medicina 56巻7号 (2019年6月)

特集 抗菌薬をアップデートせよ!—耐性菌に立ち向かう! 適正化の手法から新薬の使い分けまで

岸田 直樹
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 近年,感染症界がざわついている.医療の様々な分野が日々進歩し,変化し続けているが,感染症界の変化は大きさ・スピード・性質のいずれも他の分野の比ではない.その背景としてあるのは「世界的驚異的な耐性菌拡大→耐性菌関連死の明らかな増加」だ.これを踏まえ,国内では薬剤耐性(AMR)アクションプランとして2020年度を目指した耐性菌減少目標や抗菌薬使用量削減が具体的に設定されており,皆が,何より感染症コンサルタントの筆者自身がその目標達成に向け必死だ.

 このような社会背景から,①既存抗菌薬の添付文書の変化,②あまり使用されなくなった抗菌薬の市場からの撤退,③新たな抗菌薬の国内採用,といった抗菌薬の変化だけではなく,④投与期間の短縮,⑤早期内服・外来治療,⑥治療しない細菌感染症,といった“感染症治療の定説”をもゆるがす戦略の変化も大きい.また,適正使用のためにもより迅速かつ正確な診断を目指して,質量分析器,迅速PCR検査といった検査機器の開発スピードが明らかに早い.正直,感染症専門医であってもついていくのは容易いことではない.まして,感染症を専門としない医療者は,なおさらその気持ちが強いであろう.感染症は臓器横断的な分野であり,関係しない医療者はまずいないうえに,日本には気軽に相談できる臓器横断的な診療ができる感染症専門医はまだまだ少ない.そんななか,耐性菌の驚異的拡大はさらに世界的な公衆衛生学的脅威となり,よくある感染症で死ぬ時代は着実に迫りつつある.

特集の理解を深めるための28題

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耐性菌の世界的な拡大が驚異的な速さで進んでいることから,抗菌薬を適正に使用しようという動きがより高まっています.そこで本日は,変化の激しい抗菌薬事情をアップデートし,適正使用を次のフェーズへ進めるために,抗菌薬の適正使用に第一線で取り組まれている大曲先生から,現状と今後についてお聞かせいただけたらと思います.(岸田)

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Point

◎感染症治療の定説をも揺るがす戦略の変化.

◎新規参入している抗菌薬の多くは高価な類似薬.

◎既存の抗菌薬をより適正化するためのアップデートが最優先.

◎耐性菌は制圧ではなく上手な共存を.

◎新しい時代の抗菌薬適正使用チームへ変化させる.

系統別アップデート① 基本事項の確認と新しいエビデンス,添付文書変更をアップデートせよ!

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Point

◎ペニシリン系抗菌薬の基本構造は,β-ラクタム環にチアゾリジン環が結合し側鎖(R)が結合した構造となっている.

◎ペニシリン系抗菌薬の作用機序は細胞壁合成阻害である.

◎ペニシリン系抗菌薬のアレルギーは正しく評価すべきである.

◎ペニシリン系抗菌薬の添付文書改訂があり,用量と適応を確認すべきである.

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Point

◎セフェム系抗菌薬は非常に安全な薬剤であり気楽に使いやすい.

◎ただし,気楽なゆえにスペクトルの広い第3世代経口セフェムが漫然と使われていることが問題となっている.

◎セフェム系抗菌薬は,各世代別でターゲットが異なり,かつ,同じ世代内でもターゲットが異なる場合があるため,原因菌を想定した抗菌薬の選択がかなり重要となる.

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Point

◎カルバペネム系抗菌薬は,耐性菌出現防止の観点から適正使用が求められる.

◎カルバペネム系抗菌薬のPK-PD指標はfT>MIC(%T>MIC)である.

◎わが国で検出されるカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)の多くは基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)やAmpC過剰産生菌に,抗菌薬の菌体内への透過性が低下するなどの複数の耐性機序を獲得した細菌である.

◎CREのほかにも,カルバペネム系抗菌薬に感性を示すカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)の動向に注意が必要である.

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Point

◎キノロン系抗菌薬は結核菌に活性があり,結核の可能性を検討せずに使用するのは避ける.

◎大動脈瘤,大動脈解離の発症と関連するとされ,新しく添付文書の改訂がされた.

