呼と循ゼミナール
心筋の保護と冠状動脈血流(15)
平野 禎造
1
1高知立市民病院麻酔科
pp.982
発行日 1981年9月15日
Published Date 1981/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203845
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2,3—diphosphoglycerateは解糖系の側路を経て代謝され,DPG mutaseとDPG phosphataseの活性のバランスで調節されている。通常,この酵素活性はpHに大きく依存しており,pHが上昇してアルカリ化すると,DPG mutaseが活性化されて2,3—DPGは増量し,ヘモグロビンからの酸素解離が促進されるが,pHが低下するとDPG phosphataseが活性化され,2,3—DPGの分解がおこって減量すると言う。さらに,2,3—DPG濃度は還元ヘモグロビンの量によっても影響され,運動負荷や先天性心疾患で増量することが知られている。しかし,Bohr effectは,ほとんど瞬間的にヘモグロビンと酸素との解離に影響を与えるのに対して,2,3—DPG量の変化は時間がかかる所に問題が生じてくる。例えば,acidosisに重炭酸塩を大量に投与して急速に補正を行なうと,Bohr effectによってヘモグロビンと酸素の解離が阻害され,組織の酸素化が悪くなるが,一方,それに刺激されて2,3—DPGの産生は促進される。
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