地域リハビリテーション 13巻10号 (2018年10月)

特集 放課後等デイサービス

西脇 恵子
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 放課後等デイサービスは,障害のある児童生徒が,学校教育と協力しながら生活能力向上のための訓練等を継続的に受けることにより,障害児の自立促進や放課後等の居場所づくりを行う児童福祉法に基づく事業です。

 2012年の同法等の改正により,未就学児には児童発達支援,就学児には本事業が障害の種類にかかわらずサービスが提供されるようになりました。5年余りが経過し,民間の参入も増え支援内容の適正化と質の向上が求められています。本特集では地域づくり,社会参加の視点からも本事業について考えてみたいと思います。

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放課後等デイサービスの展開とその特徴

 放課後等デイサービスは2012年の児童福祉法の改正により,障害児の福祉サービスの体系の見直しのもとで制度化された。このサービスの特徴は,学齢時における障害児に対して,放課後の支援に焦点を当てながら,発達支援の特徴である「子どもへの発達支援(狭義の発達支援)」「家族支援」「地域支援」の3つの視点によるサービスを行うことが求められている点である1)。放課後等デイサービスに関して言えば,「子どもへの発達支援」では,「育ちや暮らしへの意欲」「コミュニケーションする力」「生活する技術・技能」「自分で決めて自分で選ぶ力」の4つを目標としている1)。「家族支援」では,子どもが最大限に成長,発達できる基盤となる家庭生活,親子関係を支援することを明らかにしたうえで,あくまで「子ども中心」の目標である。「地域支援」は地域の支援機関との連携,地域への専門的支援の提供,地域との交流など,地域と積極的に関係していくことを目的としている。

 この制度の前身は,障害者自立支援法(現 障害者総合支援法)における「児童デイサービス事業」である。ただし,児童デイサービス事業は,就学前の障害児の療育を中心とした取り組みと就学後も療育を目的とはしているものの,利用形態としては,日中活動,居場所などの提供の取り組みがあり,この両者の利用実態が大きく異なっていたことからも,就学前児の利用する児童デイサービスⅠ型と就学後の児童を含んだ幅の広い利用者の児童デイサービスⅡ型の2種類に分かれていた。すでに,この時点で障害児の発達支援を専門的に取り組む療育中心の実践と,放課後の障害児の居場所,活動支援,保護者のレスパイト(一時的な休息)などの家庭外の子どもの預かり中心の実践と2つの要素が入っていたことが理解できる。その後,2012年度の児童福祉法改正により,児童デイサービスⅠ型は児童発達支援に,児童デイサービスⅡ型は放課後等デイサービスとなり制度として分離した。

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放課後活動へのニーズが,新しい常識として定着

1.公的な支えのある活動に踏み出す

 40年前(1978年),私は大学に入学した。しばらくして,先輩の学生に誘われた。「小平市で,障害児のボランティア活動を始めた。一緒に参加しないか」。

 この活動は,この年の6月,子ども4人と,ボランティア5人が集まって,遊びの会を行ったことがきっかけで発足した。目的は,障害のある子どもの放課後生活を豊かにすること。これが,現在の「ゆうやけ子どもクラブ」(東京都小平市。以下,ゆうやけ)につながった。

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はじめに

 本稿のテーマは,建築計画分野の観点からの放課後等デイサービスの現状と課題である。

 建築計画とは『人間の生活,行動,意識と,空間との対応関係を基にして建築を計画するアプローチ』である1)註1)。ここでは発達の遅れや偏りなどの障がいのある児童・生徒の成長・発達と,建物や場所(空間),場所ごとのしつらえとの対応関係をもとに,どのように環境整備を行えばよいかを具体的な取り組み事例を通して紹介する。

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はじめに

 放課後等デイサービスの制度化からおおよそ6年を過ぎた。放課後等デイサービスはこの6年間に全国的に増加の一途をたどり,その数は優に1万事業所を超えているとのことである。その過程で,放課後等デイサービスの事業内容の質の問題が大きくクローズアップされ,対応策が練られてきたのが今日的状況と考えられる。

 放課後等デイサービス・インクル(以下,インクル)の開設までの経過と概要を表1に示す。

 今回は,難聴,構音障害,小学1年生時の個別支援を除く,小学1年生以上の小グループ支援の実践例にしぼり報告する。

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発達支援のとらえ方—思春期

1.支援の視点

 放課後等デイサービスは,早期療育からの支援を引き継ぎ,小学校から中学,高校を卒業する18歳までという,成長と環境変化が著しい時期の育ちの支援を担う場である。

 その中でも心と身体の変化が激しい思春期時代に重要な視点は,① ライフステージと ② 自己理解・他者理解の2つである。

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 皆さん,現在,理学療法士・作業療法士養成カリキュラム(理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則)の改正が検討されていることはご存じでしょうか? 平成30年2月に理学療法士・作業療法士学校養成施設カリキュラム等改善検討会報告書1)が示され,カリキュラム改正の方向性が示されました。