◎米国食品医薬品局(FDA)は2016年に細菌性急性副鼻腔炎,細菌性急性気管支炎,単純性尿路感染症では他の治療選択肢がある場合には選択すべきではないと推奨している.

抗MRSA薬をアップデートせよ 鴨志田 聡
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Point

◎バンコマイシンのMIC≧2μg/mLの場合,他の抗MRSA薬を考慮する.

◎バンコマイシンとピペラシリン/タゾバクタムの併用は腎障害のリスクが上がる.

◎「なんとなく」標準治療にリファンピシンを併用することは控える.

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Point

◎わが国では,アスペルギルス属やカンジダ属などによる真菌感染症に対して,ポリエンマクロライド系・アゾール系・キャンディン系抗真菌薬のなかから適切な抗真菌薬を選択していく.

◎antifungal stewardshipに対する関心が高まっており,カンジダ血症に対するバンドルの活用やボリコナゾール(ブイフェンド®)のTDM(薬物治療モニタリング)などを行っていく.

◎キャンディン系抗真菌薬に耐性のCandida glabrataなどの耐性菌が報告されてきている.

◎移植患者の予防投与や小児などの特殊集団に対して適応拡大となっている.

系統別アップデート② 臓器別感染症治療戦略をアップデートせよ!

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Point

◎咽頭炎では,Centor criteriaで検査前確率を見積もり,迅速検査陽性例のみ治療する.

◎急性中耳炎と急性鼻副鼻腔炎は自然治癒が望める疾患であり,軽症例では抗菌薬は処方しない.

◎咽頭炎,中耳炎,鼻副鼻腔炎いずれにおいても,第一選択薬はアモキシシリンである.

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Point

◎わが国では,これまでのガイドラインを統合する形で,成人肺炎診療ガイドライン2017が発表された.NHCAP/HAPにおいて,疾患終末期や老衰の患者では,個人の意思や生活の質を重視した治療やケアが選択されるようになった.

◎各国のガイドラインは地域のアンチバイオグラムや,蓄積されたエビデンスによって異なる.米国を除く,日本,欧州,英国のガイドラインでは軽症のCAPには,非定型病原体カバーを必ずしも必要としないというスタンスである.

◎肺炎診療の抗菌薬選択は,起炎菌推定と重症度判定の二段構えで行う.病歴,身体所見,グラム染色,迅速検査で起炎菌を推定する.グラム染色で起炎菌が推定できた場合は,狭域抗菌薬による治療を検討する.

◎重症CAPであれば,β-ラクタム系薬とマクロライド(あるいはレボフロキサシン)の2剤併用が望ましい.

◎安易にガイドラインに沿ったエンピリック治療に走るのではなく,起炎菌を想定した治療戦略が重要である.

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Point

◎薬剤耐性菌の拡大によって腹腔内感染症の抗菌薬治療は難化してきている.

◎感染源の適切なコントロールができている症例では短期間の抗菌薬治療で十分である.

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Point

◎腸内細菌を理解する.

◎施設の腸内グラム陰性桿菌の感受性パターン(アンチバイオグラム)を把握する.

◎腸内グラム陰性桿菌のアンチバイオグラムをもとに院内での第1選択薬を決めておく.

◎レンサ球菌および腸球菌などのグラム陽性球菌の血流感染を伴う胆道感染症の治療期間は最低2週間が安全である.

◎軽症および中等症(GradeⅠおよびⅡ)の急性胆囊炎では,術前および術中のみの抗菌薬投与が推奨される.

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Point

◎単純性膀胱炎から分離される大腸菌のセファロスポリン系薬,キノロン系薬,ST合剤に対する耐性率はいずれも10〜15%前後である.

◎単純性膀胱炎に対する抗菌薬は日本のガイドラインではキノロン系薬やセファロスポリン系薬,米国のガイドラインではST合剤などが推奨されている.

◎日本でも単純性膀胱炎にはST合剤が有効であると考えられる.

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Point

◎尿道炎の治療では,まずは淋菌とクラミジアを主なターゲットとしてセフトリアキソンとアジスロマイシンで治療する.

◎淋菌とクラミジアの検査が陰性の尿道炎患者ではMycoplasma genitaliumの関与を考えモキシフロキサシンの投与を考慮する.

◎梅毒の標準治療は海外ではbenzathine penicillin G筋注だが,本邦ではアモキシシリン内服で治療している.

