medicina 57巻6号 (2020年5月)

特集 教えて! 健診/検診“ホントのところ”—エビデンスを知り,何を伝えるか

岡田 唯男
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 予防や早期発見は,多くの人の関心事である(医学的なのか,金銭的なのかはさておき).実際,「健診」「検診」「予防」という言葉と「学会」でクロス検索すると,20弱の学会が一瞬で見つかる.

 本特集では,健診/検診の定義,その有効性をどう判断するのかといった総論,特定の疾患を対象とした検診の法的・医学的根拠(存在すれば)を踏まえ,それらのスクリーニング行為を実施・推奨する意義を判断するための情報を提示する.また,異常を指摘された患者が来院した場合に,その異常が何を意味するのか(どのくらい偽陽性を含むのか),二次精査のメリット・デメリットがどの程度存在するのか,などについて,できる限り定量的な情報提供を行う.つまり本特集は,異常値への対応を中心とした“臨床検査異常値マニュアル”や“疾患治療アルゴリズム集”ではなく,「その健診/検診は本当に必要なのか?」という問いから始められるための情報源となることを目的とした.

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今回の特集にあたって,EBMおよび総合診療領域でご活躍の南郷栄秀先生と対談させていただくことになりました.ほとんどの臨床家は何らかの症状を有する人への対応が診療の中心だと思いますが,症状のない人へのスクリーニングについては少し別の考え方をする必要があります.また,時間の限られた臨床現場で「誰にどのような健診/検診を推奨するのか」という実践に落とし込む際の考え方や,健診/検診に絡む倫理的な問題も含め,本特集の項目でカバーしきれなかった部分を中心にお話を聞かせていただこうと思います.(2020年2月7日 岡田)

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Point

◎スクリーニングはプロセスである.

◎スクリーニングの評価としてWilson基準やFrame & Carlsonの基準が有名であるが,最近では潜在的な利益と害の大きさのバランスを比較する基準が推奨されている.

◎スクリーニングの害として,スクリーニング検査による負担,偽陽性,陰性ラベリング効果,過剰診断とヒューマン・シールド,偶発的腫瘍について知っておくとよい.

◎健診には定期健康診断,特定健康診査,一般健康診査があり,一方代表的な検診である癌検診は対策型癌検診と任意型癌検診に分けられる.

◎人間ドックの多くの項目は,規定もなく任意に定められている.

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Point

◎一定の“健常”条件を満たす個人を「基準個体」として,その検査値を「基準値」と呼ぶ.そして基準値分布の中央95%区間が「基準範囲」として設定される.

◎基準範囲は検査値を解釈するうえで“健常”の物差しとなるが,正常か異常かの明確な区別には利用できない.これは以下の理由による.

◎予防医学的な観点で設定される「臨床判断値」は,基準範囲の内側に設定される.

◎個人の検査値の変動幅は,集団から算出された基準範囲より狭いので,検査値が基準範囲内でも,個人としては異常と見なすべき場合がある.

◎基準範囲を超えた検査値の解釈は,生理的変動要因や関連検査値とのバランスを考慮して総合的に行う必要がある.

健診の判定基準とその根拠 林 務
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Point

◎健康診断にはそれぞれ根拠となる法令があって実施主体も規定されており,生涯にわたって受けることができるが,未就労などの理由により健康診断を受けていない者もいる.

◎指導区分は,健康診断によっては法令で規定されているが,されていない健康診断もあり,それらでは医療機関や担当医により決められている.

◎判断基準が法令で規定されている健康診断は特定健康診査だけである.その他の健康診断は,施設または担当医の判断で指導区分が決定される.

◎判断基準は,基準範囲や臨床判断値から設定されたものだけではなく,過去の経験などから設定されているものもあり,疫学的な根拠に乏しいことがある.

◎指導区分は,医療面接と診察所見,関連する複数の検査結果を勘案して決定するものであり,判断基準をそのまま適用して指導区分を決定してはいけない.

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 本特集の大半は,無症状者における特定の疾病や病態の拾い上げを目的とした「検診」(screening)についてであるが,ここでは「健診」について記述する.「健診」はgeneral health checks,annual/periodic health checkup,well adult/child visitなどの用語が当てられ,特定の疾病を想定せず,ざっくりと「健康か,そうでないか」の判断をするための問診・身体診察・検査が組み合わせられたものを意味し,「検診」とは区別される.

