臨床室
エタネルセプト投与中に化膿性仙腸関節炎から波及し腸骨筋膿瘍を生じた1例
相澤 俊朗
1
,
冨手 貴教
,
齋藤 英知
,
宮腰 尚久
,
島田 洋一
1北秋田市民病院 整形外科
キーワード:
Ceftriaxone
,
Methotrexate
,
Minocycline
,
Prednisolone
,
Sulfasalazine
,
Staphylococcus aureus
,
関節リウマチ
,
治療的洗浄
,
デブリードマン
,
X線CT
,
皮下注射
,
ブドウ球菌感染症
,
腰筋膿瘍
,
Etanercept
,
仙腸関節炎
Keyword:
Etanercept
,
Arthritis, Rheumatoid
,
Debridement
,
Ceftriaxone
,
Therapeutic Irrigation
,
Methotrexate
,
Injections, Subcutaneous
,
Minocycline
,
Prednisolone
,
Staphylococcal Infections
,
Staphylococcus aureus
,
Sulfasalazine
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Psoas Abscess
,
Sacroiliitis
pp.1267-1269
発行日 2015年11月1日
Published Date 2015/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2016083039
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
78歳女。関節リウマチに対してエタネルセプト(ETN)投与中であったが、右臀部痛と発熱が出現し、精査入院となった。単純CTでは腹部に異常所見はなく、右腸骨筋の腫脹がみられた。当初、尿路感染症を疑い、抗菌薬投与を開始したが、腎機能障害を認めたため、セフトリアキソンナトリウム水和物(CTRX)を投与し、MTX、ETNを中止したところ、解熱および炎症反応の改善が認められた。右腸骨筋の腫脹も縮小し、関節リウマチに対してはSASP、PSL投与を行い、退院となった。しかし、再び右臀部痛と発熱が出現し、再入院となった。再入院時のCTでは、右腸骨筋の腫脹および仙腸関節の開大、破壊像を認め、血液・仙腸関節穿刺の培養所見からは黄色ブドウ球菌が検出された。CTRXを投与するも炎症は鎮静化せず、1週間後に手術を行った。手術所見では化膿性仙腸関節炎から波及した腸骨筋膿瘍が確認され、デブリドマン・洗浄を行った。術後はMINOの投与を行い、感染の再燃なく、術後2ヵ月で軽快退院した。関節リウマチにはSASP、PSLの投与を継続し、術後8ヵ月の現在、疾患活動性の増悪や感染の再燃は認めない。
©Nankodo Co., Ltd., 2015