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編集後記
長野 敏宏
pp.1340
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200775
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特集「急性期医療における作業療法」をはじめ,本号の原稿を興味深く読ませていただきました.私自身がまだまだ作業療法に関して“素人”だなあ,と痛感させられつつも,さまざまな分野において,急性期(入院)医療における作業療法の完成度が高くなってきていると感じました.各分野,入院期間も大幅に短縮され,システマチックに,ご本人にとって必要なことが提供されはじめているのだと思います.
ただ,少し共通の課題も透けて見えているような気もします.今回の特集のひとつの意味,地域生活への移行,ご本人の生活の連続性をどう保つか,ということに関しては,医療や福祉の機能分化の弊害でしょうか,連携やバトンタッチが主な取り組みになってしまっているような気がします.制度や政策が機能分化を進める方向性ですので,それが正しいのかもしれません.ただ,ご本人からすると短期間にコロコロと担当者が目まぐるしく変わるというデメリットが大きいと思わざるを得ないことが,こちらの現場でも散見されます.ご本人を視点の中心において,地域生活の連続性の中で急性期医療や急性期医療における作業療法が提供されるようになり,具体的な工夫や取り組みが発信され,広がっていくことが,地域包括ケアシステムが絵に描いた餅にならないものにするために不可欠ではないかと考えています.
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