臨床皮膚泌尿器科 9巻9号 (1955年9月)

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 患者:17歳,女子。

 主訴:軽度排尿痛兼尿溷濁。

 既往歴:虫垂炎より腹膜炎を併発,非観血的に治癒した。

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1.緒言

 ヒノキチオール(以下「ヒ」とす)は野副氏等が台灣檜の精油中より分離せる四成分,左旋性ロジン酸,シヤメノールA,シヤメノールB,ヒノキチオール中の一つで融点51°C〜52°C,沸点140°c〜141°cの淡黄色,特異臭のある物質でC10H12O2なる分子式を以て表わされる不飽和七員環化合物である。水には難溶であるがアルコールに可溶でその構造は左の如く,且,強酸,強アルカリに安定であり,塩化第二鉄との呈色反応は特異的なため,定量測定に使用される。

 檜油,古くより蕃人等が外傷に用いたことが明らかにされて居るが,「ヒ」の抗菌作用については,桂教授その他の多くの研究がなされて居る。就中,結核に対する研究は実験面,臨牀面共に豊富であり,桂氏等によれば試験管内に於ては5000倍稀釈迄結核菌発育阻止作用ありとされ,平戸氏はSlide Cell Culture法では4000倍稀釈で完全阻止,16,000倍に到つて阻止作用を消失すると云う。又他の好気性及び嫌気性菌に対してもかなりの発育阻止作用を有することが知られて居る。糸状菌に対する実験に坪井氏等の研究があるが,実験的,臨牀的共に有効であると報告されて居る。

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I.緒言

 Neo-Minophagen AT (以下N.A.T.と略す)はを主成分とする塩基性Amino酸の2%生理的食塩水溶液である。

 本剤が皮膚泌尿器結核を始め一般の結核症に対して相当有効に作用することは諸家の認めている所である。

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 Hydrochinone monobenzyl ether (以下H.M.E.と略す)を種々の皮膚色素沈着症,主として肝斑に対して用い,其の効果を検討した。

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緒言

 Elman(1947)がその著書Parenteral Alime-ntation In Surgeryに於いて「細胞内液は多量のカリウム,マグネシウム,燐を含んでいるから,非経口的液体投与で組織の修復を願う場合にはこれらの塩類を投与液の本質的組成としなければならぬ」と述べて以来カリウムの意義が注目されて来た様である。

 泌尿器科方面でも尿管腸吻合術の普及につれ電解質の問題が取り上げられ,就中ナトリウム,クロールと共に,カリウムが重要視される様になつた。最近我々は前立腺剔除術後に起つた定型的低カリウム血症に塩化カリウムを投与し,臨床症状が著明に改善した1例を経験したので茲に報告し併せてカリウムの臨床について述べる。

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緒言

 非血小板減少性紫斑病の発症原因に関して現今ではアレルギー機序に基づくものとする見解が一般的に用いられている。単純性紫斑病・ロイマチス性紫斑病に就てはFrankにより毛細管系中毒症と推察され,又アレルギー性疾患と推測される多型滲出性紅斑とこれらとの合併例も屡々認められる所である。所謂Henoch氏腸性紫斑病は古くはOslerの示唆に始まり,更にGlanzman・Frankに依つてアナフイラキシー様紫斑と表現され一時反論も起つたが,Duke・Landsberger・Alexander u.Eyermann等続々食餌性発症例の報告が提出されるに至り以後アレルギーに原因が置かれている。本邦に於ては北川・高橋・山田等により本紫斑病に関する詳細な報告があるが,これらは小児科領域を中心とするものであり皮膚科領域よりは木原の19例がある。余は当科昭和10年度より29年に及ぶ20年間の非血小板減少性紫斑病患者103例に就き統計的観察を試みた。

 1.性別 男子:51例,女子:52例,北川・高橋・山田等の観察では男子が圧倒的多数を占めているが,余のそれが略々同様であるのは単純性紫斑病を多数含み,且その多くが女子である為と考えられる。

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I.緒言

 尋常性乾癬の病因並に治療と内分泌腺との関係に就ては従来から種々論議され且つ報告されている。我々は相当の発病経過を有し種々の治療に頑強に抵抗した5例の尋常性乾癬患者に牛脳下垂体前葉を移植し,興味ある経過を観察し得たので報告する。総て外来通院治療のために充分な検索を行い得なかつたのは甚だ遺憾である。

