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■お料理のすべてがリハビリ
おせち料理は病院のキッチンではできないけど,クリスマスの料理で何かできないかと考え,そこで決めたメニューは,「鶏肉のクリーム煮」と「クリスマス用のパイ」でした.パイ用のカスタードクリームなら,小さなお鍋1個とボウル1個と泡だて器があればできる! ここのキッチンでも十分できるメニューです.記憶に不安がある私ですが,料理のレシピは手元にないけれど,子育てしているときにスピーディーな料理をつくっていたことは覚えていました.記憶というより,体感している料理です.脳の働きとして,注意,情報処理,記憶力,遂行(段取り),そして気づき(自己認識),時間配分等,料理は頭を使います.料理をするときは,時間がわかりづらかったため,必ずストップウオッチで時間を計り,生焼けがないようにしました.ほとんどの料理は10〜15分で完成します.鶏胸肉を軟らかくする方法としてフォークで数カ所突き刺していく方法を教えてあげたら喜ばれ,おいしいクリスマス料理を一足先に食べることができました.
お料理をすること,そしてお料理を教えることが,作業療法のリハで,脳のリハになるそうです.外傷もない私は入院生活に退屈するところでしたが,料理をすることで,目標もでき,パソコンでレシピを打ったり,打ち合わせをしたり,時間管理もすべて私のリハになっていました.自分ではわかりませんでしたが,同室の友だちからは,どんどん変化していくのに驚いたと言われました.目の輝きが違う…….ほんと,脳梗塞になったことを忘れてしまうほど楽しくなっていました.喜んでくださるスタッフのために,もっとおいしい料理を見つけようと思っていました.松原さんと出会ったことで,病気を乗り越えて楽しむことができてよかったです.スタッフの方々の料理の技術の向上にも役立てたと思います.病気の悩みや不安も何でも相談でき,不安をなくしてくださいます.
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