臨床雑誌整形外科 66巻12号 (2015年11月)

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筋肉温存型腰椎椎弓間除圧術のアプローチを応用して腰椎椎間板ヘルニア手術を行った(mpd群)26例の治療成績を、顕微鏡視下に腰椎椎間板ヘルニア摘出術を行った(md群)43例と比較検討した。その結果、mpd群とmd群の間で、性別、年齢、手術時間、術中出血量、CRP、WBC、術後在院日数、再発、手術前と経過観察時JOAスコア、JOA改善率に有意差はみられなかった。

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当科で腰椎変性疾患に対して2椎間除圧術を施行した14例(除圧群)と2椎間制動術を施行した12例(制動群)の手術成績を比較検討した。その結果、術中出血量・術後出血量はともに制動群で有意に多かったが、JOAスコア改善率は制動群が有意に良好であった。術後画像で椎間障害を認めたものは除圧群で6例、制動群で2例であり、そのうち臨床症状を呈したのは除圧群の2例で、いずれも再手術を行った。制動群の4例で椎弓根スクリューの弛みを認めたが、折損はなく、いずれも無症候であった。なお、術後血腫や感染、術後麻痺などの合併症はみられなかった。

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鎖骨遠位端骨折に対して最小侵襲プレート固定法を行った5例の治療成績を検討した。全例男性で、手術時平均年齢は50.2歳、平均観察期間は6ヵ月であった。Craig分類はtype IIBが2例、Vが3例であった。その結果、全例で骨癒合が得られ、術後3週の時点で全例挙上が160°可能であった。全例が骨癒合した術後3ヵ月の時点でのConstant shoulder scoreは全例excellentであった。平均骨癒合期間は2ヵ月で、合併症はみられなかった。

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当院で経験したOsgood-Schlatter病51例について検討した。男子39例、女子12例で、受診回数は平均2.3回であった。受診学年は小学校6年生と中学校1年生で33例(65%)を占めた。治療方針は、剥離骨折を生じないように可能であれば8週間、運動の全面的な中止をすすめ、難しければジャンプ、ダッシュ、キックは同期間休止することをすすめた。その結果、経過観察期間平均3年6ヵ月で、治療成績は疼痛なくスポーツ可能であった良が36例(71%)、不可が15例(29%)であった。今回の検討から、Osgood病の診断にはMRI検査が有効であり、その治療として運動を休止して安静を図ることが有用と考えられた。また、運動休止期間としては4~6週で症状消退に寄与できる可能性が示唆された。単純X線所見では、板状の剥離骨片の予後は良好であり、楕円形の剥離骨片は予後不良因子となる可能性が考えられた。

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膝窩嚢腫に対して鏡視下交通路拡大術を施行した4例の治療成績について検討した。男女各2例で、平均年齢は59歳、術後経過観察期間は13ヵ月であった。3例に半月板損傷、関節軟骨の変性などの関節内病変の合併を認めた。その結果、術後に感染や神経血管障害などの合併症はみられず、全例で術後2ヵ月の時点で膝窩部の腫瘤は消失し、自覚症状の軽減を認めた。MRIでは3例が術後3ヵ月、1例が術後6ヵ月に嚢腫は消失しており、再発所見もなく良好な成績が得られた。

整形トピックス

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14歳女児。脳性麻痺と左上下肢不全麻痺の既往がある。今回、両手のしびれ、歩行障害を主訴に当科紹介となった。初診時所見、単純X線・MRI所見より、後方不安定性を生じた歯突起骨と診断し、環椎後弓切除後、プレートおよびスクリューシステムを用いて後頭骨から軸椎までの後方固定術を行った。後頭骨には2本の後頭骨スクリューに加え、超高分子量ポリエチレンテープを併用し、軸椎は椎弓根スクリューを使用した。しかし、術後1年で後頭骨スクリューの弛みを認め、移植骨頭側端での偽関節を生じたため、再手術を計画した。再手術は初回手術とは異なる後頭骨プレートを使用し、後頭骨には8本のスクリューを挿入した。後頭骨とプレートの固定には超高分子量ポリエチレンテープを併用し、骨移植には自家骨移植を行った。再手術後2年で骨癒合と神経症状の改善を認め、両手のしびれは軽減し、独歩可能となった。さらに頸椎sigmoid curveの軽減が得られた。

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症例1は76歳女性で、腰痛、両大腿前面痛を主訴に、他院にて化膿性脊椎炎と診断され3ヵ月間内服治療を受けるも改善せず、発症後5ヵ月で当科紹介となった。単純X線ではL2椎体終板の不整像とL2/L3椎間板の狭小化、CTではL3椎体の骨欠損像を認めた。症例2は78歳女性で、感染性腸炎にて他院入院加療中に腰痛、両下肢痛、両下肢筋力低下が出現し、当科転院となった。造影CTでL3/L4椎間板レベルの右腸腰筋内にring enhanceされる膿瘍を認めた。いずれの症例も化膿性脊椎炎と診断し、Cortical bone trajectoryスクリューを用いて後方固定術を行った。いずれも術後症状は改善し、それぞれ術後6ヵ月、術後1年で骨癒合が得られた。