 ただし,厚生労働省の審議会にて「健診は主に将来の疾患のリスクを確認する検査群であり,検診は主に現在の疾患自体を確認する検査群である.健診において行われる検査項目の一部は,測定値等により疾患リスクの確認と疾患自体の確認の両方の性質を持つ」とされている通り,その検査項目が特定の疾病を想定しているものもあることから,「健診」には一部「検診」の要素も含まれている1,2)

健診でよく実施される項目

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Point

◎わが国の健診には法定実施項目があり,そのなかでも問診では喫煙状況の聴取が,身体診察では体重・身長・BMIおよび血圧測定が重要である.

◎飲酒習慣,うつ病スクリーニング,家庭内暴力(子育て世代の女性),性行動カウンセリングは予防介入のエビデンスが強く,推奨度が高い項目である.

◎問診・身体診察においても,健診ではエビデンスを参照しつつ,患者・医療者の負担を考慮して行うことが重要である.

血算 西川 真子 , 矢冨 裕
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Point

◎身体所見による貧血症状は信頼性が低く,貧血の診断には血算が必要である.

◎貧血の鑑別には平均赤血球容積(MCV)と網状赤血球数に着目する.

◎高度の血球増減,幼若異型細胞の出現,多系統の血球異常の場合は専門医に速やかに紹介する.

脂質 周東 佑樹
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Point

◎健診で血清脂質異常があった場合,リスク分類,管理目標値を踏まえて指導し,適切に二次検診を案内する.

◎著明な高LDL-C血症の場合は,家族性高コレステロール血症の可能性も説明する.

◎二次検診では続発性高脂血症も考え,スクリーニング検査を施行する.

血糖値 大久保 佳昭
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Point

◎健診で血糖値を検査する目的は,糖代謝異常すなわち糖尿病ならびに境界型糖尿病(耐糖能異常)を発見することである.

◎法的に定められている一般健康診断や特定健康診断の両方に,血糖検査は含まれている.

◎血糖検査には血糖値(空腹時血糖値または随時血糖値)とHbA1cがある.糖尿病の診断の観点から,可能であればどちらか一方のみではなく,両方を測定することが望ましい.

尿検査 三野 大地 , 上田 剛士
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Point

◎健康診断における血尿の頻度は男性5%前後,女性10〜15%ほどと頻度が高い.一方,蛋白尿の割合は3〜4%程度である.

◎40歳以下の血尿では糸球体性腎炎を,中高年の場合は膀胱癌の検索が重要となる.

◎40歳以上で糸球体性血尿でない場合は尿路上皮系腫瘍,特に膀胱癌の検索をリスクを評価して検査を選択する.

◎尿検査での蛋白尿は一過性のものが多く,まずは尿検査の再検査を行う.

◎持続性の蛋白尿は心血管死亡率や腎障害の進行に関わるため,腎機能正常でも無視できない.

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Point

◎肝酵素(AST,ALT),膵酵素(アミラーゼ,リパーゼ)の測定は,健康診断や人間ドックなどの健診/検診で数多く実施されている.

◎肝酵素や膵酵素によるスクリーニング(無症状の人に検査を行うこと)の効果を示す明確な根拠は,現時点では存在しない.

◎スクリーニング前の情報提供に加え,異常値が出た場合には具体的な数字を挙げながら,その解釈や追加検査の実施の意義について被検者と十分に話し合うことが重要である.

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Point

◎早期癌では,ほとんどの腫瘍マーカーは血中に増加しない.腫瘍マーカーが高度増加であれば早期癌よりも進行癌の存在を疑う.

◎腫瘍マーカー値に影響を与える因子(喫煙,加齢,月経周期など)の有無を確認したうえで,腫瘍マーカー値を解釈する.

◎健診で無症状の人々に対して腫瘍マーカーによる癌のスクリーニングを行うことは,一般的には推奨されない.

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Point

◎リウマトイド因子(RF)や抗シトルリン化ペプチド(CCP)抗体,抗核抗体のみにより膠原病を診断・除外することは困難である.

◎RF陽性の無症候者には関節リウマチの発症予防として,必要に応じて禁煙や口腔ケア,減量を指導する.

◎上記に加えて,関節リウマチの初期症状を患者に説明し,出現時には3カ月以内にリウマチ科医を受診するよう伝える.

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Point

◎エコーは副作用や侵襲のない非常に安全な検査であり,スクリーニング検査として有用である.

◎超低リスクの乳頭癌で患者が非手術・経過観察を希望する場合には,適切な診療体制の下で行うことが推奨されている.

◎潜在性甲状腺機能低下症の37%は数年以内に機能正常に戻り,約2〜5%が顕性の甲状腺機能低下症に移行する.

◎甲状腺機能低下症の原因疾患はほとんどが橋本病であり,診断には抗サイログロブリン抗体(TgAb)測定が有用である.