 尚脳下垂体は犢の若い脳下垂体を大体1人1頭分宛患者大腿部広筋膜下に移植した。

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 無菌的に一応凝固した血液が細菌の汚染なしに自然融解することがある。此の現象はすでに1893年にDastreによつて報告され,その後RosemannMagFahren,Christensen等によりその本態が次第に明かにされるに到つた。その結果,凝固した血液が再び融解したのは血漿内の酵素により線維素がポリペプチツドの分解されたためであることが分り,此の現象は線維素融解現象(Fibrinolysis)と呼ばれ,酵素はFibrinolysin又はPlasminと名付けられた。

 ところが1905年にNolfがペプトンを肝剔除犬の静脈内に注射し所謂ペプトンシヨツクを起した際にプラスミンの活性度が増加することを認め,更にRosemannが1920年に此のプラスミンが炎症と密接な関係を有することを示唆して以来,アナフイラキシー,手術後,又は突然死,火傷等に際し血液中のプラスミンが著明に活性化されることが明かになつて来た。更に又,Rocha e Silvaはプラスミンの活性化がアナフイラキシー発現の原動力であると提唱し,岡本等はプラスミンがアレルギーのみならずその類似現象の発現にも関与すると予想するに至つた。

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まえがき

 ビタミンB6は家鼠の抗皮膚炎性因子として発見されて以来,皮膚科領域に於て,湿疹及びその類似性疾患に単独に,或はビタミンB1,B2等と共に内服,注射の形で広く用いられて来たが,その相当量の使用にも,あまり効果の見られない場合も屡々経験される処である。殊に有効とされている脂漏性皮膚炎に於いてこの感が深い。

 1952年Schreiner & Slingerは23例の脂漏性皮満炎患者を2グループに別ち,第1グループの11例に対しては毎日Pyridoxine 300mgを4週間経口投与,第2グループ12例中6例は最初1日600〜1000mgのPyridoxineを3週間注射し,次いで1%Pyridoxine軟膏を局所に塗布せしめ,他の6例は終始1%Pyridoxine軟膏の塗布のみを継続した。その結果第1グループに於ては脂漏性の局面が2例に於いて僅かに好転,5例は変化なく,4例は悪化し,第2グループに於いては,注射のみの継続中には2例に僅かな好転を見たのみであつたのが,Pyridoxine軟膏塗布後は全例に於いて5〜12日で著効を得たことを記載している。

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緒言

 疾病の診断治療に当つて患者に苦痛を与えるということは望ましい事ではない。現在泌尿器科に於て最も多く行われる膀胱鏡検査,導尿,ブジー療法等経尿道的操作は痛いもの,嫌なものとされている。而も是等の操作は主に外来で行う場合が多いのである。従つて経尿道的操作の為,尿道麻酔が手軽に且つ充分に出来るならば患者に苦痛,不快,恐怖感を与えないのみならず,確実なる診断及び充分なる治療をなす上に誠に好都合なことである。この目的で既に多種多様の藥剤及び方法が試みられている。即ち普通3%硝酸アリピン溶液,又は2%ノボカイン溶液とし,それに1.0cc毎にアドレナリン1滴宛加えたものを前部尿道より後部尿道に亘りて注入する方法が最も多く行われていたが,尿道粘膜への粘着度が弱く,麻酔効果も有効時間も不充分である為,Corksuはグリヒリン,トラガントゴム,フエノール,硼酸を加えて粘稠度を増し,局所麻酔効果を高めることを考案し,落合氏等もCarkusの処方に従つてプロカインを主剤とし,フエノール,硼酸,トラガント,グリセリンを溶剤としたものを用いて好結果を得ている。一方藥剤の投与方法においても工夫がなされてBransford Lewisの報告ではコカイン,ノボカイン,アリピン等の可溶性錠剤(各1錠0.06gr含有)を尿道の希望の部位に尿道錠剤配置器にて挿入する方法は,流れ出し易い液体の形でなすよりも有効なることを述べている。

