連載 環境?!・9
共有できる調理の場
筧 淳夫
1
1国立医療・病院管理研究所 施設環境評価研究室
pp.661
発行日 1999年9月10日
Published Date 1999/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901973
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午後の3時頃,「今日の夕食は何にしよう」と考え始める.「昨日はお肉を食べたから」「子どもの給食は何だったかしら」などと考えながら,冷蔵庫の中身を思い出してメニューを決める.しかし,いざ買い物に行くと安いものや新鮮なものを見つけてしまい,メニューを変更することもある.下ごしらえ,切る,煮る,焼く,炒めるなどと調理をし,やがておいしそうな匂いが充満し,家族の帰りを待つ.みんなが一通り揃ったところで,1日の出来事を語り合いながら食事をする.食後にお茶をすすり,片づけものをする.
これが現在,病院や高齢者施設に入院・入所している「おばあちゃん」の食事だったのではないだろうか.しかし,病院施設ではそんなことはおかまいなしに,突然トレーに載せられた「給食」が目の前に表れて,それをただ1日3回食べるだけである.
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