皮膚病診療 40巻4号 (2018年4月)

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<症例のポイント>・臨床的に、左右第I趾の多発性の穿掘性潰瘍、足背の網状皮斑、激しい安静時疼痛を繰り返した。・病理組織学的に、真皮の炎症細胞浸潤と微小血栓がみられた。・血圧脈波検査や下肢動脈造影には大きな血流低下を示唆する所見はなかった。・当初、壊疽性膿皮症を疑ったが、ステロイド全身投与やシクロスポリン内服で治癒しなかった。・経過中、血小板数が70×10^4/μlを超え、本態性血小板血症による足趾潰瘍と診断した。・アナグレリドおよびハイドロキシウレア内服による血小板数の正常化に伴い、足趾潰瘍は治癒した。

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<症例のポイント>・後頭部、耳介周囲、手指、膝、下腿、足趾、足底など広範囲に潰瘍が多発した壊疽性膿皮症を報告した。・壊疽性膿皮症の発症の18年前に関節リウマチを発症し、プレドニゾロン2.5mg/日で加療されていた。・足趾に病変を認めた壊疽性膿皮症の報告は少ない。

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<症例のポイント>・足底の網状皮斑、チアノーゼと足趾潰瘍を生じたコレステロール結晶塞栓症(cholesterol crystal embolization、以下、CCE)を報告した。・過去の造影CTにて認めた腹部大動脈瘤と壁在血栓が発症に関与していると考えた。・2回目のデブリードマンにより得られた病理組織像で紡錘形の裂隙を認め診断した。

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<症例のポイント>・足趾、踵の糖尿病性壊疽に対する血管内治療(endovascular therapy:以下、EVT)後に足趾の壊死をきたし、コレステロール結晶塞栓症(cholesterol crystal embolism:以下、CCE)と診断した。・左浅大腿動脈の狭窄に対する治療のため、反対側の右鼠径から穿刺したカテーテル操作により大動脈のプラークから剥離したコレステロール結晶が飛散し、皮膚や腎臓に塞栓症状を呈したと考えられた。・踵を含めた広範囲な糖尿病性壊疽に加え、CCEにより複数の足趾に壊死をきたしたが、骨髄露出閉鎖療法、局所陰圧閉鎖療法などの集学的治療により救肢しえた。

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<症例のポイント>・左第III趾の顆粒細胞腫の1例を経験した。・顆粒細胞腫は軟部腫腫瘍の0.5%を占める非常にまれな軟部腫瘍であり、足趾に発症した1例を報告する。・病理組織学的所見では真皮内に境界不明瞭な腫瘍で、腫瘍細胞は類円形から多角形の細胞であった。また、細胞質に好酸性顆粒を有する大型の細胞が胞巣をなして増殖しており、これらの細胞は、S-100蛋白染色陽性、neuron-specific enolase(NSE)染色陽性であった。・顆粒細胞腫は悪性型も存在するため、良性を疑う皮下結節、皮下腫瘤でも切除することが望ましい。

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<症例のポイント>・生後4ヵ月ごろより足趾に出現し、多発・増大する乳児指趾線維腫症infantile digital fibromatosis(以下、IDF)を経験した。・IDFは病理組織学的に紡錘形腫瘍細胞と類円形の好酸性封入体を認めることが特徴である。・機能障害がないことから経過観察とし、完全消褪という良好な結果を得た。・IDFはまれな疾患だが、自然消褪しうることを理解しておく必要がある。

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<症例のポイント>・臨床所見、画像所見、病理組織学的所見、および術中所見から診断した左拇趾の軟部組織軟骨腫の1例を経験した。・MRI検査が、術前の質的、解剖学的な病態把握に有用であった。・自験例は、MRI所見で腫瘍と骨皮質が接しているようにみえたが、術中所見で骨皮質に欠損・びらんを認めなかったことから骨外性軟骨腫の中の軟部組織軟骨腫と診断した。・本症の診断には周囲組織との関連の把握が重要なため、足趾に生じる皮下腫瘤の鑑別疾患を念頭に置き、注意深く手術に臨むことが大切である。

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<症例のポイント>・爪下外骨腫は青少年期の指趾に好発する良性骨腫瘍である。・臨床的に指趾尖端部や爪周囲に角化を伴う常色ドーム状に隆起する有痛性の結節を示すことが多い。・爪甲下に黄白色結節を示した例と赤色の肉芽腫様結節を示した例を提示した。前者はグロームス腫瘍、後者は毛細血管拡張性肉芽腫に類似する臨床所見であった。・指趾部の皮膚腫瘍を診察する際には骨X線検査を、症例によってはMRI検査を行うことが望ましいと考えた。

