発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004211513
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80歳女.2002年3月,鼻出血を訴え,ガーゼタンポンにて止血され帰宅した.4ヵ月後,同症状を訴え,救急受診したが,やはりガーゼタンポンによる止血術が行われた.その後,呼吸苦とともにSpo2の急激な低下が認められ,胸部X線像およびCTより,破裂性胸部大動脈瘤の診断で紹介入院となった.Hb8.2g/dl,Ht25.8%と貧血を認めたほか,WBC15800/μl,CRP2.02mg/dlと軽度炎症所見を認めた.胸部X線で左肺野に網状陰影,左第1弓および第2弓の突出を認めた.胸部CTでは下行大動脈に最大径約6cmの動脈瘤を認め,左下葉への穿孔と動脈周囲の血腫を認めた.以上の所見より,破裂性胸部大動脈瘤と診断し,緊急手術を施行した.下行大動脈瘤は左下葉と強固に癒着しており,また左下葉は血液で充満していた.左下葉切除を先行した.大動脈のテーピングを行った後,左大腿動脈送血,左大腿静脈脱血として部分体外循環を始めた.大動脈瘤は22mmストレート人工血管にて置換した.術後一過性に乳糜胸を認め,Total parenteral nutritionによる栄養管理を行い次第に改善した.その後概ね良好な経過を辿り,第50病日に退院した
©Nankodo Co., Ltd., 2004