心電図検査 近藤 秀和 , 髙橋 尚彦
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Point

◎わが国では労働安全衛生法によって,健診による心電図スクリーニングが義務づけられている.

◎心電図にて異常所見を認めた際は,陽性的中率などを鑑みて適切に心エコー図検査などの二次検査を勧める必要がある.

◎正常亜型と考えられてきた心電図所見が,危険な不整脈と関連があることが明らかになってきている.

胸部X線検査 鵜木 友都 , 吉野 俊平
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Point

◎健康診断における胸部X線検査の目的は肺結核のスクリーニングであったが,肺癌の早期発見の重要性が増してきている.

◎労働安全衛生法は労働者の健康診断について定めており,胸部X線検査は長らく必須の検査として行われてきたが,2010年度から条件を満たせば省略することができるようになった.

◎肺癌や肺結核以外で,胸部X線検査によって見つかる異常所見については,経過観察可能なものが多い.

腹部エコー 小川 眞広
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Point

◎任意型検診として行われる腹部エコーは,被検者(依頼者)との契約によって検査対象が決まるため,一概に標的臓器を規定できない.

◎健康診断で行われるエコーでは癌検診と異なり,癌以外の,生活習慣病のリスクにつながる慢性疾患の拾い上げも重要な役割となっている.

◎近年,脂肪肝のリスクが見直され,早期からの適切な治療介入が望まれている.

◎特に喫煙歴のある男性では,エコーによる腹部大動脈瘤のスクリーニングが推奨される.

◎3学会合同で発表した『腹部超音波検診判定マニュアル』の導入により,腹部エコーによる膵癌発見率は上昇したが,エコーによるスクリーニングで罹患率や死亡率が改善したというエビデンスは現時点で存在しない.

特定の疾病を見つけるための検診

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Point

◎メタボリックシンドローム健診(メタボ健診)は,糖尿病や心血管疾患のハイリスク群を見つけ出し,疾患の発症を予防することを目的としている.

◎メタボ健診におけるメタボリックシンドロームの基準および特定保健指導の基準はわが国独自のもので,世界的に統一されたメタボリックシンドロームの定義はない.

◎腹囲,身長/体重,血圧,血糖,脂質の値を基に,ハイリスクの判断をする.

◎ハイリスクと判断された場合,カウンセリングなどの支援を受ける.

◎メタボ健診が有効であるというエビデンスは,今のところ存在しない.

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Point

◎慢性閉塞性肺疾患(COPD)検診の利益と害に関する科学的根拠は不十分である.

◎機会費用について考える必要がある.

◎わが国では特定健診,肺癌検診にCOPD検診を導入する取り組みが行われている.

◎利益相反に注意する.

◎一般住民・患者と意思決定を共有する.

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Point

◎慢性腎臓病(CKD)は心血管イベントや末期腎不全のリスク因子である.

◎一般集団におけるCKD検診の有用性のエビデンスは確立していない.

◎一方で,高血圧や糖尿病を有する患者集団においては,費用対効果の観点からも有用である.

◎CKDを早期発見する場合には,尿検査,血清クレアチニン検査の両者による評価が望ましい.

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Point

◎認知症検診は,認知症の早期発見に有用である.

◎高齢者,特に独居・老々介護ではその意義が高まる.

◎認知機能検査では“内容”を見ること,経過を観察することが大切である.

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Point

◎日本は結核の中蔓延国であり,結核健診は必要である.しかし,結核患者の減少とともに,健診による結核患者発見率は低下している.

◎胸部X線所見では,終末細気管支から肺胞道周辺に形成される結核性病変を反映した散布性粒状影が特徴的である.

◎インターフェロンγ遊離試験(IGRA)の陽性的中率は結核の有病率の高い集団ほど高率となるが,有病率の低い集団では陽性的中率は低下し,偽陽性が増える.

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Point

◎肝炎ウイルス(B型肝炎ウイルス,C型肝炎ウイルス)感染を早期に発見することは,肝癌の発症抑止につながる.

◎健康増進法での肝炎ウイルス検査対象者は,基本的に一度しか肝炎ウイルス検査を受けることができない.

◎肝炎ウイルス検査陽性の場合,血液検査と超音波検査を中心とした精密検査を受診する.

HIV検診 菅長 麗依
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Point

◎ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のスクリーニング検査が陽性であっても,HIV感染確定ではないことに注意する(必ず確認検査を行う).

◎早期発見・早期治療すれば,HIV感染者の予後は非感染者と変わらない.

◎プライマリ・ケア医は患者のHIVリスクを見極め,ハードルを下げてHIV検査の適応を考えるべきである.

