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編集後記
長野 敏宏
pp.1390
発行日 2022年12月15日
Published Date 2022/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203235
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私自身,今回の特集テーマにある「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の「にも」に強い思いをもっている.この言葉が政策上使われるようになったのは,2016年(平成28年)から1年間にわたって厚生労働省で開催された「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」からである.そもそも,医療保護入院のあり方などに焦点が当てられてスタートした検討会であったが,大きな事件等により,その論点については十分な議論がなされなかった.検討会途中でテーマとして加わった地域包括ケアシステムについても,時間的制約もあり,議論が尽くされたとはいい難い状況であった.私は検討会の構成員として,「精神障害」独自で高齢者等のそれとは別の地域包括ケアシステムの構築が進められることがないよう,何とかインパクトのある言葉を残したかった.そこで「にも」と入れましょうと提案した(2016年9月30日).「地域包括ケアシステムは地域でひとつ,あらゆる住民が対象」ということを表現したかった.「にも」とは何ぞや,と後々議論が深まることを期待した.
幸い,その3年後「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に関わる検討会」が開催され,ようやくその意味についても議論がなされ,政策として推進されようとしている.
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