発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004140242
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90歳10ヵ月女.胸背部痛を主訴とした.5日前から自覚した胸背部痛が増強し,胸部大動脈瘤切迫破裂と診断された.入院時,WBC,FDP,T-bil,CRP,血糖は高値を示し,胸部単純X線にて心胸郭比(CTR)64%,左第1弓の突出および左肺野全体の透過性低下がみられ,心電図にて左室肥大,V5,V6,に陰性T波を認めた.また,胸部造影CTでは上行大動脈から弓部かけて紡錘状の瘤(径約65mm)と遠位弓部に嚢状の瘤(径約60mm)が描出され,胸膜下に血腫を認め,弓部大動脈瘤のshield ruptureを疑い緊急手術を施行した.胸骨正中切開にて上行・弓部大動脈前置換術を行い,弓部大動脈全置換には逆行性脳灌流法を併用した循環遮断法と弓部分枝再建を先行させる術式を用いた.術後は順調に経過し,独歩退院して通常の日常生活を送っている
©Nankodo Co., Ltd., 2004