発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009067965
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
52歳女性。患者は変形性股関節症で近医にて経過観察中、肝機能異常を指摘され、腹部超音波で左側腹部に13cm大の嚢胞性腫瘤を認めたため、著者らの施設へ紹介受診となった。CTでは左腸腰筋前面の後腹膜に約13cm大の辺縁明瞭で内部均一な嚢胞性腫瘤が認められ、注腸造影では下行結腸の右側への偏位を認めるも浸潤傾向はなかった。また、排泄性腎盂造影では左尿管の右側への偏位を認めたが浸潤傾向はなかった。以上より、本症例は良性後腹膜嚢胞と診断され、本人の希望で腹腔鏡下手術が行なわれた。その結果、嚢胞壁は薄かったが周囲の剥離は容易で、内容液を吸引して嚢胞を虚脱させた。そして術中、細胞診で内容液を調べ、悪性細胞なしを確認し嚢胞を摘出した。病理所見では嚢胞壁は脂肪組織、線維組織からなり、1層の中皮細胞に覆われ、増殖性変化は認めなかった。術後は経過良好で第3病日目に退院となり、現在まで再発徴候は認められていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008