発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011292654
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79歳男。突然胸背部痛が生じ、胸部CTで心嚢液貯留を指摘され、急性大動脈解離を疑われた。紹介受診時は血圧70mmHgで、心エコーで心タンポナーデの状態と判断し、心嚢穿刺で約400mlの血性心嚢液をドレナージした。ショック状態改善後の胸部X線では縦隔陰影、心陰影の拡大を認め、造影CTでは遠位弓部大動脈瘤(径5cm)を認め、前縦隔内への造影剤漏出がみられた。弓部大動脈瘤破裂の診断で緊急開胸術を施行し、前縦隔内に血腫を、心嚢内に凝血塊を認めた。動脈瘤は左鎖骨下動脈分岐直下の遠位弓部大動脈小彎側に存在し、肺動脈の左前下方へ突出する嚢状瘤であった。上下大静脈脱血、上行大動脈送血で人工心肺を開始した。動脈瘤の剥離中に出血・破裂孔を認め、全身低体温下、循環停止併用の順行性脳分離体外循環下に、Hemashield人工血管で作製したパッチで大動脈破裂部を閉鎖した。術後人工呼吸管理を要したが、脳合併症はなく順調に経過し、日常生活に復帰した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011