発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014126092
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41歳男。健康診断の上部消化管造影検査で異常を指摘された。精査で胃癌と診断し、入院した。上部消化管内視鏡所見は、胃体下部大彎に腫瘍を認めた。生検の病理組織学的検査は低分化腺癌であった。腹部CT所見は、肺や肝への遠隔転移および所属リンパ節の腫大はなかったが、上腸間膜動脈に接して境界明瞭、約2cm大の低吸収を示す充実性腫瘤を認めた。早期胃癌と後腹膜腫瘍の合併と診断した。後腹膜腫瘍が胃癌の大動脈周囲リンパ節転移を否定できないため、従来通りの正中切開での開腹下に幽門側胃切除術、No.16リンパ節のサンプリングおよび後腹膜腫瘍摘出術を施行した。術中迅速病理組織検査で良性の神経鞘腫であった。幽門側腎切除術、Roux-en-Y吻合を施行した。病理組織学的所見で良性神経鞘腫と診断した。術後経過は良好で、術後第14病日に軽快退院した。術後3年経過したが、胃癌および神経鞘腫の再発は認めていない。
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