特集 神経生理
Dr. H. W. Magoun紹介 Dr. J. C. Eccles紹介
時実 利彦
1
,
伊藤 正男
2
1東大脳研生理
2東大第2生理
pp.733
発行日 1963年8月1日
Published Date 1963/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201514
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私がCalifornia大学のMago—un先生の研究室へお世話になつたのは,1954年の秋から約1年間で,シカゴのNorthwestern大学から数年前に解剖学主任教授として迎えられ,研究室の整備と拡充に忙しい日を送つておられたころである。シカゴでは,Ranson教授のもとで脳定位固定装置を駆使して,脳の深部構造(視床下部や下部脳幹)の自律機能や運動機能について多彩な研究を展開し,さらに脳波を活用して,網様体賦活系を設定して,意識の生理学的機序を解明したことはあまりにも有名である。
先生の研究室は「脳研究者のメツカ」とさえいわれており,私がいたころは10名以上の外国からの研究者でひしめいていた。多忙な身でありながら,できるだけ研究室に現われて私たちと実験をともにしていただいた先生。すばらしいアイディア,それをスマートな実験にかけて実証するてぎわの良さ,そして鋭い批判を忘れない先生の態度を身をもつて体験したものの一人である。そして,きびしい研究生活に心のゆとりを与えていただいた先生のおだやかな人柄と,いつも微笑をたたえた温顔は,生涯忘れられない。
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