公衆衛生 83巻11号 (2019年11月)

特集 歯科口腔保健をどう進めるか

相田 潤
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 近年,歯科疾患の有病率の高さと,それによる社会への影響が注目されるようになってきました.歯科疾患は世界で最も多い疾患であり,日本でも,例えば治療が必要なう蝕(むし歯)を有する人は約4,000万人も存在します.「歯科口腔保健の推進に関する法律」が施行されて以降,歯科口腔保健の推進のため,さまざまな施策が実施されています.厚生労働省には歯科口腔保健推進室が設置され,口腔保健支援センターを設置する都道府県・市町村も増加しつつあります.

 こうした活発な取り組みの機運がある一方で,自治体への歯科医師や歯科衛生士の配置は少なく,全くいない自治体も多く存在します.さまざまな歯科関連事業が存在し,「健康日本21(第二次)」や地域包括ケアにおいても歯科口腔保健を考慮しなくてはならない中,極めて少数の歯科専門職か,保健師や管理栄養士,事務職員などが膨大な実務を負担している現状があります.また,歯科口腔保健は妊婦から乳幼児,児童・生徒,成人,高齢者まで全てのライフステージに対応する必要がありますが,このこと自体,歯科専門職であっても困難を伴いますし,担当課が分かれているという構造上の難しさもあります.

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はじめに

 歯科口腔保健は古くから存在する課題であり,日本では2011年に「歯科口腔保健の推進に関する法律」1)が施行された.国際的には,世界で最も多い疾患が歯科口腔に関するものであることや,口腔の健康と全身の健康の関連が報告されることなどがあり,近年,あらためて注目を集めている.しかしながら,歯科専門職が配置されている自治体は少なく,また,旧態依然とした「う蝕(むし歯)は減った」というようなイメージも強い.

 本稿では,今なぜ歯科口腔保健が重要なのか,また,それを行政施策につなげるヒントになるエビデンスについて解説する.

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はじめに

自治体の歯科保健活動の多くを占める母子歯科保健

 母子保健法に基づき,全国の市区町村では母子歯科健康診査や各種相談事業が行われている.歯科衛生士を配置する都道府県,市区町村は必ずしも多くなく,上記のような事業に当たっては,保健師や管理栄養士が歯科保健事業を担当することが多い1).歯科衛生士を配置していない自治体にとっても,常勤での配置が多い地域での事例は参考になると考えられる.千葉県は市町村に勤務する常勤歯科衛生士が多い自治体の一つである.2019年4月1日現在,千葉県内の54市町村のうち37市町(68.5%)に101名の常勤歯科衛生士が配置されている.

 歯科保健事業はライフステージ別に実施されるが,2017年の千葉県内市町村のライフステージ別の歯科保健事業実施市町村数は,妊産婦対象が37(68.5%),1歳未満対象が45(83.3%),1〜4歳対象が全54市町村(100%),保育園などが42(77.8%),小中学校が40(74.1%)であり,母子歯科保健事業の実施率は高い.一方,成人や高齢者に目を向けると40歳未満を対象とした事業は32(59.3%),40歳以上は35(64.8%),要介護者13(24.1%),介護予防一次予防事業26(48.1%),一般介護予防事業11(20.4%)であり,成人期以降は必ずしも多くの市町村で事業が実施されているわけではない2).市原市(当市)においては,5人の常勤歯科衛生士のうち4人が子育てネウボラセンターに配属されており,母子歯科保健事業を担当している.子育てネウボラセンターでは保健師,管理栄養士,歯科衛生士などによる妊娠・出産から子育てまでの切れ目のない相談支援を行っている.

 少子高齢社会を迎えた現在においても,市区町村の歯科保健事業において母子歯科保健事業の占める割合は高い状況にある.本稿では,広く伝統的に展開されている母子歯科保健事業について全国調査から見えてきた実態を紹介し,それを自治体において多職種によって実施する意義を述べる.

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はじめに

 国民皆保険制度が達成されているわが国では,人口構造の高齢化が医療費の増加に反映され,そのことが社会保障費の増加につながる.これが国の1990年以降の財政状況の悪化の原因の一つである.そのため,健康長寿は国民一人一人の願いであると同時に,社会保障制度を安定させるための政策目標となっている.

 本稿では,成人期の口腔保健の課題を再確認しながら,多職種・多分野連携と社会保障制度の安定という観点から,口腔保健の今後の展開について述べる.

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地域包括ケアと未病改善

 団塊の世代が75歳以上となる2025年には,著しい少子・高齢化による急激な人口構造の変化が予測される.それに伴って,近年の歯科を含む医療界の諸事情は急速に変化しており,従来の枠組みでは対応しきれない状況となってきている.その対応策として,地域包括ケアシステムの構築が挙げられる.これは,高齢者が要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるように,住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される構造である.今後,増加が見込まれる認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも,このようなケアシステムの構築が重要とされている.

