腎と骨代謝 32巻3号 (2019年7月)

特集 筋肉・エクササイズとミネラル代謝

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2.骨と筋肉 梶 博史
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骨と筋肉が関連する臨床知見として,サルコペニアと骨粗鬆症の関連が注目されてきた.高筋量が骨密度高値や骨折リスク低下と関連するのみならず,筋力や身体機能が筋量とは独立して骨粗鬆症に関連する知見も増加してきた.さらに,筋肉と骨の相互関連(筋・骨連関)も新しい研究分野となっている.そのなかでもマイオスタチンやアイリシンなどのマイオカインの骨への作用は病態においても重要な可能性があり,新しいマイオカインとしてフォリスタチンやBAIBA が見出された.

3.CKD-MBD と筋肉 矢野 彰三
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慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)は,ステージが進むにつれてサルコペニアやフレイルの割合が高まり,転倒頻度や骨折頻度が上昇する.この病態形成には蛋白エネルギー消耗(protein energy wasting;PEW)が重要な役割を演じており,栄養状態は患者の予後を左右する.一方,CKD-MBD(mineral and bonedisorder)の存在は,ミネラルとその調節ホルモンの異常,骨代謝異常,血管石灰化をもたらし,生命予後や心血管疾患発症に関与する.すなわち,CKD 診療では,PEWとCKD-MBD の両者を考えた総合的管理が必要になる.本稿では,近年明らかになりつつあるリン利尿ホルモンの新たな分泌機構や骨格筋への作用,CKD におけるサルコペニア進展機序などについて概説する.

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カルシウムが筋肉の生理機能に重要な働きをしていることは周知のことである.カルシウム摂取量と筋肉量の間には有意な正の相関があるとの報告がある.また,カルシウム摂取量とサルコペニアの発症についての検討では,摂取量が多いほど,発症が少ないという報告もみられる.一方,カルシウムと骨の健康についても古くから検討されてきている.カルシウムは骨はもちろん筋肉などを含む運動器の健康に欠かすことのできない栄養素ということができる.

5.リンと筋肉 森 克仁 , 稲葉 雅章
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骨格筋の最大の特徴は‘収縮’ である.筋原線維はおもにミオシンとアクチンのフィラメントからなる.ミオシンはアクチンとクロスブリッジを形成し,化学エネルギーを力学エネルギーに変換することで張力を発生する.これには筋小胞体からのカルシウム放出が必須である.リンはカルシウム放出,あるいは筋原線維のカルシウム感受性を低下させることで,筋疲労・筋の収縮力低下を誘導する.ビタミンD やカルシウムに比較すると,リンと骨格筋の臨床的な関与を示唆するデータは限られているが,廃用による骨格筋の筋力低下には,リン濃度が深く関与していることが示されている.今後,リンと骨格筋,とくに筋力との関連を明らかにすることは超高齢化社会を迎え,重要な課題となっている.

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重症のビタミン欠乏症は脚気やくる病などを起こすが,より軽度の不足であっても,種々の疾患リスクとなることが最近注目されている.近年ビタミンD はカルシウム代謝・骨作用以外に,筋肉を含む全身への作用が報告されており,わが国での報告を含むコホート研究において,ビタミンD 不足は筋力低下・転倒のリスクであることが示されている.介入試験はわが国では報告がないが,海外では多くの論文があり,メタアナリシスも多数発表されており,とくにビタミンD 不足者においてより効果が大きいことが指摘されている.骨粗鬆症性骨折のうち,非椎体骨折のほとんどは転倒によって起こり,ビタミンD の筋作用の意義は大きい.

7.エクササイズと骨代謝 岩本 潤
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運動は骨の健康維持・増進に重要な役割を果たしている.運動によるメカニカルストレスの増加は骨形成を促進し(成長期),骨吸収を抑制する(エストロゲン欠乏下).成長期では,思春期前(女子では初経前)からのジャンプ運動は骨塩量の増加に効果的である.青年期では,スポーツ(体操や球技などの荷重運動)を行う選手では骨密度は高く,閉経前では,ジャンプ運動・筋力訓練・複合運動(荷重運動と筋力訓練)は骨密度を増加させる.閉経後は,ウォーキング・有酸素荷重運動・筋力訓練・複合運動(荷重運動と筋力訓練)は骨密度を維持・増加させる.運動による骨の健康維持・増進効果を得るためには,適切な運動が高い遵守率で継続される環境が必要である.

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鉄はミネラルの一種であり,身体の適切な機能維持に関わっている.体内における貯蔵鉄量が低下をした鉄欠乏は,日常的に激しいトレーニングを継続するスポーツ競技者において罹患する割合が高い.この要因としては,一過性の運動に伴い肝臓からヘプシジンの分泌の増大することが指摘されている.ヘプシジンは,十二指腸からの鉄の吸収やマクロファージからの鉄の再利用を低下させることで鉄代謝を抑制する.また,ヘプシジンの分泌はインターロイキン-6 の増加により誘導され,運動後約3 時間において最高値を示すことが示されている.さらに,栄養摂取は運動誘発性のヘプシジンの増加に強く影響する.エネルギー摂取量,とくに炭水化物の摂取が不足した状態では,ヘプシジンの分泌は増大する.一方で,持久性トレーニング期間中における急激な鉄摂取量の増加は,ヘプシジンの増加を引き起こす可能性があるために注意が必要である.

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運動時における発汗と汗電解質の調節に関して最近の研究をもとに概説した.運動時の発汗は体温などの温熱性要因と温度に依存しないセントラルコマンドや活動筋からの求心性入力などの非温熱性要因により統合的に調節されている.発汗調節の経路は視床下部からの遠心性交感神経信号が主となるが,それ以外にも末梢でさまざまな要因に影響される.汗の前駆物質には血漿と同じレベルの塩分が含まれるが,汗腺の導管部で多くの塩分が再吸収される.皮膚コンダクタンス-発汗量の関係から間接的にこの再吸収能が評価できると考えられ,汗腺での再吸収能が暑熱順化,身体部位差,性差などに修飾されることがこの手法により明らかとなった.このように運動時には発汗量と汗電解質はさまざまな要因により調節されている.

巻頭言

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人生にはさまざまな出来事がある.嬉しいこと,楽しいこと,悲しいこと,不安なこと,寂しいこと,などを毎日さまざま経験する.自分の思いのままに人生を送りたいと思っても,なかなか希望どおりにはいかないことが多い.そのときに,心を奮い立たせ,明るくしてくれたのが先人の名言だった.名言の数々は,傷ついた人の心を,時空を超えて,一瞬にして癒し,元気づけてくれる.

連載 Co-medical staffs のための ROD

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P は生命現象にとっては必須の元素である.今更いうまでもなかろうが,細胞の内外を隔てる細胞膜の構成成分はリン脂質であり,エネルギーを要する生体反応過程ではP を含有するアデノシン三リン酸(ATP)が必須であり,P は核酸の構成成分でもある.

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目次

投稿規定

編集後記

基本情報

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腎と骨代謝
32巻3号 (2019年7月)
電子版ISSN:2433-2496 印刷版ISSN:0914-5265 日本メディカルセンター

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