Brain and Nerve 脳と神経 15巻8号 (1963年8月発行)

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特集　神経生理

シナプス前抑制の機序 John　C．　Eccles , 伊藤　正男 15巻8号 , 1963年8月 , pp.725-728

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　Eccles教授は4月2日大阪において「中枢神経系におけるシナプス前抑制とシナプス後抑制」と題し，脊髄において運動神経細胞に種々の求心線維から集中するインパルスが，シナプス前抑制とシナプス後抑制の二つの異なる抑制過程を惹起し，これら抑制過程は脊髄反射機構においてそれぞれ異なる綜合作用を発現することを述べた。この講演原稿はすでに生体の科学（第14巻62〜76頁）に載せられている。これにつづき4月13日東京で行なわれた講演では「シナプス前抑制」と題し，この抑制過程の起こる実際の機序についての知見がまとめて述べられた。以下その講演要旨を紹介する。挿図は講演中示されたスライドを筆者が適当に配列したものであることをおことわりしておく（伊藤正男記）。

　シナプス前抑制なる現象は1957年FrankおよびFuortesにより初めて気づかれたものであるが，この過程は，猫の脊髄運動神経細胞に単シナプス結合を介して惹起される興奮過程が，シナプス前において，他の経路より送られたインパルスのために抑制されるものである。第1図Aに示すように，gastrocnemius-soleus筋よりでるIa群の求心性衝撃により発生する単シナプス反射を前根で誘導しておき，これに先行してposterior biceps-semitendinosus筋よりでるI群の求心性線維に300c／sの頻度で4発の条件刺激を与えると単シナプス反射はいちじるしく抑制され，グラフに示すようにこの抑制は300msec以上にもおよぶ。運動神経細胞より細胞内誘導を行なつてみると，この条件刺激によつては細胞の膜には何の変化も起こらぬが，単シナプス径路より発生する興奮性シナプス電位（EPSP）の大きさが，反射抑制とほぼ同様の時間経過で20〜30％減少するのがわかる（第1図B）。すなわちシナプス前抑制はシナプスより分泌させる伝達物質の量を減少させるのがその本質的な過程であり，運動神経細胞の膜電位を変化させるシナプス後抑制とはまつたくその機序を異にする。

中枢性抑制に対する脳の機序 Horace　W．　Magoun , 時実　利彦 15巻8号 , 1963年8月 , pp.729-733

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　神経生理学に，抑制inhibitionの概念が最初に導入されたのは1845年であつて，Weber兄弟^1）が迷走神経を電気刺激すると，心臓の拍動が遅くなつたり止つたりすることを観察した実験にはじまる。

　その後1862年には，Sechenov^2）がカエルの脳を刺激して脊髄反射が抑制されることを実験的に証明し，中枢性抑制の概念を提示した。その頃，医学生であつたPavlov^3）は，この実験をまとめたSechenovの"Reflexes of the Brain"（1866）から深い感銘を受けたようで，唾液や胃液の分泌に対する精神的影響について研究をはじめ，これが条件反射学の体系づけにまで発展したのである。そして，彼の条件反射学における重要な根本原理は内抑制internal inhibitionの概念である。

Dr．　H．　W．　Magoun紹介　Dr．　J．　C．　Eccles紹介時実　利彦 , 伊藤　正男 15巻8号 , 1963年8月 , pp.733

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　私がCalifornia大学のMago—un先生の研究室へお世話になつたのは，1954年の秋から約1年間で，シカゴのNorthwestern大学から数年前に解剖学主任教授として迎えられ，研究室の整備と拡充に忙しい日を送つておられたころである。シカゴでは，Ranson教授のもとで脳定位固定装置を駆使して，脳の深部構造（視床下部や下部脳幹）の自律機能や運動機能について多彩な研究を展開し，さらに脳波を活用して，網様体賦活系を設定して，意識の生理学的機序を解明したことはあまりにも有名である。

　先生の研究室は「脳研究者のメツカ」とさえいわれており，私がいたころは10名以上の外国からの研究者でひしめいていた。多忙な身でありながら，できるだけ研究室に現われて私たちと実験をともにしていただいた先生。すばらしいアイディア，それをスマートな実験にかけて実証するてぎわの良さ，そして鋭い批判を忘れない先生の態度を身をもつて体験したものの一人である。そして，きびしい研究生活に心のゆとりを与えていただいた先生のおだやかな人柄と，いつも微笑をたたえた温顔は，生涯忘れられない。

覚醒状態を制御するホメオスタシスの機序 Paul　C．　Dell , 川村　浩 , 酒田　英夫 15巻8号 , 1963年8月 , pp.734-738

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I．はじめに

　この10年間，網様体の生理学について行なわれた数多くの研究によつて，この構造の恒常的な緊張性活動の起源が明らかにされ，網様体の活動を起こしそれを維持するうえで，内部環境のある種の要素や内受容性刺激のはたす役割が解析され，またとくにあらゆる外受容性刺激のはたす役割の解析がすすんでいる。

