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編集後記
長野 敏宏
pp.1154
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201097
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「精神障害“にも”対応した地域包括ケアシステム」,地域包括ケアがようやく精神障害者に関しても議論・実践の俎上にのせられました.気分障害の特集において,この点を書いてくださっていることは,とても意味があることだと考えています.地域包括ケアの舞台はご本人が選ぶ「生活の場」,私たちは忘れずにいなければなりません.ちなみに,“にも”という若干すっきりしない言い回しには強い想いが込められています.地域包括ケアは高齢者分野から使われはじめた言葉ですが,その考え方は「地域づくり」そのものを指し,分野を超え,障害種別や制度等の縦割りを超え,社会のあり方そのものです.特に分離されがちな精神障害において“にも”という表現が必要だったと考えています.
また,ようやく精神科医療に統合失調症モデルからの脱却の兆しがみえてきたような印象を受けています.ただ,地域包括ケアの一機能として,全国,どこに住んでも,気分障害の作業療法が受けられる必要があると考え,準備が進められているでしょうか.すべてのOTに関心をもって読んでいただき,さらに現場と照らし合わせながら,生活の場で提供できるものに進化させていっていただきたいと切に願います.考えなければならないことは,まだまだ膨大にありそうです.少し辛口な感じもしますが,全国各地例外なく,とてもたくさんの方々が作業療法を必要としています.
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