在までに8種類のANGPTLファミリー分子が同定されており，ANGPTL3は肝臓より分泌され，脂質代謝や血管新生にかかわるホルモン様の蛋白質である．ANGPTL3はリポ蛋白リパーゼ（LPL）活性や内皮リパーゼ（EL）活性を抑制することにより超低密度リポ蛋白（very-low-density lipoprotein：VLDL）レベルを上昇させることが知られている．また，血管新生の調整にも関与することが知られている．

連載　弁護士が答えます！　法律相談クリニック

Q　オンライン診療の法的問題とは？笹山　桂一 113巻1号 , 2025年1月 , pp.126-128

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Q　最近，オンライン診療だけで完結して薬の処方などを行うクリニックをしばしば見聞きします．当院でもオンラインでの外来診療を始めようと思うのですが，法的に何か気をつけておくことはありますか．

カラー口絵

カラー口絵 113巻1号 , 2025年1月 , pp.5-5

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本誌本文中にモノクロ掲載した図表のうち，カラーで掲示すべきものを並べた．

（「心筋炎」p.52 図1参照）

臨床例

救急外来に胸痛を主訴に受診し，自然気胸と診断した中年男性の1例谷江　智輝 , 小澤　康太 , 神田　弘太郎 , 藤川　博俊 113巻1号 , 2025年1月 , pp.129-133

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　胸痛は，救急外来や一般内科外来において，頻繁に遭遇する症候であり，米国疾病予防管理センターの報告によると，米国だけでも毎年700万人以上の患者が胸痛を訴えて救急外来を受診しており^1），英国では救急科の入院患者の4.5%が胸痛を主訴に来院した患者であると報告されている^2）．

原著

がん関連静脈血栓塞栓症に対する直接経口抗凝固薬の使用状況と患者適正モニタリングの検討石川　雄大 , 髙木　昭佳 , 加藤　敦 113巻1号 , 2025年1月 , pp.134-139

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要　　旨

　がん患者は静脈血栓塞栓症（venous thromboembolism：VTE）の発症率が高いが，治療薬である直接経口抗凝固薬（direct oral anticoagulants：DOAC）の使用状況やその患者背景の詳細な情報は少ない．本研究では血栓症を発症したがん患者27名を調査した．DOAC投与中に患者の体重は有意に低下した．VTEの再発悪化はなく，臨床的に重要な出血が1件発生した．17名がDOAC投与中に化学療法を実施され，DOAC開始時より血小板が有意に低下した．がん患者のVTE治療中は体重減少や化学療法による血小板減少，相互作用を生じる抗がん薬の使用といったDOACの血中濃度を変化させ得る事象が発生するので，DOAC適正使用のためには継続的な患者モニタリングが望ましいと示唆される．

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目次 113巻1号 , 2025年1月 , pp.8-9

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本号掲載広告一覧 113巻1号 , 2025年1月 , pp.15-15

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おしらせ 113巻1号 , 2025年1月 , pp.44-44

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おしらせ 113巻1号 , 2025年1月 , pp.128-128

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バックナンバー一覧 113巻1号 , 2025年1月 , pp.142-142

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投稿規定 113巻1号 , 2025年1月 , pp.143-143

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次号予告・奥付 113巻1号 , 2025年1月 , pp.144-144

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基本情報

診断と治療
113巻1号
(2025年1月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0370-999X 診断と治療社

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総 論

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