連載 話の聴ける助産婦になるために・11
カウンセリングによる心の理解
成長する心
大須賀 克己
1
1日本グロースセンターカウンセリング研究所
pp.162-165
発行日 1989年2月25日
Published Date 1989/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207567
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経験の記憶
私たちは,生まれてから現在に至るまで,どれほど多くの人々に接してきたのでしょうか。人は人と出会うたびに経験を得ていきますので,生きた年月に比例してさまざまな体験が心の中に蓄積しているといえます。
子供が生まれてまず最初に出会う人は助産婦の場合が大部分で,次に母親であるといっても過言でないかも知れません。生まれたばかりの子供にとっては,感覚がすべてであり,それらが彼らの未来に対する人生の方向づけに大きく影響していることが,ますます確認されてきています。生理的に反応する子供の経験は,知的に頭脳の中に記憶されることはなくても,無意識に定着したものとして,体に生き続けていくわけです。いずれにしても数ある出会いの中でも,最初の人との接触経験は,その後の人間関係に大変重要な意味があります。
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