臨床眼科 71巻8号 (2017年8月)

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要約 目的:超音波生体顕微鏡を使用し水晶体,チン小帯,毛様体皺襞部を観察した後,散瞳による変化を調査した。

対象と方法:対象は正常例5眼と白内障例3眼。画像処理で各組織の輪郭を明瞭にし,水晶体前後径,赤道径そして最下に位置するチン小帯の水晶体付着部と毛様体皺襞部の付着部とを結ぶ直線と前者から毛様体扁平部に至る水平軸との角度を計測した。

結果:正常例は散瞳後に全例の赤道径が長くなり角度も大きくなった。白内障例でこうした所見はなかった。

結論:正常例と白内障例の水晶体重量の差が,所見の違いに関係するのではないかと考えた。

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要約 目的:広角観察システムとシャンデリア照明を用いた網膜復位術の有用性の検討。

対象と方法:長崎大学眼科で施行された強膜内陥術について,シャンデリア照明併用部分強膜内陥術,輪状締結術,シャンデリア照明非併用部分強膜内陥術,輪状締結術に分類し後ろ向きに検討した。

結果:初回の網膜復位率に有意差はなかった。手術時間は有意にシャンデリア照明併用群のほうが短かった。術後に角膜上皮障害があった症例はシャンデリア照明併用群で有意に少なかった。

結論:シャンデリア照明併用網膜復位術は,復位率は同等で手術時間は短縮され角膜上皮障害は少なかった。ただし,水晶体への接触や硝子体内への感染については注意が必要である。

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要約 目的:IOL Master® 700において,注意喚起を与える指標(「!」)が表示される症例の測定精度,術後屈折誤差を検討した。

対象と方法:術前検査で指標が表示された33名37眼(71.9±15.0歳)の術前後の眼軸長差,術後屈折誤差を検討した。

結果:病型は前囊下・後囊下白内障(以下,SC)が最も多く(62.2%),眼軸長表示数が少ない症例では眼軸長差が有意に大きかった(p<0.01)が,術後屈折誤差は有意差がなかった(p>0.05)。

結論:注意喚起を与える指標の症例はSCが多く,術前後の眼軸長差はやや大きいが,術後屈折誤差に及ぼす影響は小さかった。

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要約 目的:正常者での負荷調節波形の報告。

対象と方法:負荷調節時に4D以上の調節反応がある正常者217例217眼を対象とした。年齢は6〜30歳(平均13.3歳)で,男性80例,女性137例である。屈折は,遠視7%,正視12%,−3Dまでの軽度近視45%,−6Dまでの中等度近視31%,−6D以上の強度近視5%であった。負荷調節検査装置を用い,等速度で動く指標で調節負荷を行い,屈折度を時間の二次関数に近似して解析した。

結果:負荷調節波形の二次関数に対する重相関係数は0.90±0.09で,二次・一次・定数項のすべての項目に対し有意に相関し(p<0.05),正常眼での負荷調節波形は放物線に近似した。217例中211例(97%)では,放物線の軸は最も近方負荷のタイミングよりも正に偏位し,その偏位量は平均2.77±1.99秒であった。

結論:正常眼での負荷調節波形は,二次関数に近似すると放物線に近かった。

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要約 目的:T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)が視神経と眼窩に浸潤した症例の報告。

症例:患者は46歳の男性.2014年にT-ALLと診断されたが,化学療法により完全寛解を得た。診断7か月後に右眼霧視出現。T-ALLの再発と診断。右眼は網膜中心動脈閉塞症のため失明した。再寛解後に末梢血幹細胞移植を施行したが,3か月後に再発。左眼視力障害,眼球突出が出現。治療により症状は一時軽快したが,左眼失明。診断19か月後に死亡し,病理解剖を行った。

所見:全身にT-ALL浸潤があり,網脈絡膜,視神経乳頭,眼窩脂肪組織,外眼筋にT-ALL細胞が認められた。

結論:T-ALLの眼病理組織の報告は希少であり,報告した。

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要約 目的:限局性脈絡膜血管腫に対し,ベバシズマブ硝子体注射(IVB)と光線力学的療法(PDT)を施行し,良好な経過をとった1例を経験したので報告する。