 上記のような状況において,高度成長期に人口が急激に増加し,全国でも非常に早いスピードで高齢化が進んでいる神奈川県(以下,本県)は,すでに超高齢社会のただ中にあり,わが国が直面している社会構造の変化におけるトップを走っている.そのため,本県では,超高齢社会における課題に対応し,持続可能な社会システムに転換していくために,「ヘルスケア・ニューフロンティア」1)という政策を推進している.この政策は,最先端の医療の提供や,最新技術の研究開発を行う環境が整っている本県の強みを生かして,「最先端医療・最新技術の追求」と「未病の改善」という二つのアプローチを共に進めることで,健康寿命を延ばし,新たな市場や産業を創出し,新しい社会システムを創り出すものである.

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はじめに

 地域の歯科口腔保健施策を推進する上では,当然ながら「全ての住民の歯・口腔の健康づくりを支える歯科保健医療施策」が求められる.しかし,行政の保健担当部局に身を置く筆者にとって,特に学齢期および障がい者を対象とした歯科口腔保健の推進は,他の領域における歯科関連施策に比べて,より多くのエネルギーを要する印象が強い.学校現場や教育委員会という存在は異次元の高い壁としてそびえており,また,障がい者に関わる種々の制度やサービスなどへの理解不足はスムーズな施策展開の障害となることを,これまで身を持って経験してきた.

 筆者が生まれ育ち,暮らす北海道(以下,道)は東京都の約38倍の面積を有しており,一方で人口密度は低く,過疎化が着実に進行している地域である.そして,医療資源においては都市部を中心とした地域偏在が指摘されている.

 道では2009(平成21)年に「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例」(以下,条例)が制定された.学校などにおいてフッ化物洗口(フッ化物の水溶液を用いてブクブクうがいを行うむし歯予防法)を推進するとともに,障がい者の歯・口腔の健康づくりのための支援も条文に盛り込んだ1).歯科保健医療施策については,同条例に規定される「歯・口腔の健康づくりに関する基本的な計画」である「北海道歯科保健医療推進計画」2)(8020歯っぴぃプラン)に基づいて進めてきた.

 道の歯科口腔保健は,特に12歳児の1人平均むし歯本数といったむし歯の罹患状況が全国的に下位レベルで推移しており,大きな健康課題となっている.また,障がいのある人などがアクセスしやすい歯科医療機関の充実が望まれており,整備の途上にある.

 本稿では,特に学齢期におけるむし歯予防対策としての「フッ化物洗口の推進」と,「北海道障がい者歯科医療協力医制度」3)を軸とした,障がいのある人への歯科保健医療提供体制の整備について述べる.併せて,2013(平成25)年に設置した「北海道口腔保健支援センター」の活動も紹介する.

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はじめに

 近年,毎年のように大規模な災害が各地で発生しており,今後もわが国のどこかの地域で,いつ発生してもおかしくない状況である.東日本大震災以降,災害時における歯科医療救護体制を構築する取り組みが自治体および歯科医療専門団体において活発に行われており,災害発生時には,歯科保健医療活動が積極的に実施されている.

 災害時における歯科保健医療活動は,歯科医療救護活動,歯科保健活動,歯科保健医療体制の復旧の3つに大きくまとめられる.これに歯科的身元確認作業を加えて,災害時における歯科対応となる.災害時における歯科対応において支援活動の3本柱は①歯科的身元確認作業,②歯科医療救護活動,③歯科保健活動であり,歯科診療所の再建が歯科保健医療体制の復旧のための基本となる.平時における体制づくりが,災害時における歯科保健医療活動を円滑に実施するために非常に重要となる.

 歯科的身元確認作業は警察と歯科医師会で対応し,歯科医療救護活動,歯科保健活動,歯科保健医療体制の復旧は都道府県・市町村と歯科医師会で対応するが,どれにおいても人的・物的資源の観点で歯科医師会の貢献は大きい.厚生労働省が2016年度に実施した調査において,行政歯科専門職の人数は,常勤の歯科医師が149人,常勤の歯科衛生士が759人と行政機関の保健医療専門職の中でも少なく,自治体によっては配置されていない職種でもある1).このことが,災害時における歯科対応の大部分を歯科医師会に担ってもらうことにつながり,結果として自治体の歯科専門職の役割を不明瞭にしているものと思われる.

 本稿では,岩手県(以下,本県)が経験した「東日本大震災」と「平成28年台風第10号豪雨災害」の事例を参考として,歯科保健医療活動において県の行政歯科医師が果たした役割と,これらの災害を踏まえて平時に実施してきた対応を基に,災害時の歯科保健医療活動および平時における体制づくりにおいて,行政歯科専門職が果たすべき役割を述べる.

