発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010332090
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80歳女性。患者は既往歴に高血圧、関節リウマチがあり、ステロイド服用中であった。今回、発熱、倦怠感を主訴に近医を受診、感染性大動脈瘤を疑われ、著者らの施設へ紹介となった。入院時、炎症反応の亢進がみられ、胸部単純X線では左第1弓の突出、縦隔の拡大が認められた。胸部CTにより遠位弓部に最大径60mmの動脈瘤がみられ、感染性弓部大動脈瘤と考え、抗生物質の投与を開始されたが、入院9日目に意識消失を呈し、胸部X線で左胸腔に多量の胸水が確認され、経過中の血液培養からはSalmonellaが検出された。以上より、本症例はSalmonellaによる感染性弓部大動脈瘤破裂と診断され、緊急手術を施行、手術は胸骨正中切開でアプローチし、左鎖骨下動脈起始部から遠位弓部の解離を伴う動脈瘤を可及的に切除し、周囲を洗浄後、感染巣の郭清を念入りに行った。そして、遠位側は4分枝付き人口血管を用いて全弓部置換し、左鎖骨下動脈は起始部が感染の影響で性状不良のため、縫合閉鎖し左腋窩動脈と再建した。以後、抗生物質の投与を持続した結果、全身状態は改善した。
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