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Point

◎梅毒は,近年届出数が急増している性感染症の1つである.

◎梅毒の血清検査は,病歴と身体所見(感染リスク,梅毒の既往,症状・所見の有無)を踏まえて判断する(検査結果だけで診断はできない).

◎非トレポネーマ抗原検査またはトレポネーマ抗原検査のいずれかが陽性であれば,梅毒感染のリスク評価を行ったうえで,感染の可能性の有無を判定する.

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Point

◎心疾患・動脈硬化性疾患は,冠動脈CT,足関節上腕血圧比(ABI)検査,心エコー検査などにより早期発見・早期介入できる可能性がある.

◎CTによる冠動脈石灰化スコアは,特に中等度リスクの患者において虚血性心疾患によるイベントと強い相関を有し,リスク層別化の精度を上げるが,アウトカムの改善につながるエビデンスには乏しい.

◎ABI検査は広くスクリーニングに用いる根拠には乏しいが,特に有症状患者では全身の動脈硬化性疾患を拾い上げられる可能性がある.

◎心エコー検査は心臓弁膜症の診断に必要不可欠な検査であるが,ルーチンではなく一次スクリーニングで異常が認められた場合に考慮するべきである.

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Point

◎閉経後女性の骨粗鬆症検査を受けるきっかけは「検診」が最も多い.

◎骨粗鬆症検診の問題点として,低い実施率と受診率,骨密度中心の判定,対象年齢,検診間隔などがある.

◎米国予防医学専門委員会(USPSTF)では,65歳以上の女性や64歳以下の閉経後女性で危険因子のある人に骨粗鬆症検診を勧めている.

◎骨粗鬆症の危険因子には両親の大腿骨近位部骨折歴,喫煙,過度の飲酒,低体重などがある.

◎骨粗鬆症の危険因子を含んだ評価ツールとして,FRAX®などがある.

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Point

◎脳ドックは日本で生まれた日本独自のシステムで,自由診療である.

◎中・高齢者や家族歴・生活習慣病などの危険因子を有するハイリスク群に勧められる.

◎異常が見つかった際は,今後の方針決定のために専門医受診が望ましい.

◎説明は対面で画像を見ながら質問を受ける.脳動脈瘤の破裂リスクだけでなく,患者背景や基礎疾患も念頭に置いた包括的な情報を丁寧に説明し,患者の精神的な面に配慮した説明を行うよう留意する.

代表的な癌検診

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Point

◎大腸癌検診は有効性(大腸癌死亡リスクの減少効果)が既に証明された癌検診である.

◎わが国の対策型検診では,年1回の便潜血検査免疫2日法が用いられている.

◎米国においては,10年に1回の全大腸内視鏡検査(TCS)が大腸癌検診の主流である.

◎日本と米国の大腸癌死亡率の差はTCS受診率の差によるものと考えられる(10年間の受診率:日本約18% vs. 米国60%).

◎大腸癌検診においては,検診受診率の向上(国の目標は50%以上)が最も重要である.

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Point

◎胃内視鏡検診が対策型検診・任意型検診に推奨されることとなった.

◎2020年度より「胃がん検診専門技師」による読影補助認定制度が設けられた.

◎ABC検診の検診導入には,血液検査の判定基準の設定など,さらなる検討が必要である.

前立腺癌検診—(PSA測定) 武内 巧
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Point

◎大規模無作為化前向き臨床試験において,前立腺特異抗原(PSA)測定群はPSA未測定群に比べて25〜32%程度,前立腺癌死亡が減少する.

◎組織化されたPSA検診の意義については,主に検診外でのPSA曝露率の高さの観点から議論の余地がある.

◎本邦において,PSA検診によって前立腺癌が診断される割合は約1%である.

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Point

◎胸部X線検査や喀痰細胞診により肺癌死亡率が低下したというエビデンスは認められていない.

◎低線量CTによる肺癌検診では,明らかな肺癌発見率の上昇を認めているが,同時に偽陽性率も高まっている.

◎胸部X線での肺癌検診には限界があることを知り,高リスク患者にはCTスクリーニングを勧めるべきである.

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Point

◎マンモグラフィ検診は乳癌死亡率を20%減少させる(利益).

◎それは,およそ1,000〜2,500人の女性が10年間検診を受けると,1人の乳癌死を減らすことを意味する.

◎一方,偽陽性,偽陰性,過剰診断,被曝,費用という不利益が生じるため,利益・不利益バランスを考慮した受診者への説明が重要である.