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はじめに

 就業している歯科衛生士の数は1980年ごろから著しく増加しており,直近の公表値(2016年)では123,831人と,歯科医師数(104,533人)を上回っている1)2).その就業先についても,歯科診療所,病院,介護保険施設,行政機関など,歯科保健医療サービスを提供する多くの場での活躍がみられる.

 歯科衛生士という職種が生まれたのは,1948年に「歯科衛生士法」3)が制定された時であるが,当初は,保健所での歯科衛生・予防処置を行うことを想定して制定された経緯がある.これは,保健所法(現 地域保健法)の改正に伴って,歯科衛生が保健所の業務として新たに加わったものの,実際には保健所への歯科医師の配置を拡充させることが困難だったことによる.その後,多くの歯科衛生士の勤務先が歯科診療所になっている実態に合わせて,1955年に「保健師助産師看護師法」の一部解除により,歯科診療の補助が歯科衛生士の業務として新たに加わった.さらに,1989年には,歯科衛生士の名称を用いた歯科保健指導が業務に加わり,いわゆる歯科衛生士の三大業務となって現在に至っている.

 歯科衛生士の業務は,その時代の歯科保健医療を取り巻く環境の中で変化してきた.また,その変化に応じた法制度などの改正がなされてきた.今後も,さまざまなニーズに応じて多様な活躍が期待される職種であり,歯科口腔保健を進めていく上で中心的役割を担っていくと考えられる.

 本稿では,歯科口腔保健を推進していくに当たって,歯科衛生士の現状や課題などについて概説する.

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はじめに

 歯科の世界では,いつのころからか「歯科医師は過剰であること」ばかりが喧伝されるようになったが,その実相が正しく伝えられているとは言い難い.本稿では,近い将来,歯科医師不足が到来する可能性のある地域は少なくないこと,また,歯科医師以外の歯科専門職についても歯科衛生士不足・歯科技工士不足が懸念されているが,その様相は全く異なることについて述べる.

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 小児科医であった父の影響が少なからずあって,私が同じ道に進み,その後,公衆衛生に従事するようになって今年で15年になる.もともとは基礎医学,特に免疫学を研究したくて医学の門をたたいた.研修医時代に白血病や腫瘍を持つ多くの子どもたちと接したが,彼らがつらく厳しい治療に耐え,ようやく退院できたにもかかわらず,流行する病気,特にワクチンで予防できる疾患である水痘や麻疹などに罹患し,重症化して病院に戻ってくる姿を見て,強い憤りと悔しさを覚えた.研修病院の先輩で,当時University of California, San Diego小児科のスタッフだった齋藤昭彦先生(現新潟大学医学部小児科教授)の「米国ではそんなこと決してないよ」という一言で,同地への留学を決めた.私が知りたかったのは,米国ではどのように予防接種が活用されているのか? 化学治療後の免疫力の弱い子どもたちがどのように守られているのか? ということであったので,留学といっても大学での研究ではなく,地元の保健所の予防接種課で活動をさせていただいた.

 サンディエゴ市は人口300万人を超えるカリフォルニア州南端の観光都市で,世界中から人々が訪れ,また,国境を接するメキシコからの移民も多い.そのため,各国の異なった予防接種制度の下でワクチン接種を受けた人々が混在する.そのような場所で麻疹や水痘といった病気が,高い予防接種率の達成と維持でコントロールされていた.カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の小児科教授であるMark Sawyer先生を中心にして,保健所においてしっかりとしたサーベイランスが構築・実施されており,さらに,その結果を正しく評価し,必要な場合は介入を行い,その介入を再度サーベイランスで評価する,といったエビデンスに基づいた政策の実施と評価が行われていた.それまで疫学(epidemiology)を全く知らなかった私にとって,当たり前のように行われている目の前の光景が新鮮で,このプロセスをもっと正しく理解したい,身に付けたいと思った.その後,アトランタエモリー大学公衆衛生大学院(Emory University Rollins School of Public Health)で公衆衛生修士(MPH)を取得し,さらに米国疾病予防管理センター(CDC)でEpidemiology Intelligence Service(EIS)のトレーニングを受けた.

連載 衛生行政キーワード・134

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はじめに

 近年,口腔の健康が全身の健康と深い関係を有することについて広く指摘がされており,乳幼児期から高齢期まで,生涯にわたって切れ目ない歯科保健対策を講じていくことが重要となっている.

 本稿では,「歯科口腔保健の推進に関する法律」1)と「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」2)の概要および基本的事項の中間評価,中間評価後の検討について述べる.さらに,口腔の健康と全身の健康の施策の動向についても述べる.

連載 世界に届け! Boshi-Techo・1【新連載】

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母子手帳の誕生

 母子手帳は,日本では今や当たり前のものとなっている.それが当たり前になる70年以上も前のこと,連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の支配下にあった厚生省児童局母子衛生課の職員は一つのアイデアを実現に移そうとしていた.

