書評
—平島 修,徳田安春,山中克郎 著—こんなときオスラー—『平静の心』を求めて
中西 重清
1
1中西内科
pp.832
発行日 2020年5月10日
Published Date 2020/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402226978
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私が書評を書くにふさわしい人間かどうかわからないが,開業医の立場から解説する.ウィリアム・オスラーの『平静の心-オスラー博士講演集(Aequanimitas)』(医学書院,2003)は名著であるが,難解である.精読したいとは思うが,数ページで挫折してしまうのは私だけではないかもしれない.3人のオスラリアン(オスラー伝道医師)が,わかりやすく実例を交えて解説し,臨床現場で平易に活用できる一冊としたのが,『こんなときオスラー—『平静の心』を求めて』である.
8つの大きな見出し(「臨床上の葛藤-医師と患者のはざまで」「日々の勉学の中で」「教師と生徒」「進むべき道への迷い」「理想の医師像を求めて」「人生と平和と愛と」「付録」「オスラーの生涯と言葉」)で構成され,いつでも,どこからでも,気になったところから読める.臨床に悩んだときに探しやすい構図になっている.この厚さなら軽いので寝転んでも読めるし,急患が来たら,読み止めることもできる.もうあなたは,『平静の心』を仮眠用の枕にしなくてもよいのである.なんて斬新な試みだろう.
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