特集の理解を深めるための30題

問題/解答

連載 見て,読んで,実践! 神経ビジュアル診察・25

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 前回は外転神経麻痺について勉強しました.外眼筋を支配する神経では,上斜筋・外直筋以外を支配する動眼神経が大きな役割を果たしています.動眼神経は外眼筋だけでなく,上眼瞼の動きや瞳孔の調整などにも働きます.一見して症状が派手で障害がわかりやすいイメージがあり,動眼神経麻痺を見たら脳動脈瘤を否定せよ!と記憶している方も多い有名な所見も呈します.今回は動眼神経麻痺について勉強していきましょう.

 

*本論文中、関連する動画を見ることができます(公開期間:2022年4月30日まで公開)。

連載 ケースレポートを書こう! acceptされるために必要なこと・2

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 前回,ケースレポートになりうる症例について6つの特徴を紹介し,①と②について解説した.引き続き今回は③〜⑥について,“ダメなケースレポート”の例を通じて,観点・アイディアにより症例がいかにケースレポートになりうるかを解説する.

連載 フレーズにピンときたら,このパターン! 鑑別診断に使えるカード・5

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総論

 肝硬変の多くはB型肝炎ウイルス(HBV),C型肝炎ウイルス(HCV)が関与している.2008年の日本のデータは図11)の通りであり,HBVとHCVで約75%を占めている.肝硬変の際のHBVのcheckはHBs抗原とHBc抗体で行う.肝硬変が進行して増殖が衰えるとHBs抗原は低値になる場合があるからである.その他にはPSCや先天性胆道閉鎖症,沈着病(Wilson病,ヘモクロマトーシス,糖原病など)が含まれている.では肝硬変でHBV,HCV陰性の際にどういったことを考えるか見ていこう.

連載 物忘れ外来から学ぶ現場のコツ 認知症患者の診かた・24

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ポイント

認知症の“受容”は本人よりむしろ介護者にとって難しい課題ですが,認知症の「予後」を大きく左右します.

連載 目でみるトレーニング

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 私が書評を書くにふさわしい人間かどうかわからないが,開業医の立場から解説する.ウィリアム・オスラーの『平静の心-オスラー博士講演集(Aequanimitas)』(医学書院,2003)は名著であるが,難解である.精読したいとは思うが,数ページで挫折してしまうのは私だけではないかもしれない.3人のオスラリアン(オスラー伝道医師)が,わかりやすく実例を交えて解説し,臨床現場で平易に活用できる一冊としたのが,『こんなときオスラー—『平静の心』を求めて』である.

 8つの大きな見出し(「臨床上の葛藤-医師と患者のはざまで」「日々の勉学の中で」「教師と生徒」「進むべき道への迷い」「理想の医師像を求めて」「人生と平和と愛と」「付録」「オスラーの生涯と言葉」)で構成され,いつでも,どこからでも,気になったところから読める.臨床に悩んだときに探しやすい構図になっている.この厚さなら軽いので寝転んでも読めるし,急患が来たら,読み止めることもできる.もうあなたは,『平静の心』を仮眠用の枕にしなくてもよいのである.なんて斬新な試みだろう.

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 がん薬物療法剤は,化学療法剤,ホルモン療法剤,分子標的薬と合わせて,現在では150種類を超える数となった.さらに,これらの薬剤は単剤で投与されるのではなく,複数の薬剤を組み合わせて,「レジメン」として投与される.

 がん薬物療法専門医が不足している日本では,まだまだ,がん薬物療法の標準治療がきちんと行われているとは言い難い状況にある.「エビデンスに基づく標準治療の実践」は日本における長年の課題である.がん薬物療法のレジメンとその対応マニュアルは,病院ごとに作成・管理されるものであり,各病院のノウハウが詰まったものである.優れたレジメンマニュアルは,専門医の多い病院では,作成するのはたやすいことであったと思われるが,専門医がいない,少ない病院では,きちんとしたレジメンマニュアルを作るのは困難であった.

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 構造的心疾患(structural heart disease:SHD)に対するカテーテル治療の必要性は,飛躍的に広まっています.

 カテーテル治療は1970年代に冠動脈形成術が開始され,現在の第2世代薬剤溶出性ステントを用いた冠動脈インターベンション(PCI)において,冠動脈バイパス術と並ぶ標準的治療法となりました.冠動脈領域のみならず,末梢血管領域,SHD領域にも,手術と並ぶカテーテル治療が出現し,一部とって代わる時代になりつつあるのは,低侵襲を望む患者さんの希望の現れでもあります.現在では,冠動脈領域,末梢血管領域,SHD領域はカテーテル治療の3本柱となり,広く行われる体制と変わってきています.

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57巻6号 (2020年5月)
電子版ISSN:1882-1189 印刷版ISSN:0025-7699 医学書院

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