発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017239793
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81歳男性。突然の背部痛を主訴に、他院へ救急搬送され、CTにて弓部大動脈瘤切迫破裂と診断し、著者らの施設に転院となった。CTを行なったところ、弓部大動脈瘤と左胸水を認めたほか、腹部大動脈に壁在血栓を伴う粥腫と腸骨動脈の狭小化を認めた。以上より、弓部大動脈瘤切迫破裂の診断で緊急手術の適応と判断したが、関節リウマチ・慢性腎機能障害・慢性閉塞性肺疾患が併存し、プレドニゾロンの内服中のため、従来の弓部置換術はハイリスクと考え、頸部バイパスと胸部ステントグラフト内挿術(TEVAR)を併用する方針とした。また外腸骨動脈が狭小で腹部大動脈がshaggyであり、腹部以下末梢側からのアプローチは危険と考え、右小開胸による経大動脈アプローチを施行した。術後3日目に胸腔ドレーンを抜去し、4日目に抜管したが、抜管後に皮下気腫と右気胸を認め、胸腔ドレーンを再挿入したが、その後もエアリークが持続するため、3回にわたって胸膜癒着療法を行った。だが、依然エアリークは改善せず、術後14日目に肺縫縮術を施行した。術後、CTではエンドリークは認められず、患者は術後38日目に紹介元へ転院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2016