発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017342240
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91歳男。腹痛と下血を主訴とした。潰瘍性大腸炎の診断で内服加療されていたが、下血の増悪にて紹介受診し、入院時の血液生化学的所見では高度の炎症所見と軽度の貧血および低アルブミン血症を認めた。内視鏡所見ではS状結腸の炎症が高度で、深掘れ潰瘍を認めたが、直腸の炎症は軽度であり、腹部CT所見では横行結腸中央からS状結腸にかけて浮腫状の壁肥厚がみられた。左側結腸型の潰瘍性大腸炎と診断して内科的治療を行うも入院10日後に大量の下血があり、緊急手術で結腸亜全摘および回腸人工肛門造設術を行ったところ、術後は下血が一時続いたが、その後は減少して食事摂取も良好となった。しかし、経過中に状態が急変し、原因不明の高度炎症と腎機能障害をきたして死亡した。高齢者の重症潰瘍性大腸炎に対する手術時期の判断、術式、周術期管理などについて、さらなる検討が急務と考えられた。
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