特集 歯科口腔保健をどう進めるか
歯科保健医療行政による地域包括ケアの基盤づくり—神奈川県が推進する未病改善におけるオーラルフレイル対策の視点から
中條 和子
1
1神奈川県小田原保健福祉事務所保健福祉課
pp.808-813
発行日 2019年11月15日
Published Date 2019/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209265
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地域包括ケアと未病改善
団塊の世代が75歳以上となる2025年には,著しい少子・高齢化による急激な人口構造の変化が予測される.それに伴って,近年の歯科を含む医療界の諸事情は急速に変化しており,従来の枠組みでは対応しきれない状況となってきている.その対応策として,地域包括ケアシステムの構築が挙げられる.これは,高齢者が要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるように,住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される構造である.今後,増加が見込まれる認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも,このようなケアシステムの構築が重要とされている.
上記のような状況において,高度成長期に人口が急激に増加し,全国でも非常に早いスピードで高齢化が進んでいる神奈川県(以下,本県)は,すでに超高齢社会のただ中にあり,わが国が直面している社会構造の変化におけるトップを走っている.そのため,本県では,超高齢社会における課題に対応し,持続可能な社会システムに転換していくために,「ヘルスケア・ニューフロンティア」1)という政策を推進している.この政策は,最先端の医療の提供や,最新技術の研究開発を行う環境が整っている本県の強みを生かして,「最先端医療・最新技術の追求」と「未病の改善」という二つのアプローチを共に進めることで,健康寿命を延ばし,新たな市場や産業を創出し,新しい社会システムを創り出すものである.
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