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Point

◎中枢神経感染症で,最も多いのは,無菌性髄膜炎である.可能ならば,不要な抗菌薬大量投与はなくすべきである.もしも,細菌感染症で抗菌薬を用いない場合,必ず状態は悪化する.細やかな全身状態の観察で対応可能である.

◎免疫正常と考えられる50歳未満の成人において,起炎菌不明な場合,カルバペネム系抗菌薬を第一選択とするガイドラインもあるが,従来のIDSAガイドラインにあるようにバンコマイシン+第3世代セフェム系抗菌薬を第一選択に推奨するのがよい.

◎細菌性髄膜炎に対するステロイド投与は,肺炎球菌が強く疑われる場合に限り,外科的侵襲後の細菌性髄膜炎に関しては,推奨しない.

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Point

◎感染性心内膜炎(IE)に対する抗菌薬治療で重要なことは,起因菌に対して最適な抗菌薬を十分な量で,十分な期間投与することである.

◎黄色ブドウ球菌が原因の自然弁IEに対するゲンタマイシン併用は推奨されなくなった.

◎ペニシリン感性の腸球菌に対する新たな治療選択肢として,アンピシリンとセフトリアキソンを併用するダブルβラクタム療法が地位を確立してきている.

◎経口抗菌薬へのスイッチをテーマとした研究も進んでいるが,日本国内の診療において積極的な活用を支持するほどのエビデンスは揃っていない.

実際どうする適正化! 手法とお得感・安心感

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Point

◎抗菌薬適正使用とは,抗菌薬を必要なときだけ使い,使うなら適切に使うことである.

◎抗菌薬適正使用を推進するため抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の評価や『抗微生物薬適正使用の手引き』が発行されるなどの施策が行われている.

◎感染症診療の基本ステップを理解し現場で実践することが抗菌薬適正使用につながる.

◎市民レベルでの知識向上も抗菌薬適正使用の鍵になる.できるところから取り組んでいこう.

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Point

◎咽頭炎の原因の多くはウイルス性であり抗菌薬は不要である.

◎ウイルス性か細菌性かを考える際には炎症の限局性を考慮する.

◎溶連菌性咽頭炎に“DU”はお薦めしません.

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Point

◎創傷は消毒せず,水道水や生理食塩水で十分に洗い流すのみでよい.

◎縫合処置後の抗菌薬投与は必須ではない.ただし,動物や人による咬傷では抗菌薬の予防投与を行う.

◎動物咬傷や屋外での受傷では破傷風トキソイドの投与を検討する.

◎海外での動物咬傷では狂犬病ワクチンの接種を検討する.

◎創傷感染の治療では経口第3世代セフェム系抗菌薬の出番はない.

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Point

◎「急性下痢症には抗菌薬処方」がデフォルトの人は「抗菌薬なし」をデフォルトにアップデートしよう.

◎患者へのメリットがない「無差別殺菌」はよかれと思っても,かえって患者にとって有害になりかねない.

◎患者への説明の際は,ネガティブな言葉だけでなく,ポジティブな言葉も使おう.

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Point

◎マクロライド系抗菌薬の種類とそれぞれの違いを理解し,それぞれがカバーする微生物を把握する.

◎「咳」という病態ではなく,その咳の原因となる「微生物」に対してマクロライドを処方する.

◎咳に対して,気道の炎症抑制でマクロライドを処方する際は,デメリットを上回るメリットがあるかどうかを検討する.

◎マクロライドを処方するときは,使用している薬剤との相互作用に注意する.

◎咳に対して,ハチミツによる鎮咳作用も検討してみる.

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Point

◎キノロン系抗菌薬の使用,ESBL産生菌の増加などにより,これまでよく使用されてきたレボフロキサシンの大腸菌の感受性は低下してきている.

◎キノロン系抗菌薬の副反応・適正使用がクローズアップされており,米国食品医薬品局(FDA)や米国泌尿器学会が勧告を出している.

◎膀胱炎は無治療でも約半数は改善する.1日1,500mLの水分摂取増加は膀胱炎の再発頻度を減少させる.

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Point

◎市中肺炎はオーグメンチン+サワシリンの“オグサワ”で治療可能である.

◎キノロン系抗菌薬は耐性化と結核見逃しのリスクあり.