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78歳女。関節リウマチに対してエタネルセプト(ETN)投与中であったが、右臀部痛と発熱が出現し、精査入院となった。単純CTでは腹部に異常所見はなく、右腸骨筋の腫脹がみられた。当初、尿路感染症を疑い、抗菌薬投与を開始したが、腎機能障害を認めたため、セフトリアキソンナトリウム水和物(CTRX)を投与し、MTX、ETNを中止したところ、解熱および炎症反応の改善が認められた。右腸骨筋の腫脹も縮小し、関節リウマチに対してはSASP、PSL投与を行い、退院となった。しかし、再び右臀部痛と発熱が出現し、再入院となった。再入院時のCTでは、右腸骨筋の腫脹および仙腸関節の開大、破壊像を認め、血液・仙腸関節穿刺の培養所見からは黄色ブドウ球菌が検出された。CTRXを投与するも炎症は鎮静化せず、1週間後に手術を行った。手術所見では化膿性仙腸関節炎から波及した腸骨筋膿瘍が確認され、デブリドマン・洗浄を行った。術後はMINOの投与を行い、感染の再燃なく、術後2ヵ月で軽快退院した。関節リウマチにはSASP、PSLの投与を継続し、術後8ヵ月の現在、疾患活動性の増悪や感染の再燃は認めない。

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症例1は58歳女性で、両肩関節の腫脹・疼痛を主訴に、前医にてリウマチ性肩関節炎としてMTXを投与されるも改善しなかった。症例2は63歳女性で、左肩関節の腫脹・疼痛とROM制限を主訴とした。症例3は63歳男性で、右肩関節の腫脹・疼痛とROM制限を主訴とした。いずれの症例もMRIでは多数の米粒体を伴う慢性肩峰下滑液包炎が認められた。症例1はACR/EULAR新基準6/10点であり、RAの関与を考え、MTX+葉酸の投与を行ったが症状の改善が乏しく、関節鏡視下に滑膜切除、米粒体の摘出術を行い、術後症状は改善した。症例2はACR/EULAR新基準5/10点と診断基準を満たしていないものの、家族歴からRAの関与を考え、MTX、葉酸、ブシラミンの投与を開始し、症状の改善、滑膜炎の消退傾向を認めた。症例3はACR/EULAR新基準1/10点、家族歴や炎症反応などもなく、RA治療は行わず、保存的に治療したが炎症反応が出現したため、米粒体の摘出と滑膜切除を行い、症状は改善した。

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症例1は剣道部に所属する15歳男児で、誘因なく左手関節尺側部痛が出現し、近医より当科紹介となった。病歴、局所所見、X線像より尺骨茎状突起疲労骨折と診断し、上肢伝達麻酔下で鋼線締結による固定術を行い、術後10週で剣道の練習が可能となった。術後1年1ヵ月の最終受診時、骨折部は癒合し、高校進学後も剣道を継続している。症例2は卓球部に所属する12歳女児で、誘因なく練習中に右手関節尺側部痛が出現し、近医にて尺骨茎状突起偽関節と診断され、1ヵ月の肘下シーネ固定を受けた後に当科紹介となった。病歴、局所所見、X線像より尺骨茎状突起疲労骨折と診断し、左手のみでのラケットの使用を指示し、経過観察とした。1ヵ月後には尺骨茎状突起部の圧痛は消失し、11ヵ月後には骨折線が消失し、右手関節痛も軽快した。現在、左右手を使用し、受傷前と同様の練習を行っている。

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69歳男。3日前より急激に出現した右膝痛を主訴に当科を受診した。関節穿刺を行い、関節液からはMRSAが検出され、化膿性膝関節炎と診断し、初診より18日で当科入院となった。硬膜外チューブを用いて抗菌薬ゲンタマイシン塩酸塩の局所注入療法、テイコプラニンの全身投与を開始した。治療により培養陰性が確認され、ST合剤とミノサイクリン塩酸塩の経口投与を開始し、経過良好にて独歩退院となった。退院後約半年の現在、感染の再燃は認めない。

Vocabulary

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当科で脊髄造影を行った83例を対象に、使用した造影剤によりイオヘキソール群51例、イオトロラン群32例に分け、合併症の発生頻度を比較検討した。その結果、イオヘキソール群では18例(35.2%)に合併症を認め、内訳は左下肢有痛性筋痙攣・下肢痛が15例、違和感が3例であった。全例刺入中から直後に発生し、5分以内に症状は消失していた。一方、イオトロラン群では合併症を認めず、イオヘキソール群と比べ有意にその発生頻度が少なかった。

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橈骨遠位端骨折に対して掌側ロッキングプレート(Acu2)を用いて骨接合術を行った36例を対象に尺側支持性について検討した。その結果、プレート最遠位のスクリューが、月状骨窩直下に1本しか刺入されていなかったのは9例(25%)で、うちproximal-narrowプレート(PNP)使用例と男性例が多くを占めていた。PNP使用例では18例中5例(28%)が月状骨窩に1本しか刺入されず、プレート設置位置を比較すると、軟骨下骨直下から2mm未満にスクリューが設置されるとプレートが橈側寄りに設置される傾向にあった。男性例では6例中2例(33%)が月状骨窩に1本しか刺入されず、これら2例はいずれも橈骨遠位の横径が広く、スタンダードプレートを使用しても中央付近の設置では尺側の被覆が足りず、尺側支持性が不十分で、遠位2列目のスクリューが追加されていた。

X線診断Q&A 出村 諭

卒後研修講座

動きからみた肩関節の不思議 菅本 一臣

基本情報

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臨床雑誌整形外科
66巻12号 (2015年11月)
電子版ISSN:2432-9444 印刷版ISSN:0030-5901 南江堂

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