症例:視力障害を呈した52歳の女性。右眼黄斑下耳側にインドシアニングリーン蛍光眼底撮影(IA)にて早期から網目状造影,後期には強い蛍光色素漏出認める約3乳頭径大の脈絡膜血管腫と黄斑に及ぶ滲出性網膜剝離を認めた。

結果:IVB併用PDTを施行し,網膜剝離とIAの漏出はやや残存。2回目PDT(単独)施行後,IAの漏出と網膜剝離ともに完全に消失した。

結論:IAでの色素漏出の消失と滲出性網膜剝離が消失したことから,本症例ではPDTによる脈絡膜血管腫の治療評価にIAが有効であった。

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要約 目的:ぶどう膜悪性黒色腫から続発閉塞隅角緑内障をきたした2症例の報告。

症例:症例1は75歳の男性。右眼毛様体腫瘍で精査予定であったが,腫瘍からの突然の大量出血と眼圧上昇を認めた。症例2は71歳の女性。左眼眼痛が出現し救急搬送され,腫瘍からの大量出血と眼圧上昇を認めた。両症例とも画像診断のうえ,進展したぶどう膜悪性黒色腫と診断し,眼球摘出を行った。摘出眼球の病理所見から,2例とも腫瘍の急速な発育によって,腫瘍壊死と大量出血を生じ,眼内ボリュームが急速に増大したため,水晶体の前方移動によって急性閉塞隅角緑内障をきたしたと思われた。

結論:ぶどう膜悪性黒色腫は急速な腫瘍増大と壊死・出血によって,急性閉塞隅角緑内障を惹起する可能性がある。

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要約 目的:眼皮膚白皮症に角膜内血腫を合併した症例の報告。

症例:66歳,男性。生来最高矯正視力は両眼0.1。左眼視力低下にて当院を紹介された。初診時,矯正視力は右0.1,左0.02,両眼の虹彩血管と右眼脈絡膜血管が透見され,全身の皮膚と毛髪に色素脱失がみられたため,眼皮膚白皮症と診断した。左眼角膜実質内の2/3の範囲に血腫を認めた。血腫の吸収に伴い実質内に血管侵入がみられ,強角膜炎に続発した病変と考えてステロイド点眼薬を追加した。2か月後に角膜内血腫は吸収され,新生血管も消退した。

結論:眼皮膚白皮症に角膜内血腫を合併した稀な症例を経験した。

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要約 目的:開口により片眼の眼瞼下垂が生じる逆Marcus Gunn現象の1乳児の報告。

症例:生後10か月の男児が右眼の眼瞼下垂で受診した。既往歴には問題がなく,在胎40週で吸引分娩で出生した。哺乳などで開口したときに右眼の眼瞼下垂が増悪し,ほとんど閉瞼するとのことであった。

所見と経過:右眼は固視不良で,左眼を遮閉すると嫌悪反射を示した。眼瞼運動は正常で,右上眼瞼は左方視で下垂,右方視で軽快,下方視で後退した。Bell現象はなかった。以上より逆Marcus Gunn現象と診断した。左眼の終日遮閉を6日間行い,両眼とも固視良好になり,顎上げの代償頭位で見ることが多くなった。生後1歳5か月時に行ったMRIで,脳と眼窩に異常はなかった。

結論:Marcus Gunn現象が,三叉神経外側翼突筋枝と動眼神経上眼瞼拳筋枝との間の興奮性の異常連合であるのに対し,逆Marcus Cunn現象は,両者の抑制性の異常連合とされているが,単一疾患ではない可能性がある。

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要約 目的:新規経口抗凝固薬(NOAC)使用中に両眼同時発症した網膜中心動脈閉塞症(CRAO)の症例の報告。

