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あとがき
坂本 泰二
pp.1296
発行日 2017年8月15日
Published Date 2017/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212384
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筆者が研修医の頃,ベーチェット病は不治の病であり,患者さんは大学病院のぶどう膜炎外来に溢れていました。病気が原因で命を絶った方もおられたため,ベーチェット病の病名告知には,ことさらに神経を使ったことを覚えています。ところが,生物学的製剤の目覚ましい発展により,ベーチェット病は失明が避けられない疾患ではなくなっただけではなく,社会生活を営みながら治療することが可能な,普通の疾患になりました。ベーチェット病にまつわる過去の悲惨な事実を知る者にとっては,夢のような話です。今月の話題では,ベーチェット病による失明を大幅に減じることを可能にしたTNF阻害薬について,水木教授が解説されています。TNF阻害薬は,適応承認されて10年近く経ちますが,上記のような強い治療効果のみならず副作用があることもわかってきました。この解説を読めば,その辺りの事情と,使用の実際がわかると思います。
また,本号には日本臨床眼科学会関連の原著も多数掲載されています。一般に,新しい検査や治療がわが国に広まったときに,真っ先に報告される場が毎年秋に開催される日本臨床眼科学会です。ですから,これらを読むことで,わが国の眼科医療の現状のみならず,今後の動向を知ることができます。例えば,ヘッドマウント型視野計による緑内障評価,術中OCTについての論文をみれば,これらがわが国の臨床現場において確実に試行されていることがわかります。
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