特集 歯科口腔保健をどう進めるか
扉
相田 潤
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1東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野
pp.787
発行日 2019年11月15日
Published Date 2019/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209261
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近年,歯科疾患の有病率の高さと,それによる社会への影響が注目されるようになってきました.歯科疾患は世界で最も多い疾患であり,日本でも,例えば治療が必要なう蝕(むし歯)を有する人は約4,000万人も存在します.「歯科口腔保健の推進に関する法律」が施行されて以降,歯科口腔保健の推進のため,さまざまな施策が実施されています.厚生労働省には歯科口腔保健推進室が設置され,口腔保健支援センターを設置する都道府県・市町村も増加しつつあります.
こうした活発な取り組みの機運がある一方で,自治体への歯科医師や歯科衛生士の配置は少なく,全くいない自治体も多く存在します.さまざまな歯科関連事業が存在し,「健康日本21(第二次)」や地域包括ケアにおいても歯科口腔保健を考慮しなくてはならない中,極めて少数の歯科専門職か,保健師や管理栄養士,事務職員などが膨大な実務を負担している現状があります.また,歯科口腔保健は妊婦から乳幼児,児童・生徒,成人,高齢者まで全てのライフステージに対応する必要がありますが,このこと自体,歯科専門職であっても困難を伴いますし,担当課が分かれているという構造上の難しさもあります.
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