症例:67歳,男性。主訴は両眼視力低下。既往歴に心房細動があり,NOACを内服中であった。

所見と経過:視力は右光覚弁,左指数弁。両眼に網膜中心動脈閉塞症を認めた。頭部MRIで新鮮な多発微小梗塞を認め,心房細動により生じた血栓が原因と考えた。NOACは全身塞栓症予防効果に優れ,固定量投与の利便性から,近年ワルファリンに代わり使用されることが多いが,ワルファリンと異なり薬効を判定するモニター方法が存在しない。本症例ではNOACの用量不足や服薬遵守不良で薬効が減弱していた可能性が考えられた。

結論:NOAC服用下でも両眼CRAOを発症することがあり,NOACの特徴や注意点を理解する必要がある。

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要約 目的:姿勢保持が困難な患者のステロイド緑内障を,ヘッドマウント型視野計imo®で評価した報告。

症例:38歳の女性が左眼の視力低下で受診した。6歳時に全身性若年性特発性関節炎と診断され,全身の関節障害があり,プレドニゾロンの経口投与を28年間受けていた。

所見と経過:矯正視力は右1.2,左0.7で,眼圧は右25mmHg,左45mmHgであった。左眼に乳頭陥凹の拡大があった。ステロイド緑内障と診断し,点眼と内服による治療を開始した。左眼が高眼圧を維持したため,2か月後に線維柱帯術切開術を行った。経過中,imo®により視野を評価した。右眼には病的所見がなく,左眼の視野障害は不変であった。

結論:姿勢保持が困難な緑内障患者での視野の評価と治療方針の決定に,imo®による検査が有用であった。

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要約 目的:難治性のVogt-小柳-原田病(VKH)に対し,トリアムシノロンのテノン囊下注射を併用して加療した症例の報告。

症例:62歳の男性が1か月前からの両眼視力低下で受診した。既往歴として高血圧があった。

所見と経過:矯正視力は右0.3,左0.2で,両眼の前房に炎症の所見があり,両眼に乳頭の腫脹と漿液性網膜剝離があった。VKHと診断し,メチルプレドニゾロンのパルス療法を行った。乳頭腫脹と網膜剝離は消退したが,5か月後に左眼の網膜剝離が発症増悪した。再度のパルス療法は効果が乏しく,内服に切り替えたのちに敗血症が発症した。ステロイドの投与量を減らし,左眼にトリアムシノロンのテノン囊下注射を行い,網膜剝離は消退した。さらに5か月後に増悪があり,左眼にトリアムシノロンのテノン囊下注射と硝子体内注射を行い,網膜剝離は消退した。網膜下の析出物が線維化し,発症から4年後の現在,右1.0,左0.1の視力である。

結論:再発遷延化したVKHに,トリアムシノロンの局所注射が奏効した。

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要約 目的:光覚消失するもステロイド治療が奏効した抗myelin-oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体陽性視神経炎の症例の報告。

症例:29歳,男性。左眼痛と視野狭窄のため近医受診し,視神経炎が疑われ当科を紹介され受診した。

所見:初診時の矯正視力は右眼1.5,左眼0.9,左眼の相対的求心性瞳孔障害を認め,左視神経乳頭は腫脹していた。MRIで左視神経の高信号と腫脹を認め,左眼に広範囲の視野欠損を認めた。初診5日目に左光覚が消失し,ステロイド投与を開始した。投与開始2日後に左光覚が出現し,4週間後には左眼矯正視力は1.0まで回復した。血液検査で抗MOG抗体陽性と判定され,抗MOG抗体陽性視神経炎と診断した。その後急性散在性脳脊髄炎を併発したためステロイド内服を継続しているが,8か月後の現在まで眼症状は悪化していない。

結論:ステロイド治療が抗MOG抗体陽性視神経炎に奏効した1例を経験した。

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要約 目的:網膜光凝固で治療した未熟児網膜症(ROP)の臨床像と結果の報告。

対象と症例:過去3年間にROPに対して光凝固を行った23例44眼を対象とした。出生時の平均体重は796±291g,在胎期間は26.4±22週であった。治療時の網膜症の活動期分類は,zone Ⅱ stage 3+とstage 2+が28眼(64%),zone Ⅰ stage 3が1眼(2%),aggressive posterior ROPが4眼(9%),zone Ⅱ stage 3が11眼(25%)であった。光凝固は双眼倒像鏡下で行い,約90%の症例では眼底に瘢痕は生じなかった。