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1.緒言

 肝臓疾患や皮膚疾患におけるメチオニン,カルシユームの効果は広く認識されている。肝臓は蛋白質アミノ酸代謝,糖代謝,脂肪代謝,解毒作用造血作用,免疫体産生等々の重要な機能にあずかり,一旦この臓器に障碍が起れば,生体の生命現象に甚大な影響を及ぼすものである。肝臓機能障碍時には安静を図り,高蛋白,高炭水化物食餌,ビタミン,ホルモン投与等肝臓庇護に努めることは治療の要締であるが,近頃はアミノ酸の補給ということが宣伝されている。メチオニンは,唯一の含硫必須アミノ酸として,組織蛋白を合成し,エタノールアミンのコリンへの変化,及び逆反応によつて,燐脂質代謝に重要な役割を果し,更にロダン,メルカプツール酸形成,エーテル硫酸抱合等種々の解毒機転や,グルタチオン等の酸化還元系に関与している。その他,蛋白節約,クレアチン形成,毛細管透過性亢進の抑制,酵素活性化等肝臓機能の調整,ひいては生体生的機能に枢要な位置を占めている。病的肝では,実験的にも亦,臨床上でも,メチオニンの不足が考えられ,実際メチオニンの連続投与によつて,肝臓機能を補強し,正常化せしめることが実証せられている。

 次に蕁麻疹であるが,その原因には,食餌,藥物,血精注射,物質代謝異常,神経系の障碍など身体内部に起因する内因性のものと,理化学的刺激に因つて起る外因性のものとがある。

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緒言

 痤瘡は湿疹に次で多い皮膚病と一般に云われているにもかかわらず,その原因は極めて複雑で今尚定説がない状態であり,夫々原因療法としてホルモン剤,ビタミン,サルフア剤等々,各種の藥剤が使用せられ,夫々相当の治効を期待し得るが又痤瘡は結婚するとか,思春期を過ぎると一般に概ね治癒の傾向を示すことはよく知られているところである。

 然し痤瘡が男女とも思春期,或は殊に女子の場合,美容的な観点より患者を悩ますことは非常なものである。しかもこの場合,しばしば各種治療に抵抗する難治性の症例に遭遇することがある。橋本氏等及び村山氏は痤瘡患者に強力ネオミノフアーゲンC(以下S,N,M,Cと省略)を使用して有効なことを報告されている。

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緒言

 横紋筋肉腫は悪性腫瘍の中でも比較的稀なものであり,且つ副睾丸に原発するものは極めて稀で,Hirschの報告する例を見るのみである。最近副睾丸に原発し,全身に広軌な転移を示した横紋筋肉腫の一例を経験したので報告する。

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 精索静脈瘤は,我国ではさほど多いものではないが,白人には非常に多いものである。従つて今次大戦中も,米軍では相当多数例の手術を施行する必要があつた。そして1942年迄は従来の下部の静脈の結紮及び切除術を行つていたのであるが,術後も症状が残るとか,合併症が多いとかの欠点が眼についたので,その後はラテン・アメリカで以前から行われていた高位結紮法が応用される様になつた。これは1918年にIvanissevitchが始めた方法で,アメリカではBernardiが1941年に施行したのが始めてであつたが,大戦中には米軍々医のJavert and Clark(1944);Zucker(1944)等が多数例に試みてその優秀性が認められた。大戦後になつてRiba(1947);Olson and Stone(1949);Palomo(1949);Lewis(1950)等が術式の一部分は夫々に異つているがこの方法を迫試している。そしてOlson and Stoneは25例に施行して中21例に好結果を得ており,Palomoは38例で1例も睾丸の萎縮を見ないで治癒したことを報告し,Lewisは42例の手術例に就て術後1〜2年の経過を見て成績は満足すべきものであつたと述べている如く,例外なくその成績は良好である。

