特集 抗菌薬をアップデートせよ!—耐性菌に立ち向かう! 適正化の手法から新薬の使い分けまで
系統別アップデート② 臓器別感染症治療戦略をアップデートせよ!
下気道感染症(肺炎)をアップデートせよ
中島 啓
1
1亀田総合病院呼吸器内科
pp.1036-1039
発行日 2019年6月10日
Published Date 2019/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402226343
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Point
◎わが国では,これまでのガイドラインを統合する形で,成人肺炎診療ガイドライン2017が発表された.NHCAP/HAPにおいて,疾患終末期や老衰の患者では,個人の意思や生活の質を重視した治療やケアが選択されるようになった.
◎各国のガイドラインは地域のアンチバイオグラムや,蓄積されたエビデンスによって異なる.米国を除く,日本,欧州,英国のガイドラインでは軽症のCAPには,非定型病原体カバーを必ずしも必要としないというスタンスである.
◎肺炎診療の抗菌薬選択は,起炎菌推定と重症度判定の二段構えで行う.病歴,身体所見,グラム染色,迅速検査で起炎菌を推定する.グラム染色で起炎菌が推定できた場合は,狭域抗菌薬による治療を検討する.
◎重症CAPであれば,β-ラクタム系薬とマクロライド(あるいはレボフロキサシン)の2剤併用が望ましい.
◎安易にガイドラインに沿ったエンピリック治療に走るのではなく,起炎菌を想定した治療戦略が重要である.
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