特集 筋肉・エクササイズとミネラル代謝
8.エクササイズと鉄代謝
後藤 一成
1
1立命館大学スポーツ健康科学部/同研究科
キーワード:
運動
,
エネルギー摂取量
,
鉄欠乏
,
ヘプシジン
,
インターロイキン-6
Keyword:
運動
,
エネルギー摂取量
,
鉄欠乏
,
ヘプシジン
,
インターロイキン-6
pp.225-232
発行日 2019年7月1日
Published Date 2019/7/1
DOI https://doi.org/10.19020/KB.0000000219
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鉄はミネラルの一種であり,身体の適切な機能維持に関わっている.体内における貯蔵鉄量が低下をした鉄欠乏は,日常的に激しいトレーニングを継続するスポーツ競技者において罹患する割合が高い.この要因としては,一過性の運動に伴い肝臓からヘプシジンの分泌の増大することが指摘されている.ヘプシジンは,十二指腸からの鉄の吸収やマクロファージからの鉄の再利用を低下させることで鉄代謝を抑制する.また,ヘプシジンの分泌はインターロイキン-6 の増加により誘導され,運動後約3 時間において最高値を示すことが示されている.さらに,栄養摂取は運動誘発性のヘプシジンの増加に強く影響する.エネルギー摂取量,とくに炭水化物の摂取が不足した状態では,ヘプシジンの分泌は増大する.一方で,持久性トレーニング期間中における急激な鉄摂取量の増加は,ヘプシジンの増加を引き起こす可能性があるために注意が必要である.
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