　これらの研究は覚醒状態の生理学において網様体が中心的で主要な役割をはたしていることを完全に証拠だてている。

研究

脳腫瘍による不随意運動に関する考察牧　豊 , 堀江　武 , 矢崎　光保 , 堀田　とし子 15巻8号 , 1963年8月 , pp.740-749

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I．緒言

　Bailey et al．（1939）が1側性線状体腫瘍の2症例になんら基底核傷害に相当する臨床症状を呈さぬのははなはだ興味があると述べているごとくいわゆる，基底核部の腫瘍がAthetosis, Torsion Spasm, Torsion Dystonia, Rigidity, Mask—facies等の一連の症状を呈さぬ事実は，大方の興味を惹き，その種の報告は枚挙にいとまがない。

　一方腫瘍によつて惹起された不随意運動は比較的まれなのと，経過中に多彩な他の神経学的諸徴候におおわれて見逃しやすいことと，もし認めても，単に脳腫瘍が偶発的な共存と考えられやすいことなどから，一般に等閑視される傾向にあり，そのためか本邦においては特にとりあげた報告をいまだにみていない。

進行性筋ジストロフィーの臨床と筋電図岡崎　満雄 , 小山田　喜敬 , 福田　幸太 15巻8号 , 1963年8月 , pp.750-758

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I．緒言

　進行性筋萎縮症は従来末梢神経，筋系疾患群のほかでは日常しばしば遭遇する疾患であり，すでに古くから数多くの研究がなされたが，発病の本態および治療に関する根本問題はまだ解決されていない状態である。

　われわれは最近当科に入院した進行性筋ジストロフィー患者6名の症例を経験し，ATP-Na塩を中心に治療をかさねつつ，臨床的に長期の経過観察ならび筋電図学的知見に病理組織学的考察を試みた。

海馬体神経細胞の電子顕微鏡的観察九嶋　勝司 , 神尾　憲治 , 渡辺　尚 , 中山　千冬 15巻8号 , 1963年8月 , pp.759-765

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II．絶食による変化

I．緒言

　精神身体症の病態論追及の一部として，先に向精神薬による海馬体神経細胞の変化を観察し，糸粒体，endoplasmic reticulum，核膜等に変化の起こることを報告した。しかし，臨床的には今までの向精神薬は精神身体症の治療に対しては効果が不良であり，経験的に絶食が有効であることがわかつている。そこで，著者は絶食（飢餓）時に海馬体神経細胞がいかなる変化を示すかについて電子顕微鏡により観察した。

³H-Thymidineの腫瘍細胞内摂取に関する研究—腫瘍細胞の世代時間について千ヶ崎　裕夫 15巻8号 , 1963年8月 , pp.767-781

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　各腫瘍細胞にin vitroで³H-Thymidineを摂取せしめ，その細胞のlife cycleおよび世代時間を等定した。

　1）吉田肉腫については世代時間11〜18時間（平均14時間） DNA合成時間5〜8時間（平均6.5時間）であつた。

　2）仔猫の小脳のfibroblastについては世代時間33時間DNA合成時間7時間，人間の脳腫瘍の試験管内培養の結果は世代時間は計算できなかつたが，labeling indexと臨床症状の経過，病理組織学的所見，培養所見との間の悪性度に関して相関関係が認められた。

　3）人間脳腫瘍の各症例にっいてlabeling indexと細胞増殖の計算式から世代時間を推定するとglioblastoma 22日〜31日，astrocytoma約1ヵ月半〜2ヵ月，oligodendroglioma約2ヵ月〜3ヵ月，metastatlc cancer 15日〜21日，meningiomaで約3ヵ月〜4ヵ月となり，この値は臨床症状の発現から手術までの経過日数，進行状況と比較して密接な関係を有するものと思われた。

文献抄録

脳動脈写，他 Lombardi,　G． , Passerini,　A． , Migliavacca,　F． , Perryman,　C．　R , Gray　G．　H． , Brust,　R．　W．　Jr． , Conlon,　P．　C． , Feiring,　E．　H． , Shapiro,　J．　H． , Lubetsky,　H．　W． , Ring,　B．　A． 15巻8号 , 1963年8月 , pp.758

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　1）はMilano神経科24例の頸動脈一海綿静脈洞瘻の吟味。内頸動脈が静脈洞を横ぎるところで破裂して生ずるので，動脈硬化，拡張期血圧亢進あり。50歳代に多く，♀に多い。三叉神経枝の疼痛，ついで動眼神経麻痺を主徴とするが緩慢な発生と急速な発生とほぼ同数。なかには無症状のものがある。脳動脈写で診断できるが，さらに，鞍部で前床erosion後床・鞍底脱灰（67％），中頭蓋窩で底脱灰・円形erosion （70％），上眼窩裂拡張（62％），視神経管脱灰（55％），動脈瘤壁石灰化著明（33％）などの所見に注意のこと。内頸動脈をしばらく圧迫して脳阻血症の危険を除去したのち，内頸動脈結紮がよい。

