特集 歯科口腔保健をどう進めるか
歯科口腔保健を進める上での歯科衛生士の役割
大島 克郎
1
1日本歯科大学東京短期大学
pp.826-830
発行日 2019年11月15日
Published Date 2019/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209268
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はじめに
就業している歯科衛生士の数は1980年ごろから著しく増加しており,直近の公表値(2016年)では123,831人と,歯科医師数(104,533人)を上回っている1)2).その就業先についても,歯科診療所,病院,介護保険施設,行政機関など,歯科保健医療サービスを提供する多くの場での活躍がみられる.
歯科衛生士という職種が生まれたのは,1948年に「歯科衛生士法」3)が制定された時であるが,当初は,保健所での歯科衛生・予防処置を行うことを想定して制定された経緯がある.これは,保健所法(現 地域保健法)の改正に伴って,歯科衛生が保健所の業務として新たに加わったものの,実際には保健所への歯科医師の配置を拡充させることが困難だったことによる.その後,多くの歯科衛生士の勤務先が歯科診療所になっている実態に合わせて,1955年に「保健師助産師看護師法」の一部解除により,歯科診療の補助が歯科衛生士の業務として新たに加わった.さらに,1989年には,歯科衛生士の名称を用いた歯科保健指導が業務に加わり,いわゆる歯科衛生士の三大業務となって現在に至っている.
歯科衛生士の業務は,その時代の歯科保健医療を取り巻く環境の中で変化してきた.また,その変化に応じた法制度などの改正がなされてきた.今後も,さまざまなニーズに応じて多様な活躍が期待される職種であり,歯科口腔保健を進めていく上で中心的役割を担っていくと考えられる.
本稿では,歯科口腔保健を推進していくに当たって,歯科衛生士の現状や課題などについて概説する.
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