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ヒノキチオールに関する実験的並びに臨床的研究
竹内 勝
1
,
今井 利一
1
,
林 易
1
,
麻生 和雄
1
,
三橋 愼一
1
1千葉大学医学部皮膚泌尿器科
pp.565-569
発行日 1955年9月1日
Published Date 1955/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201488
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1.緒言
ヒノキチオール(以下「ヒ」とす)は野副氏等が台灣檜の精油中より分離せる四成分,左旋性ロジン酸,シヤメノールA,シヤメノールB,ヒノキチオール中の一つで融点51°C〜52°C,沸点140°c〜141°cの淡黄色,特異臭のある物質でC10H12O2なる分子式を以て表わされる不飽和七員環化合物である。水には難溶であるがアルコールに可溶でその構造は左の如く,且,強酸,強アルカリに安定であり,塩化第二鉄との呈色反応は特異的なため,定量測定に使用される。
檜油,古くより蕃人等が外傷に用いたことが明らかにされて居るが,「ヒ」の抗菌作用については,桂教授その他の多くの研究がなされて居る。就中,結核に対する研究は実験面,臨牀面共に豊富であり,桂氏等によれば試験管内に於ては5000倍稀釈迄結核菌発育阻止作用ありとされ,平戸氏はSlide Cell Culture法では4000倍稀釈で完全阻止,16,000倍に到つて阻止作用を消失すると云う。又他の好気性及び嫌気性菌に対してもかなりの発育阻止作用を有することが知られて居る。糸状菌に対する実験に坪井氏等の研究があるが,実験的,臨牀的共に有効であると報告されて居る。
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