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<症例のポイント>・39歳、女性。われわれは比較的若年に単発した趾間に生じたBowen病を経験した。・Bowen病が趾間に生じることはまれであり、足白癬や接触皮膚炎との鑑別が困難と考えた。・皮疹の発生部位にとらわれず悪性腫瘍を念頭に診療することが重要である。

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<症例のポイント>・右小趾に生じたverrucous carcinoma(以下、VC)の1例を経験した。・2回の皮膚生検では明らかな悪性所見は認めなかった。・皮膚生検の部位は、病変部周囲の角化部や皮膚潰瘍周囲よりも病変の深部を選択し、H-E染色のみで確定診断に至らず診断に苦慮する場合は、細胞増殖活性マーカーp53の発現を確認することがVCの早期診断の一助になりうると考えた。

左II趾に生じた基底細胞癌 武藤 律子
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<症例のポイント>・左II趾という極めてまれな部位に存在する基底細胞癌を経験した。・足趾というまれな部位に発症した原因として、靴による慢性的な軽微な外傷刺激も関連すると考えた。

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<症例のポイント>・軟骨分化を示した悪性黒色腫の1例を報告した。・右第IV趾間皮疹を主訴に近医を受診、液体窒素凍結療法を受け、その2ヵ月後に黒色斑が出現した。・全摘標本の病理組織学的所見では、基底層に異型メラノサイトが増生し、真皮内に軟骨様細胞からなる結節形成を認めた。基底層の異型細胞はS-100蛋白、HMB-45、Melan Aが陽性で、真皮内深部病変はS-100のみが陽性であった。両者には連続性が認められたことより、深部で軟骨分化を示した悪性黒色腫と考えた。・悪性黒色腫は平滑筋、骨、軟骨、線維芽細胞等へ異分化をきたすことが知られているが、実際に遭遇することはまれであり、診断、治療に苦慮することも多く注意が必要である。

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<症例のポイント>・食道癌の皮膚転移は2%程度とまれであり、そのうち自験例のような指趾への転移はまれである。・転移性皮膚癌の臨床所見は、Brownstein & Helwigの分類によると結節型、炎症型、皮膚硬化型の3つに分類される。担癌患者の難治性の皮膚症状の鑑別として、転移性皮膚癌も多彩な臨床所見があることを念頭に鑑別に入れる必要がある。・転移性皮膚癌の治療法は、患者のQOLを重視して決定されなければならない。

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<症例のポイント>・悪性腫瘍の指趾転移はまれである。・悪性腫瘍の指趾転移では、初期症状が紅斑や腫脹、疼痛であることが多く、炎症性や感染性病変と間違われやすい。自験例においても、当初は臨床所見から爪囲炎がまず疑われたが、病理組織学的な検索により肺扁平上皮癌の皮膚転移であるとの診断に至った。

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<症例のポイント>・当初、蜂窩織炎様の臨床像を呈し、比較的急性の経過で多関節痛が出現した。・多発関節炎を鑑別する際には癌関連多発関節症(carcinomatous polyarthritis;CP)をあげる必要がある。・CPはまれな疾患であり、前立腺癌に伴ったCPの本邦での報告は調べえる限りない。

