Japanese
English
綜説
気道粘膜上皮の線毛運動
Ciliary action of respiratory epithelium
杉山 正春
1
,
前田 真作
1
,
滝島 任
1
Masaharu Sugiyama
1
,
Shinsaku Maeda
1
,
Tamotsu Takishima
1
1東北大学医学部第1内科
11st Dept.of Inter. Med. Tohoku Univ.
pp.836-847
発行日 1980年8月15日
Published Date 1980/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203607
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呼吸運動に伴い吸入される多くの有形ならびに無形の異物は粘液線毛クレアランス機構を障害し,粘液輸送を低下させ,そのために招来される吸入異物の排除遅延は末梢気道への蓄積をきたし,各種肺疾患の誘因となると考えられる。かかる気道系の粘液線毛機構(Mucociliary system)を介する防御機能については近年とくに注目を集め,これに影響されている。しかしながら,今日までの膨大な基礎的知識の集積にもかかわらず,実際には臨床面にほとんど反映されず,利用されていないのが現状である。
加えて,我が国の工業生産の著るしい増加,輸送機関の進歩,日常生活の向上などによる環境汚染悪化の影響を直接的に受けるのは呼吸器系であり,当然ながら粘液線毛機能に対しても無視しえぬ作用を及ぼし,寿命の延長と共に,本邦における呼吸器疾患増加原因の一翼をなしていると想像される。
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