結果:網膜症は41眼(93%)で鎮静化し,3眼(7%)に網膜剝離が生じた。最終時の観察で,39眼(89%)が瘢痕期分類1度,5眼(11%)が2度弱度であった。3歳まで追跡した7例12眼では,平均視力(logMAR)が0.36,等価球面度数が−0.88Dであった。

結論:網膜光凝固で治療したROPの3歳までの経過は,瘢痕化が軽度であり,近視化も少なかった。

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要約 目的:Heads-up硝子体手術を経験したので報告する。

対象と方法:当科において2016年4〜6月に,術中光干渉断層計(OCT)を搭載した手術顕微鏡を用いてheads-up硝子体手術を施行した症例を対象とした。

結果:症例は23例24眼で,増殖糖尿病網膜症8眼,黄斑上膜2眼,黄斑円孔7眼,黄斑円孔網膜剝離2眼,裂孔原性網膜剝離2眼などであった。必要に応じて術中OCTおよび眼内内視鏡を併用した。いずれの症例も予後は良好で重大な合併症はなかった。Heads-up硝子体手術ではモニターを見ながら手術を行うため,OCTおよび内視鏡のモニター観察への移行がスムーズであった。白内障手術では焦点の微調整が煩雑で良好な立体視を得るのが困難であった。

結論:Heads-up手術は硝子体手術では術中観察に支障はなく遂行できたが,白内障手術では顕微鏡の鏡筒を通して見る場合と比較して立体感が異なるため,手術施行に若干の困難が感じられた。

Special Interest Group Meeting(SIG)報告

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はじめに

 多くの疾患は,個人のもつ遺伝素因に環境因子が加わることで発症する多因子疾患である。多因子疾患の発症にかかわる体質を司る遺伝要因の1つとして,遺伝子多型(single nucleotide polymorphisms:SNPs)が挙げられる。近年,ゲノム解析技術は凄まじく進歩しており,SNPs解析についても,候補遺伝子アプローチに続いて,全ゲノム関連解析,最近では,次世代シーケンサーを用いた全エキソーム解析,さらには,全ゲノムシーケンス解析さえ可能になってきている。このようにゲノム研究が急速に進歩するなか,眼科でもゲノム研究を行っている先生方が多数おられる。

 2016年11月3日,第70回日本臨床眼科学会のSIGとして,第17回眼科DNAチップ研究会がグランドプリンスホテル京都で開催された。本研究会では,横浜市立大学の石原麻美先生にサルコイドーシス疾患感受性遺伝子について,京都府立医科大学ゲノム医科学の中野正和先生にフックス角膜内皮ジストロフィのゲノムワイド関連解析について,京都大学の仲田勇夫先生に遺伝性視神経症に対する次世代シーケンサーを用いた遺伝子診断パネルの使用成績について,東北大学東北メディカル・メガバンク機構ゲノム解析部の布施昇男先生に1,070人全ゲノム解析からみえた眼科疾患の保因者頻度についてご講演いただいた。また,筆者もジャポニカアレイを用いたスティーブンス・ジョンソン症候群のゲノムワイド関連解析について講演を行った。

 さらに教育講演として,ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社の田澤義明先生に,実際に癌の診療で用いられているゲノム検査について講演いただき,それぞれについて熱心な討論が行われた。本稿では,5つの講演ならびに教育講演の要旨を報告する。

今月の表紙

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 患者は30歳,男性。右眼の視野全体が暗く,歪視があった。次第に眼痛も自覚するようになり,前医を受診した。網膜血管腫疑いで当院を紹介され受診した。当院初診時の視力は右(1.0),左(1.5)。その後,OCTや造影検査などの結果から黄斑部に漿液性剝離を伴う網膜血管腫と診断された。また,他科にて頭部MRI,腹部エコー,採血などの精査を行うも,von Hippel Lindou病を疑う所見はなかった。