英文抄録

editorial

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医療におけるフットケアの目的は,足を健康に維持し歩行機能を守ることであり,足の手入れに関する日常的な指導から,糖尿病や重症虚血肢に伴う足病変の集学的治療まで幅広い領域が含まれている.欧米諸国では古くから足や靴に関わるさまざまな専門家が存在しており,フットケアの歴史が長い.ドイツでは予防的フットケアにあたるフスフレーゲという技術が発達しており, また2002年から医療的フットケアを行うポドローゲが国家資格として認められ,医師と連携して治療にあたっている.アメリカでは足を専門に扱う足病医(Podiatrist)が存在し,足に関するケアから手術まで幅広い診療を行い,糖尿病性足病変のゲートキーパーの役割を担っている.日本でも超高齢社会の到来,生活習慣病の増加に伴い,足に複数のトラブルをもつ高齢者や糖尿病性足潰瘍を発症する患者の増加が問題となり,近年フットケアの重要性が認識されてきた.しかし,足の健康を維持するための社会的なシステムは,ごく一部を除いてまだ機能しているとはいえない.現在の日本では,何らかの足部の異常に気づいた患者はまず皮膚科外来を受診することが多いため,皮膚科医は日常的に多数の足疾患を診療している.しかし皮膚科医が単独で治療することに難渋する局面は非常に多い.とくに糖尿病や重症下肢虚血に伴う足潰瘍・壊疽の治療にあたっては,多数の科の医師,複数の医療職との緊密な連携が不可欠である.また胼胝・鶏眼や巻き爪などを主訴として受診した患者に対しても,その原因である足の変形や機能異常に着目すると,靴の購入や装具の処方,運動療法の必要性が生じてくるため,これに対応する多数の専門職との連携が要求される.さらに近い将来には訪問診療の拡大に伴い,看護・介護職に携わる人々にケアに関して指導したり,協力を依頼したりする機会が増えることも予想される.本稿では,大学附属病院や総合病院でのフットケア外来に加え,在宅診療支援診療所で訪問診療に携わっている筆者の立場から,現在のフットケア診療の取り組みに関して述べ, 他診療科の医師・看護師やコ・メディカル,さらに医療従事者に限らないさまざまな職種との連携のあり方について解説したい.(「はじめに」より)

総説

関節リウマチの足趾病変 山本 俊幸
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関節リウマチ(RA)の足趾にみられる皮疹は、紅斑、紫斑、血疱、びらん、潰瘍などである。RAの足趾病変について、以下に分けて概説した。1)足趾のリウマトイド結節、2)網状皮斑などRAに出現しやすい循環障害性の足趾病変、3)RAに基づく血管炎(リウマトイド血管炎)の足趾症状、4)壊疽性膿皮症などRAに合併しやすい皮膚症状による足趾病変、5)粘液嚢腫、血管拡張性肉芽腫などの良性腫瘍、胼胝、真菌感染症、爪白癬、爪甲彎曲症、黄色爪、陥入爪など、非特異的皮膚症状による足趾病変、について述べた。

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eccrine poromaは中高年に好発する表皮内汗管部の腫瘍性増殖病変である.淡紅色から紅色の隆起性結節を呈することが多いとされるが,メラニン色素を有する例もあり,その臨床像は多彩である.四肢および手足に好発することが知られているが,足趾に生じることは比較的まれとされている.今回われわれは,当科で過去12年間に経験したeccrine poroma 70例(71病変)について検討するとともに,足趾に生じた3例を供覧する.(「はじめに」より)

蝶の博物詩

生態34 西山 茂夫

学会ハイライト

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2017年9月23,24日の両日にかけて,福島県郡山市のビッグパレットふくしまに於いて第81回日本皮膚科学会東部支部学術大会が開催されました.その前週の台風の影響を受け,金曜の朝は少し降ったものの,土日は秋晴れの快晴となってくれました.もともと東部支部は会員数も少なく,学術大会も開催地域によっては参加者が少ないところです.今年は3カ月前に仙台で総会が開催されたので,同じ東北には来ないのではと危惧する声もありました.さらに今年から東京支部学術大会も秋開催に移行したためか思ったほど演題が集まらず,本学からの9演題を入れてようやく101演題といった有様でした.会場も郡山駅から離れている不便なところにあり,極めつけは,共催セミナーのお弁当の数を学会事務局に伝えたところ,こんなにいらないという返事だったということを聞き,多くの学会をみている人がいうのだから間違いはないだろう,やっぱり来ないのか,と正直思ってしまいました.しかし蓋を開けてみれば,お陰様で予想を超える850名の参加者をお迎えすることができました.

私の歩んだ道

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三重大学を定年退職し,本稿の依頼をいただきました.最近,皮膚科の地域格差が心配されています.40年前,地方大学は臨床で,研究は中央の大学だけでやればよいといわれていた時代に育ち,たぶん,皮膚科の教授の方々の中でもっとも遅く基礎研究を始め,インパクトファクターが登場したころに教授になった私の履歴も,研究は何歳からでも始められる例として若い先生の参考になればと思い筆をとりました.(「はじめに」より)

皮心伝心

増悪因子 井川 健

診察室の四季

花見 斉藤 隆三

皮膚科のトリビア

第154回 浅井 俊弥

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目次

編集後記・次号予告

基本情報

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皮膚病診療
40巻4号 (2018年4月)
電子版ISSN:2434-0340 印刷版ISSN:0387-7531 協和企画

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