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編集後記
竹内 さをり
pp.626
発行日 2021年6月15日
Published Date 2021/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202555
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住宅改修は障害のある方や高齢の方にとって有効な支援であり,作業療法においてあたり前のアプローチであると認識されている.今回の特集は,その住宅改修について,検討の視点や手法を具体的にわかりやすくお伝えいただき,あらためて必要な支援であることを感じる機会になったのではないだろうか.また,認知機能低下がある方にとっての環境面の支援については,私自身,新たな学びを得ることができた.今後,さらに多くの視点が報告され,具体的支援につながることを期待したい.
今回の特集を拝読し,両親の住む実家の改修に,かなり時間を要した経験が思い出された.以前,両親の寝室は2階にあり,夜中に母は3回も1階のトイレに行くため階段を昇降していたので,70歳になるころから1階への寝室変更を提案してきた.しかし,父がその必要性をまったく感じず,大変であろう母も父の意見に賛同していた.そこで段階づけて提案することとし,2年後に階段に手すりの設置が実現した.2019年第53巻11号の特集で,母がMCI であることをお伝えしたが,このころにやっと1階への寝室変更が実現した.母の状態を踏まえ,今後,環境に慣れることが大変になることを伝え,父も実感したことがきっかけとなったが,最初の提案から5年を要した.そして,つい最近,浴室改修を勧めたところ,すぐに実現した.この受け入れの背景には,浴室自体の老朽化もあるが,母がきれいに掃除できなくなったため,カビや汚れが目立ってきていることや,父自身,それを解決できない点があったと思われる.
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