 漿液性剝離を伴っていることもあり,レーザー加療を行った。右眼に対して1回目の網膜光凝固術を行ったが,黄斑浮腫は改善するも漿液性剝離は改善されず,滲出性変化が増加。右眼視力は(0.5)となった。2回目の網膜光凝固術により漿液性剝離は著明に改善し,視力も(1.0)となった。

連載 今月の話題

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 近年,眼科領域においても,ベーチェット病や難治性ぶどう膜炎に対して,分子標的薬である腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)阻害薬が適応承認されてきた。これらの生物学的製剤は高い有効性が期待される一方で,使用にあたっては細心の注意が必要である。そこで,本稿では昨年,日本眼炎症学会で策定した「非感染性ぶどう膜炎に対するTNF阻害薬使用指針および安全対策マニュアル」について解説する。

連載 熱血討論!緑内障道場—診断・治療の一手ご指南・第19回

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今月の症例

【患者】51歳,男性

【主訴】左眼の眼痛

【現病歴】19歳時に緑内障と診断され,両眼の線維柱帯切除術を受けた。右眼はその時点で失明した。左眼は半年前より眼圧が再上昇し,手術目的で当院紹介となった。初診時,左眼の眼圧は52mmHg,隅角はwide openであり,緑内障手術が必要と判断した。左眼の11時方向に緑内障手術痕を認めたため,2時方向に線維柱帯切除術を施行した(図1)。術中・術後の経過は良好であったが,術3か月後に左眼の眼痛を訴え,再受診した。

海外留学 不安とFUN・第20回

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英会話の不安

 留学前の大きな不安要素に英会話がありました。留学したての頃は,ラボでの仕事においては,英語が第一言語ではないメンバーが多く,またお互い意思疎通をとろうという姿勢があるためなんとかコミュニケーションをとることができましたが,街中に出ると苦労の連続でした。スーパーのレジで紙の袋かビニール袋かを聞かれていることさえわからず,サンドウィッチの中身をオーダーするのも一苦労,英語がわからないことで相手に面倒そうな顔をされると心が折れそうなことも多かったです。しかし,朝から晩まで英語だらけの環境にいると,自力でなんとかしようという度胸(?)も生まれ,気がつくと大抵のことは問題なくこなせるようになりました。

 私は人前で話すのが苦手でしたが,自分の研究結果をプレゼンしないといけない日々に鍛えられました。ミーティングなどで常に意見を求められる環境で過ごしたおかげで,帰国後も意見や質問をすることのハードルが下がり,図太くなったと感じます。サバイバル能力が上がったというべきでしょうか。

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要約 目的:初期には軽傷と診断されたが,複視の出現に伴い重症化したマムシ咬傷の1例の報告。

症例:55歳の男性が左足をマムシに咬まれ近医に入院した。軽傷と判断され翌日に退院したが,退院後に受傷部の腫脹が悪化し複視も出現した。近医眼科を受診し当院を紹介された。

所見:左足関節付近に牙痕があり腫脹は左鼠径部に及んだ。右眼の内転障害と左眼の下直筋麻痺が認められた。重篤な合併症は出現せず症状は徐々に軽快した。受傷23日目には眼球運動障害は改善した。

結論:マムシ咬傷による眼症状の合併は重症化を示唆する因子として重要である。

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要約 目的:α2作動性鎮静薬(デクスメデトミジン)を使用した鎮静下白内障手術の成績報告。

対象と方法:過去1年間に,白内障手術に際しデクスメデトミジンにて鎮静を行ったのべ63例(男性25例,女性38例,平均年齢77.6歳)について周術期の状況を解析した。

結果:選択理由は軽度の認知症32例,安定している精神疾患18例,軽度の知的障害3例など,外来診察は可能であるが,術中の安静が困難と判断した症例であった。循環動態が安定しなかった1例と,極量投与でも鎮静が得られなかった1例を除き,手術は安全に実施できた。全例において術中,術後の合併症はない。全身麻酔に比べ,手術室での所要時間は有意に短縮できた。

