発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004211512
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63歳女.1992年に腹部大動脈瘤に対し人工血管置換術を受けた.3年後陳旧性心筋梗塞の診断を受けた際,胸部CTで弓部大動脈の拡張を指摘された.将来的に弓部大動脈瘤手術の可能性を考え,内胸動脈を用いずに冠状動脈バイパス術(CABG)を受けた.画像および検査所見から,弓部大動脈置換術および後下行枝(4PD)へのグラフトに新しいバイパスを行う方針とした.胸骨を再度正中切開し癒着剥離を行った.大腿動脈送血および右房脱血により人工心肺を確立した.循環停止とするために冷却を行い,途中心室細動下に4PDグラフトへSVGを用いてバイパスを行った.直腸温が23℃になった時点で選択的脳灌流を開始し,上行大動脈基部へpotassium chlorideを20mEq注入した.循環停止として弓部大動脈を切開し,動脈瘤遠位部を確認した.24mm Hemashieldを用いて遠位側吻合を行った後,下半身の送血を再開し,加温中に近位側吻合および弓部分枝の再建,さらに静脈グラフトの近位側吻合を行った.人工心肺からの離脱に問題なく手術を終了した.術後経過は問題なく,術後15日に退院となった
©Nankodo Co., Ltd., 2004