発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010320097
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91歳男。以前より胸部大動脈瘤を指摘されており、高齢のため経過観察となっていた。今回、突然の胸痛が出現し、胸部X線で心胸郭比65%、左第1弓の突出を認め、CTで壁在血栓を有する最大径94mmの弓部大動脈瘤を認めた。胸骨正中切開で開胸し、心肺停止下に手術を行い、瘤内は大量の壁在血栓を有し、脆弱なアテローム変性を来たしており、瘤を遠位弓部で離断したが、一部にアテロームと石灰化を認めた。末梢側はelephant trunkで吻合し、人工血管はTriplex 22mm・4分枝付きで弓部全置換術を行った。術後ICU入室し、腎機能障害を合併したため持続的血液透析濾過を行った後、週3回の血液透析を行った。嚥下障害も認めたが、リハビリテーションにて経口摂取可能となり、循環動態および呼吸状態が安定したため術後13日にICU退室した。以後の経過も良好で、術後67日に独歩退院となった。
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