結論:白内障手術においてデクスメデトミジンでの鎮静は安全で有用な方法といえる。

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 今どきの〈愛想の良い本〉ではない。

 〈臨床研究をなぜやるか,どうやるか,ロジックは,統計処理は〉などを1cmの厚さにまとめてある。

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 このたび刊行された『マイナー外科救急レジデントマニュアル』は,数多くの整形外傷手術をこなす整形外科専門医であり救急科専門医でもある田島康介先生が,自分が知りたい他科の知識や,同僚医師らからよく聞かれる質問への答えをまとめた書籍です。

 対義語の一つに,「メジャー(major)」と「マイナー(minor)」があります。アメリカ大リーグにおけるメジャーリーグ,マイナーリーグといった使い方はよく知られています。その意味を『大辞林』(第三版)で調べてみると,メジャーは「規模の大きなさま・主要な位置を占めるさま・広く知られているさま・有名なさま」,マイナーは「規模や重要度が小さいさま・あまり知られていないさま・有名ではないさま」と書かれています。医学の領域でも,内科・外科・小児科・産婦人科をメジャー科,それ以外の診療科をマイナー科といった使い方がされますが,何をもって二つに分けるのでしょうか。「仕事が大変vs楽」「入院患者数が多いvs少ない」「全身を診るvs局所を診る」など,どれももっともらしく思えますが,本当のところは医師国家試験の出題の関係でいわれるようになったようです。昔は上記のメジャー科が毎年必ず出題され,それ以外のマイナー科は毎年2科が選択出題されていました。

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欧文目次

ことば・ことば・ことば 空色
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 東京に雪が降った次の週に,すばらしい天気の日がありました。積雲というのでしょうか,綿のような雲が浮いていますが,綺麗な明るい青色なのです。「これこそ空色」だと思いました。

 ところが実際には,空の色は明るさによって大きく変化します。その結果として,日本語の「空色」も英語のsky blueも,「青の明るくうすい調子の色」の総称だそうです。もっと具体的な呼び名が必要になります。

べらどんな 王侯貴族
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 「フランス人が牛肉を食べなくなった」という記事がイギリスの週刊誌に出ていた。「これは大変」とよく読んだら,昔と比較しての話である。37年前の1980年には,牛肉と豚肉の消費量がほぼ同じだったのに,最近では牛肉がやや減っただけである。

 今でもフランスでは,1人当たり年間25kgの牛肉を食べている。これを1月当たりにすると約2kg,すなわち毎週500gのビフテキを食べていることになり,われわれからみると夢のような量である。

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次号予告

あとがき 坂本 泰二
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 筆者が研修医の頃,ベーチェット病は不治の病であり,患者さんは大学病院のぶどう膜炎外来に溢れていました。病気が原因で命を絶った方もおられたため,ベーチェット病の病名告知には,ことさらに神経を使ったことを覚えています。ところが,生物学的製剤の目覚ましい発展により,ベーチェット病は失明が避けられない疾患ではなくなっただけではなく,社会生活を営みながら治療することが可能な,普通の疾患になりました。ベーチェット病にまつわる過去の悲惨な事実を知る者にとっては,夢のような話です。今月の話題では,ベーチェット病による失明を大幅に減じることを可能にしたTNF阻害薬について,水木教授が解説されています。TNF阻害薬は,適応承認されて10年近く経ちますが,上記のような強い治療効果のみならず副作用があることもわかってきました。この解説を読めば,その辺りの事情と,使用の実際がわかると思います。

 また,本号には日本臨床眼科学会関連の原著も多数掲載されています。一般に,新しい検査や治療がわが国に広まったときに,真っ先に報告される場が毎年秋に開催される日本臨床眼科学会です。ですから,これらを読むことで,わが国の眼科医療の現状のみならず,今後の動向を知ることができます。例えば,ヘッドマウント型視野計による緑内障評価,術中OCTについての論文をみれば,これらがわが国の臨床現場において確実に試行されていることがわかります。

基本情報

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臨床眼科
71巻8号 (2017年8月)
電子版ISSN:1882-1308 印刷版ISSN:0370-5579 医学書院

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