 この手術法は志田圭三等によつて既に昭和27年に我国にも紹介されている。

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緒言

 Ritter氏新産児剥脱性皮膚炎は,一般に予後が悪く,山口1);皆見;片山等の本邦戦前に於ける症例の統計的観察によると,その30〜70%は死の転帰をとると報告されているが,戦後Sulfonamid,Penicillin,Streptomycin等と相次ぐ抗生物質の登場により,本症の予後は著しく改善されて,斎藤・吉田2),野原3),土肥・平山4),市橋・大岡5)等はPenicillin治療により治癒日数の著しい短縮と死亡率の著減とを報告している。併してこの場合本症病原体と考えられる葡萄状球菌のPenicillinを初めその他の諸種抗生物質に対する耐性獲得能を考えると,かかる耐性株による本症の出現もあり得るのではなかろうか,従つてかかる場合には可及的早期に,細菌学的に原因菌の諸種抗生物質に対する耐性を検定し,感性藥物に依る適正な治療の開始が望ましい事と考えられる。又抗生物質に対する耐性株には,一般病原性の低下が考えられている様であるが,その場合本症の臨牀所見の変化等も併せて注目せらるべきものではあるまいか。

 著者等は最近本院産婦入科に於いて出産した新産児と,本院皮泌科外来を訪れた生後7日の新産児とに相次いで本症を認め,水疱並びに流血中よりPenicillin耐性株を分離し,比較的強く感性を示したStreptomycin 及び Chloromycetinにより初めて治効を得たのでこゝに報告する。

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 局所多汗症の治療藥として従来種々のものが用いられている。その主なものをあげると次の様になる。即ち,

 A.藥物療法

  1.全身投与(注射・内服)

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緒言

 B-ビタミン群の研究は近時長足の進歩をとげ,その臨床領域における利用も各科において盛んに行われているが,皮膚科領域における適応も,その典型的な欠乏症のみならず皮膚炎湿疹蕁麻疹などに奏効することが報告されている。また近来抗ヒスタミン剤による皮膚疾患,とくにいわゆるアレルギー性皮膚疾患の治療効果が報告されている。しかしながらとくにアレルギー性皮膚疾患に限らず,一般掻痒性,滲出性皮膚疾患についても掻痒および毛細管透過性に関するヒスタミンの生体内機転よりして,抗ヒスタミン剤の止痒効果,滲出抑止作用が考究されるべきである。したがつてB—ビタミン群および抗ヒスタミン剤の併用が諸種皮膚疾患に対して,期すべき治効を持つであろうことも,当然推測し得るところである。わが教室において,最近これに関するいささかの経験を得たので報告し,あわせて2,3卑見を述べる。

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緒言

 われわれは,腺癌及び扁平上皮癌の二種の組織構造が混在する癌腫が膀胱部で大腫瘤を造つて蔓延しており且之が前立腺より発生したと思われる一剖検例を得たので,茲にその臨牀経過と病理解剖学的所見の概要を報告する。

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緒言

 膀胱異物はそれ程珍らしいものではなく,本邦でも多数の報告例並に種々の統計をみる。最近にも中曾根等の本邦110例の種々の観点よりの統計を見,その後に於ても日東寺,西村等の報告例がある。余等は最近ビニール管を異物とする症例を経過したので統計上の資料にもと思いこゝに報告する。

海外トピツクス
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正常尿道細菌の抗細菌性発育阻止物質生成作用

 正常の男子尿道に白色葡萄球菌が存在する事は,既に1904年のPfeifferの研究以来衆知の事実である。最近B.Weber(1955)は亀頭及び外尿道口を充分に消毒してから,排尿の最初の20ccを捨てたあとの尿を培養して,100人の正常男子の中38人に白色葡萄球菌を培養し得ている。この白色葡萄球菌は,丁度皮膚表面に於けると同様に,他の病原菌の発育を阻止する作用を有するもので,充分にその存在価値がある。

 即ち,Weberはその中32の菌株が平板試験に於て,糞便連鎖球菌,黄色葡萄球菌及び枯草菌に対して拮抗作用のある事を証明した。しかし,大腸菌は全くその影響を受けない。又その液体培養の透析及び濾過によつて,白色葡萄球菌から生成された抗細菌性発育阻止物質の存在を証明し得た。

内外文献抄録 三浦
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皮膚科

外国文献

 小外傷によつて増悪するPsoriasis. G. E. Morris-Arch. Dermat. 71:635, 1955.

 本症が小外傷の結果として起り得ることに疑問を持つ者があるが,psoriasisを有する人々においては,この様な外傷が本症を増悪させるに足ると云うことを証明する2例が,写真を添えて提出されている。

基本情報

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臨床皮膚泌尿器科
9巻9号 (1955年9月)
電子版ISSN:2188-6164 印刷版ISSN:2188-6156 医学書院

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