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尿道の麻酔—DEAの使用経験
松井 靕仁
1
,
大久保 博夫
1
,
神長 次朗
1
,
有田 信義
1
1昭和医科大学泌尿器科教室
pp.593-597
発行日 1955年9月1日
Published Date 1955/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201496
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緒言
疾病の診断治療に当つて患者に苦痛を与えるということは望ましい事ではない。現在泌尿器科に於て最も多く行われる膀胱鏡検査,導尿,ブジー療法等経尿道的操作は痛いもの,嫌なものとされている。而も是等の操作は主に外来で行う場合が多いのである。従つて経尿道的操作の為,尿道麻酔が手軽に且つ充分に出来るならば患者に苦痛,不快,恐怖感を与えないのみならず,確実なる診断及び充分なる治療をなす上に誠に好都合なことである。この目的で既に多種多様の藥剤及び方法が試みられている。即ち普通3%硝酸アリピン溶液,又は2%ノボカイン溶液とし,それに1.0cc毎にアドレナリン1滴宛加えたものを前部尿道より後部尿道に亘りて注入する方法が最も多く行われていたが,尿道粘膜への粘着度が弱く,麻酔効果も有効時間も不充分である為,Corksuはグリヒリン,トラガントゴム,フエノール,硼酸を加えて粘稠度を増し,局所麻酔効果を高めることを考案し,落合氏等もCarkusの処方に従つてプロカインを主剤とし,フエノール,硼酸,トラガント,グリセリンを溶剤としたものを用いて好結果を得ている。一方藥剤の投与方法においても工夫がなされてBransford Lewisの報告ではコカイン,ノボカイン,アリピン等の可溶性錠剤(各1錠0.06gr含有)を尿道の希望の部位に尿道錠剤配置器にて挿入する方法は,流れ出し易い液体の形でなすよりも有効なることを述べている。
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