◎非定型肺炎は常にカバーは不要である.

耐性菌治療戦略をアップデートせよ! こんなときどうする?

ESBL感染症に立ち向かう 成田 雅
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Point

◎ESBL産生菌による感染症では,全身状態,起因菌(肺炎桿菌の有無),感染巣のコントロール,最小発育阻止濃度(MIC値)を吟味する.

◎これらの条件がクリアできない場合は,カルバペネム系抗菌薬の使用継続はやむを得ない.

◎可能であれば,非カルバペネム系抗菌薬への変更を試みる.

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Point

◎カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症のなかでもカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)感染症は予後が不良であり治療薬の選択肢が少ない.

◎多剤耐性のCPEの治療薬としてコリスチンやチゲサイクリンがあるが,これらの薬剤による単剤治療の治療効果は不確かである.

◎海外のCPE感染症治療の臨床研究では,特に重症例においては多剤併用療法の有効性が示唆されている.

◎CPEの感染症治療に,併用薬としてカルバペネムの高用量・長時間投与が選択される場合がある.

◎日本と海外ではCPEの微生物学的特徴や薬剤感受性が異なる.

MRSA感染症に立ち向かう 横田 恭子
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Point

◎MRSA感染症はその広がりを評価することが重要である.

◎抗MRSA薬の欠点と利点を理解する.

◎感染の部位によっては併用療法を行う必要がある.逆に根拠のない薬剤の併用は行わない.

◎出現しうる合併症,使用する薬剤による副作用をあらかじめ予想して治療を行う.

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Point

◎3系統(特に広域β-ラクタム剤,アミノ配糖体,フルオロキノロン)の抗菌薬に対して耐性を示すアシネトバクターおよび緑膿菌をそれぞれ多剤耐性アシネトバクター(MDRA),多剤耐性緑膿菌(MDRP)と呼ぶ.

◎コリスチンはMDRA・MDRPにも効果をもつ可能性が高い.

◎チゲサイクリンはMDRAに効果をもつ可能性が高い.

◎これらの抗菌薬は決して「強力な最終兵器」ではなく,むしろ「ほかに方法がないので仕方なく使う」ことを意識し,慎重に使用する.

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Point

◎AmpC産生菌には染色体性AmpCの過剰産生によるものと,プラスミド性AmpCの産生によるものがある.

◎AmpC産生菌は阻害薬合剤を含むペニシリン系,第3世代までのセフェム系,アズトレオナムに耐性を示す.

◎AmpC産生菌は(他の耐性機構が共存していなければ)セフェピム,カルバペネム系には感性である.

◎β-ラクタム薬による治療の第一選択はカルバペネム系とされるが,セフェピムが使える場面ではこれを有効な代替選択肢として検討したい.

新薬の情報を正しくアップデートせよ! 新しい抗微生物薬とその使い分け

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Point

◎フィダキソマイシンは狭域スペクトラムで腸管吸収の乏しい新たなクロストリジウム腸炎(CDI)の治療薬である.

◎フィダキソマイシンはCDI再発リスクの高い患者には有用である.

◎フィダキソマイシンはがん患者をはじめとする特別なCDI患者で特に有用である.

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Point

◎テジゾリドは,グラム陽性菌に対して広く抗菌活性を示し,皮膚軟部組織感染症に有効なオキサゾリジノン系抗菌薬である.

◎テジゾリドはリネゾリドに比べて,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)との併用によるセロトニン症候群が起きる可能性がほぼないこと,また1日1回の内服で済むことが利点であるが,長期使用の安全性に関するデータに乏しい.

◎テジゾリドの適応症であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による皮膚軟部組織感染症では,経口のテジゾリドの代わりに,安価で昔から使われている経口抗菌薬であるクリンダマイシン,ST合剤,ドキシサイクリンやミノサイクリンを優先して使うべきである.

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Point

◎24年ぶりに新規発売される新しいセフェム系抗菌薬である.

◎緑膿菌,ESBLs,AmpC産生菌のような薬剤耐性菌に効果が期待できる.

◎腹腔内感染症,尿路感染症に適応があるが,薬剤耐性菌治療薬の側面が強いため,安易に使用しない.

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Point

◎バロキサビルは罹病期間をプラセボより約1日短縮するが,オセルタミビルとは差がない.

