発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017342239
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
31歳女。下腹部痛を主訴とした。神経鞘腫の手術希望で紹介受診し、入院時検査所見では貧血や腫瘍マーカーの上昇は認めなかった。腹部造影CTでは膵体尾部と十二指腸3~4部の間に遅延性増強を呈する境界明瞭な腫瘤(3.3cm大)を認め、MRIではT2強調画像で辺縁部のみ高信号、中心部は不均一な低信号を呈した。超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引法(EUS-FNA)による生検で神経鞘腫と診断されたため、十分なインフォームド・コンセントを行い、腹腔鏡下に切除した。病理組織学的検査では紡錘形の腫瘍細胞が束状に増殖し、核が柵状に配列している部分と、浮腫状の間質を背景にヒアリン化をきたしている部分を認め、免疫組織学的染色でS-100蛋白陽性より、神経鞘腫(混合型)と診断した。本症例ではEUS-FNAにより術前に後腹膜神経鞘腫と診断でき、腹腔鏡下に安全に切除できた。
©Nankodo Co., Ltd., 2017