　2）先天的な脳血管異常6例の示説。胎生hypogl．　artery残存で内頸—脳底動脈交通例（痙攣・ストローク・半身麻痺）。胎生trigeminal art．　残存で内頸—脳底動脈交通（頭痛・失神・半身麻痺・項部強直）。頸部の内頸動脈tortuosity・蛇行（脳症状なし）。外頸動脈枝が鼻咽頭を走るために耳に異常な軋るような拍動音を訴える例。側頭葉動静脈瘻破裂，蜘網膜下出血，孔脳症成立という例（突然半身麻痺・失語症）。Sturge-Weber病の脳石灰化部に稠密な血管分布あり，側脳室圧迫，hemiatrophyを示した例。

症例報告

唾液分泌発作を有するてんかんの2例鳥居　方策 , 林　実 , 島薗　安雄 15巻8号 , 1963年8月 , pp.783-792

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　自動症，痙攣などの随伴症状を伴わない唾液分泌発作はてんかんの臨床発作型の中でも比較的珍らしいとされているので，そのような発作を有する2例を報告した。

　第1例は33歳の女子で，25歳頃より1日3〜5回の唾液分泌発作を呈するようになり，さらに31歳頃より週に1〜2回ずつ唾液分泌に続く自動症の発作を起こすようになつた症例である。脳波上，特に脳の一部に限局する異常は認められなかったが，自然にまたはMegimideの静注により起こる棘徐波群は左前頭において最も高振幅であった。本例では，3回のAdrenalin試験で3回とも唾液分泌に続く自動症の発作が注射後23分ないし46分後に誘発された。皮膚では，両側上下肢に尋常性魚鱗癬（lchthyosis vulgaris）が認められたほか，顔面および腰背部に少数の半米粒大の結節性発疹があり，その組織像から皮脂腺腫（Adenoma sebaceum）と診断された。

　第2例は16歳の男子で，15歳頃より1日1〜2回ずつ唾液分泌発作を認め，さらにその半月後より痙攣発作をも認めるようになつた例である。

　これらの症例における観察ならびに文献に基づいて，唾液分泌発作に関係のある脳内の部位，自動症発現中の脳波所見，Adrenalinによる自動症の誘発および皮膚疾患の合併について考察した。

異所性松果体腫の1列沼部　敏夫 , 神岡　芳雄 15巻8号 , 1963年8月 , pp.793-800

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I．緒言

　松果体部腫瘍はその解剖学的位置から特有な症候を現わし，その診断は困難なものではなく，したがつてそれに対する適切な処置も可能である。

　ところが，松果体にはまつたく異常がなく，脳の他の部に組織学的には明らかな松果体腫を生ずることがある。これは異所性または迷芽性（ecto—pic, heterotopic, aberrant）松果体腫といわれ脳の各所，特に脳室上衣と関係の深いところに発生し，本邦では鈴木^26）によれば松果体腫の約10.7％にみられるという。異所性松果体腫についてはStarck （1928）^27），　Globus　＆　Silbert （1931）^8）以来報告され，わが国でも赤松（1931）^1），星野（1953）^13），川淵（1957）^15），その他^{2）3）14）20）28）}によつて述べられている。これはその生ずる場所によつて複雑な臨床症状を現わし，術前の腫瘍診断もつきがたく，そのうえ発生機転，転位などについてもなお多くの問題を含んでいる。

椎骨動脈写上いちじるしい改善をみたWallenberg氏症候群の1例—本邦61症例の概要古和田　正悦 , 阿部　忠昭 , 原田　範夫 , 高橋　慎一郎 15巻8号 , 1963年8月 , pp.801-806

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I．緒言

　本邦におけるWallenberg氏症候群の報告は少なくないが，脳血管撮影の普及した現在といえども，その血管像を検討した症例はまだ僅少であり，さらにその経過を脳血管撮影によつて追求した症例は報告されていない。最近，われわれは椎骨脳底動脈系の循環不全を証明し，臨床症状の好転に伴う循環障害の著明な改善を明らかにし得たWallenberg氏症候群の1症例を経験したので，当該血管について若干の考察を加え，あわせて本邦におけるWallenberg氏症候群の症例を集計し報告する。