◎バロキサビルはI38変異のないインフルエンザウイルスの排出期間をプラセボ,オセルタミビルよりも短縮する.

◎バロキサビル投与患者においてI38変異を有する低感受性株を1〜2割に検出しており,ウイルス排出期間がプラセボよりも延長する.

◎A型インフルエンザにおいてバロキサビルの優先順位は非常に低い.

連載 見て,読んで,実践! 神経ビジュアル診察・14

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 前回は表在感覚のなかでも触覚・痛覚について学習しました.今回は,深部感覚の1つである振動覚について勉強していきます.振動覚の診察が役立つのは,糖尿病性神経障害や脊髄病変を診断するときです.音叉があれば評価するのは簡単です.ではどのように調べていくのでしょうか? 一緒に勉強していきましょう!

連載 医師のためのビジネススキル・13

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事例

地域の中規模病院で働くA医師は一般急性期病棟の病棟医長をしている.日々主任看護師とも連携をとりながら病棟運営を行っている.医局員のB医師はとても真面目で,急患の入院患者の担当も嫌な顔をせずにすべて引き受け,何でも頼みやすい存在だった.しかし最近,サマリーや主治医意見書の書類提出が滞り始めていることが気になっており,顔色も浮かないし会話も弾まないうえ,病棟の看護師からも,指示ミスを指摘されてダメ出しをされていた.主任看護師からも,B医師は最近様子がおかしく,カルテの前で固まっていることがよくあり,思考がまとまらないのか「他の先生はどうしてる?」と看護師に聞くようになったと教えてくれた.

連載 物忘れ外来から学ぶ現場のコツ 認知症患者の診かた・13

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ポイント

共倒れを防ぐための介護者支援が重要で,持続可能な対策が必要になります.

連載 目でみるトレーニング

連載 母性内科の「め」 妊婦・授乳婦さんのケアと薬の使い方・12

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症例

 34歳のGさんは生来健康で,もうすぐ3歳になる息子の育児に追われる日々を送っていました.現在,第2子を妊娠しており妊娠26週3日になります.2週間前の妊婦健診までは問題なく経過していました.今日の診察では赤ちゃんの発育は順調でしたが,50gブドウ糖チャレンジ試験(glucose challenge test:GCT)が153mg/dLと陽性で,妊娠糖尿病の疑いがあることを指摘されたため,母性内科外来を受診することになりました.結果に愕然としたGさんは診察室に入るなり医師に尋ねました.

Gさん:「私は糖尿病なんでしょうか?」

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 現在,購入者が極めて限られているはずの医学書が数多く出版されている.検査関係の書籍もしかり.同年卒業の本田孝行先生と私の頃とは隔世の感がある.

 数多の書籍から読むに値する検査の本を探し出す検査法が必要なほどである.多くは似たような内容,構成であり実際の選択に迷う.一冊手に取ってみよう.その書籍を読了した後に見える景色はいかがなものであろうか? 果たしてもう検査で悩むことはない自分を具体的にイメージできるだろうか?

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 本書は,著者の倉原優氏が10年以上地道に取り組んできた呼吸器分野の診療において,それらが過去の研究や論文の結果(エビデンス)に基づくものかどうかを項目ごとに論じた最新書である.「呼吸器一般」,「感染症」,「閉塞性肺疾患」,「間質性肺疾患」,「肺がん」の5章に分かれており,それぞれの章ごとに重要な小テーマが取り上げられ,さまざまな角度から解説がなされている.解説は過去の大きなスタディの結果を紹介しながら,その分野にどのようなエビデンスがあるのか,もしくはないのかを丁寧に説明している.時折,著者自身の臨床現場でのプラクティスも紹介されており,そのコメントも示唆に富んでいる.

 私たち臨床医は臨床現場で患者を診療するときに,多くの困難な問題,ジレンマに直面する.臨床医は後輩医師や学生,患者の家族に治療方針について説明する際に,判断の根拠となるものが過去の研究や論文の結果に基づくものなのか(EBM),あるいはエビデンスを踏まえつつも臨床医個人の経験や見解に基づくものなのか,をよく熟知しておく必要がある.本書はそれらについて非常に明快に解説してくれている.

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基本情報

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56巻7号 (2019年6月)
電子版ISSN:1882-1189 印刷版ISSN:0025-7699 医学書院

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