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編集後記
長野 敏宏
pp.1300
発行日 2022年11月15日
Published Date 2022/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203207
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丹野智文くんと出会ったのは2016年夏,愛媛県愛南町御荘湾の釣り船の上でした.「大人の修学旅行」と称して,皆さんで遊びに来てくださったときです.私の役割は,船を手配し,釣り道具を揃えセットし,釣りを楽しんでいただくことでした.実は「釣りを楽しんでいただく」のは決して簡単ではありません.釣りの楽しみ方は本当に人それぞれです.ちなみに私の場合はお膳立てされた,いわゆる“接待釣り”ではまったく楽しめません.どこにいつ釣りに行くか,どのような仕掛けをつくって何をねらいにいくか,陸からか船からか,餌なのかルアー等の疑似餌なのか,すべて自分で決めてねらった魚を釣りたいのです.釣れすぎてもだめです.1匹だけだとまぐれの可能性も高くなります.もちろんまったく釣れないのはつらいです.
「大人の修学旅行」一行の皆さんからの細かな希望がなかったので,そのときの海や気候の状況から,きびなごを餌にした胴付き仕掛けで,砂泥地の甘鯛・イトヨリをねらってもらうことにしました.釣りを始め,ポツポツねらいの魚が船中に上がるなか,丹野くんへはなかなか当たらず,徐々にあせりが見えはじめてきたころ,ようやく大きなエソを釣られました.案内しているこちらとしては外道か,と申し訳なく思っていたところだったのですが,彼は満面の笑みをみせてくれました.なんだか助けられた気分になったのを覚えています.
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