 「母と子を切り離して考えるのはおかしい.日本の慣行では出生後せいぜい1週間ぐらいまでは産婦人科で,それからこつぜんと小児科が出てくるのはおかしい.新生児死亡の原因などが妊娠中にあるものから増えてくるのだったら,なおのこと,その二つをつながらせなければならない」1)

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エイズ予防の研究を始めたきっかけ

 私(図1)は1999年に医学部保健学科看護学専攻を卒業し,すぐに米国アラバマ大学公衆衛生大学院に留学しました.当時,HIV(human Immunodeficiency Virus)感染症とエイズ(acquired immune deficiency syndrome:AIDS)患者の急増が世界的健康課題であったこと,また,留学先がエイズ研究で有名な大学であったこともあり,HIV予防の専門家やさまざまなエイズの予防研究に出会い関心を持ちました.コンドームを毎回使用するという予防法がありながらも,なぜ使用が簡単に進まないのか,行動変容の難しさについても関心を持ち,エイズ予防の研究を始めました.

予防と臨床のはざまで

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 健康教育のメディアはどんどん進化していますが,印刷媒体や対面式の講義に加えて,ここ最近は「動画」が教材として一般化しつつあると感じます.テレビよりもYoutubeの動画を見る機会が増えたり,LINEなどのSNSサービスでの動画共有が普通に行われたりするようになり,企業や病院でもe-learningによる教育が多く導入されています.医学系の講演でもウェブセミナーが爆発的に増えており,私も数回,ウェブセミナーの講師を体験しました.スポンサーの製薬会社の方にお聞きすると,ホテルなどの会場を借りて行うリアルな講演会より,地理的にも時間的にも人を集める労力やコストがかからないそうです.

 「くうねるあるく」は,厚生労働省の補助金を受けて行われた「レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業」の一つで,トーマツ健康保険組合が主幹となり,株式会社バリューHRが運用委託事業者となって実施された「ICT+インセンティブ+個別広報を活用した健康リテラシー育成事業」です(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000203513.html).三大生活習慣である「食事(くう)+睡眠(ねる)+歩行(あるく)」を学び,自分にふさわしい健康づくりを身につけることを目的として,「ICT」「インセンティブ」「個別広報」を組み合わせて参加率と継続率を高めながら,健康リテラシーを育成し,健保間で活用できる保健事業ノウハウづくりに取り組みます.「くうねるあるく」というネーミングは,大人気だった車の宣伝のパロディーですね.

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 少女が黒インクで指紋を採取される場面から映画は始まります.採取が終わると,顔写真の撮影.何か犯罪でも犯したのでしょうか,少女は「ISOLATE」(隔離区域)と表示された区域に連れていかれます.

 場面は変わって,少女たちが中庭で楽しそうに雪合戦をしています.学校のようでもありますが,舞台となるのはイランにある未成年の女性を収容する更生施設.収容された一人の少女がインタビューに答えて,施設に収容された経緯を語ります.彼女の姉が叔父から虐待(性的虐待と思われます)を受け,それが2年間続き,その事実を知った母親が精神的に不安定になり,少女に暴力をふるうようになりました.そのため家出をし,その後,家に戻ると,叔父が今度は少女に対して,姉に対して行ったのと同じような虐待を続けたため,また家出をしたところ,「放浪罪」という罪名で収容されたようです.

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目次

書評

書評

次号予告

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 2011年に歯科口腔保健法が議員立法によって公布・施行されると,これと前後して地方自治体でも関連する条例の制定が相次ぎました.地方の衛生行政の現場に歯科専門職が少ないことによる歯科口腔保健施策の停滞を憂慮した歯科医師会などが地方議会に働きかけて条例案の作成を支援したことにより,議員提案による条例制定が進んだとされています.新しい法律・条令の施行によって歯科医師会などによる地方自治体への情報提供や要望活動が一層活発になり,法律に基づく施策推進の中核的組織として「口腔保健支援センター」を設置する自治体が増えました.従前は衛生行政部局内に歯科専門職が全くいなかった県でも,同センターの設置に伴って歯科医師や歯科衛生士などが恒常的に配置されるようになり,既存事業の評価や新規事業の企画などで専門性を発揮するようになったので,法制化の効果は大きいと感じていました.

 しかしながら,住民に身近で頻度の高い保健サービスの実施主体である市町村では,いまだに歯科専門職の配置が進んでおらず,歯科保健の重要性を行政内部で共有し施策化するための基盤が未熟であることを再認識しました.

基本情報

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公衆衛生
83巻11号 (2019年11月)
電子版ISSN:1882-1170 印刷版ISSN:0368-5187 医学書院

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