海外だより・3

第31回Harvey Cushing Society総会長島　親男 , 東　健一郎 15巻8号 , 1963年8月 , pp.808-811

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総会第1日目の印象

　筆者は，1962年7月からYale Univ．，　Neurosurgical Training Program, 3rd Year Courseを，ここコネチカット州Hartford Hospita1でやつているが，このたび当科主任のDr．　ScovilleおよびDr．　Whitcombの好意でHarvey Cushing Societyの31st Annual Meetingに参加することができた。今年度の主な役員はPresidentがDavid L．　Reeves, Vice PresidentがW．　James Gardner, SecretaryがEben Alexander， Program, Membership, Arrangementsの各Com—mitteeのChairmanはそれぞれJ．　Lawrence Pool， Raymond K．　Tompson, Robert A．　Groffであつた。

書評

—瀬戸八郎　著—Studies on the Sensory Innervation　（Human Sensibility）津崎　孝道 15巻8号 , 1963年8月 , pp.812-813

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　最近，末梢神経の組織学的研究は，多くの神経組織学者の撓まぬ熱心な努力によつて，めざましい発展を展開してきているが，それでもなお，神経組織の神秘な機能や構造に関する謎が，ことごとく解けたとは申しかねる段階にある。特に，知覚神経の終末においてしかりである。いろいろの観点からの精細な研究によつて，この神秘の謎を解くことが熱望されてはいたが，なにぶんにも，終末装置の現出をBielschowsky法とか，Cajal法にたよつていた従来のやりかたでは，十分に明確に現出できなかつた。

　本書は神経組織学の立場から，知覚神経の分布を明確に示した英文の単行本で，幾多の貴重な新事実を提供している。著者の瀬戸教授は長年にわたつて，人間の知覚神経の分布の研究に精進された学者である。同教授の輝やかしい研究結果は，1957年，すでに日本文で医学書院から「人間の知覚」という書名で出版され，非常な好評を博したものであるが，残念ながら，それは日本人および少数の日本語を解し得る外国人にしか読まれなかつたものと思われる。筆者はかねがね，本書の欧文による出版を熱望していた。欧文ならば，日本人はもとより，世界各国の人達も読むことができ，多くの利益をうけるからである。いまここに，本書が第2版として，英文で出版されたことは，日本の学界のために，喜びにたえない。

—横地千仭　著—脳幹伝導路模型時実　利彦 15巻8号 , 1963年8月 , pp.814

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　脳幹が上行性，下行性の神経伝導路やその中継核や脳神経の起始核の交錯する場として，また，呼吸や循環などの自律機能の調節中枢の場として，生命維持に対するその重要性は古くから知られていることである。さらにまた，運動機能に対する促進と抑制の機序が行なわれる領域として，大脳皮質機能に対する賦活と抑制の機序による意識の調節の座として，その重要性がいつそう注目されるにいたつた。とくに最近，脳生理学のドピックスのひとつである逆説睡眠の機序が下部脳幹にあることが示唆されるにいたり，研究者の関心がよりいつそう脳幹に向けられるようになつた。

　このよう機能に関する研究はいうまでもなく，脳幹の精細な構造に関する知識に支持されてはじめて可能なことである。われわれは，多くの優れた脳解剖学の成書のページを一枚一枚くめることによつて，その構造を詳細に知ることができるはずである。しかし，それはとかく平面的な知識になりがちで，かくも複雑な構造の脳幹の立体的なイメージを作ることはなかなか至難なことである。この困難さは，たとえばKriegの脳解剖学書やWeberの脳の厚紙模型などによつていくぶんは解消されるが，まだわれわれの悩みを十分にときほぐしてはくれない。

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あとがき S．　N 15巻8号 , 1963年8月 , pp.815

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▶前号に掲載したDr. ラスムッセンの講演にひきつづいて，Dr. エックルズ，Dr. マグーン，Dr. デルの3講演を「特集：神経生理」として巻頭に飾つた。多くの参加者を集めた東京医学会の講演会での3教授の講演は三者三様でいかにも印象的であつた。脳研究の長老であるDr. マグーンの重厚。制限時間を超過しても参加者の質問に懇切に答えていたDr. エックルズの真摯。ユーモラスでエネルギッシュな仕草で終始講演を続けたDr. デルの迫力。講演をとおしてその人柄までが十分にうかがわれた。

▶このところ本誌は，編集内容においても，読者の数においても着実な進展を示している。日増に増加する読者のたゆまぬ御声援の賜と感謝いたしたい。次号は，18ページの予告にあるとおりNeuroradiologyの特集である。脳神経外科にとつて放射線診断の重要性は言をまたないが，脳外科・神経科・放射線科からの貴重な研究が集められている。アジア大洋州神経学会，神経放射線懇話会において発表されたものをまとめた特集であるが十分御期待いただけるものと思う。

基本情報

Brain and Nerve 脳と神経
15巻8号
(1963年8月発行)

電子版ISSN：2185-405X 印刷版ISSN：0006-8969 医学書院

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