 前回の改正が平成11年で,約20年ぶりの改正になります。この間,医療保険においては回復期リハビリテーション(リハ)病棟の新設(平成12年),疾患別リハ料の創設(平成18年),地域包括ケア病棟の新設(平成26年),回復期リハ病棟における質の評価の導入(平成28年)等が,介護保険においては介護保険法施行(平成12年),予防重視型システムへの転換(平成18年),地域包括ケアシステム(平成24年),新・介護予防・日常生活支援総合事業への移行(平成27年)等があり,少子高齢化社会に対応するため,医療・介護の仕組みが大きく変化しました。このような,高齢化の進展に伴う医療需要の増大によるリハ提供体制の変化や地域包括ケアシステムなどへの対応が,今回のカリキュラム改正のポイントです。全体の単位数が93単位以上から101単位以上に増え,具体的には専門基礎分野で「栄養,薬理,画像,救急救命,予防等の基礎」(2単位),「リハの理念(自立支援・就労支援等を含む),地域包括ケアシステム,多職種連携の理解」(2単位),専門分野で「理学療法/作業療法管理学(制度の理解,職場管理・教育,職業倫理)(2単位),「画像評価」,「喀痰等の吸引」の必須化が提案されています。また臨床実習も単位数が増加されます。これまで実習時間の2/3以上は「病院又は診療所」で行うこととされた要件が,「医療提供施設」へ変更され,介護老人保健施設などでの実習が増えるかもしれません。さらに「訪問リハ又通所リハに関する実習」を1単位以上行うことが要件として提案されています。

連載 脳卒中慢性期のリハビリテーションメソッド 起き上がり編・第4回

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 起き上がり動作のポイントとして第2,3回では肩が引けてしまう症例について紹介してきたが,今回からは起き上がり動作の際に麻痺側の下肢が降ろせない症例について評価と介入方法を検討していきたい。

連載 高次脳機能障害者のための脳機能アッププログラム・第10回

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 今回は,「SST」を職員のムーランさんに解説いただき,「リサイクルショップ『夢市』の運営」を職員のしまちゃんと私(ちずさん)で解説します。

連載 在宅生活を豊かにするシーティング技術・第7回

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はじめに

 シーティング支援は,利用者の自立を考えるうえで必要不可欠な支援である。主に使用される車椅子は生活支援で使われるゆえに様々なニーズに対応した種類と特性があり,障害児者・高齢者を対象に種々の保険制度や福祉制度により支給されている。

 今後もテクノロジーの進歩により多様化,高度化することが予想される。

 本稿では,「シーティング」をとりまく支給制度の概況と障害者総合支援法(以下,「総合支援法」という)における補装具費支給制度について解説し,これまで介護実習・普及センターにおいてシーティング支援による車椅子導入やその環境整備に中間ユーザーとしてかかわってきた補装具制度下における実例を紹介する。

連載 そうだったのか!地域リハビリテーション活動支援事業・第10回

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表:住民運営の通いの場への定期訪問時に,間接的継続支援の中で,住民自身が健康になる。限られた時間の中で,リハ専門職にできることって何ですか?

安:私が勤務する津山市では,立ち上げ時から定期訪問を続けており,少なくとも1年に1回は必ず訪問するようにしているんだ。

連載 介護期から終をみすえたリハビリテーションの実践・第4回

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終末期と呼吸の安楽

 終末期にある対象者が「呼吸を安楽に継続できる」ことは,その人の「のぞむ暮らし」や「生活の質(quality of life)」にも直結する大変重要な項目である。

 ここでは「終末期における呼吸の安楽」を阻害する「呼吸困難」に焦点をあてて解説する。また「がん」と「非がん」の両方を取り上げる。評価等は在宅にて可能な内容を中心におき,治療法においては非薬物療法を中心に解説する。

連載 神奈川県立特別支援学校での内部専門家としての専門職の活用・第4回

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はじめに

 神奈川県立特別支援学校では,「自立活動教諭」として専門職を常勤採用しており,平成30年度4月現在,STは10名配置されている。神奈川県特別支援学校での自立活動教諭(専門職)の主な仕事には,センター的機能の担い手としての役割「地域の小・中学校等への巡回相談等による教育相談への対応」がある。今回は,筆者が前年度(平成29年度)まで所属をしていた県立特別支援学校での実践をお伝えし,教員との連携について考えてみたいと思う。

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地域リハビリテーション
13巻10号 (2018年10月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:1880-5523 三輪書店

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