保健師ジャーナル 69巻10号 (2013年10月)

特集 母子保健のバージョンアップ

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母子保健法の改正で2013(平成25)年度から未熟児訪問指導,養育医療給付申請や低体重児の届け出などの事務手続きが都道府県から市町村に移譲された。母子保健の体制が変化するなか,今後の少子高齢社会において,都道府県や市町村保健師の役割はどうあるべきか。母子保健のあり方を提言していただくとともに,先進事例の実践から学ぶ。

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母子保健法の改正により,2013年4月1日から未熟児訪問や養育医療事務が市町村に移譲され,母子保健の体制が変わった。今後の少子高齢社会の中で,母子保健のあり方はどうあるべきか,市町村・都道府県それぞれの保健師の役割は何かについて述べていただく。

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2012年度,全国保健所長会が行った調査事業「地域保健の視点で担う今後の保健所母子保健活動の推進に関する研究」では,母子保健活動のあるべき姿や保健所の役割に関する示唆が得られた。今後に向け,その一部を紹介していただく。

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養育支援が必要な母親の増加という課題を感じていた出雲市では,妊娠早期からの情報収集や,専門職と訪問員の二重構造による全戸訪問,また医療機関との連携強化などにより,成果を得ている。それらを可能にした重層的でぶれのない母子保健の取り組みを紹介する。

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富山県・新川医療圏では分娩可能な医療機関が2002年以降に9施設から2施設に減少,なかでも魚津市では2008年以降0となった。しかしそれを契機として魚津市と県保健所が連携し,周産期医療連携のネットワークの構築を実現した。その経緯をご紹介いただく。

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京都府山城北保健所では在宅療養児支援体制の整備を図るため,関係諸機関との連携と,支援のための人材育成に取り組んできた。これまでの活動を振り返り,紹介していただく。

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成人T細胞白血病(ATL)は母子感染が主な原因と考えられており,その予防は感染連鎖の悪循環を断ち切る意味で重要である。本稿では,長崎県で26年間にわたって続けられてきた母子感染防止研究事業とともに,母子感染防止に果たす保健師の役割について述べていただく。

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「保健士」の誕生

 1993(平成5)年の国会で,男性にも「保健士」の国家資格が与えられ,保健婦業務を行うことができるようになったため,1994(平成6)年3月からは男性も保健婦(士)国家試験を受験できるようになった。

 沖縄県では,琉球大学の医学部保健学科において,実習まで履修し保健婦国家試験の受験資格をもつ男性の卒業生が多くおり,この最初の国家試験でも10名以上の受験者・合格者がいた。その合格者の中で,私は臨時採用ではあったが,実際の保健婦・士業務に携わった者として,当時,県内の新聞や全国のテレビなどで「保健士」としてとりあげていただいた。

2013年6月1日,「全国男性保健師のつどい」が沖縄県那覇市で開催された。大津市保健所の平田浩二氏の呼びかけと,沖縄県立看護大学の牧内忍氏,沖縄県庁の上原健司氏の尽力により開かれたこの集いに,23都府県から集まった参加者は70名を超え,おのおの熱い思いを語り合った。第2回は3年後の2016年に横浜市で開催の予定。

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 保健師活動のなかで外国籍の住民と出会う機会をもったり,支援を行ったりした経験のある人は多いのではないでしょうか。私も行政保健師だったとき外国籍の方を支援する機会があり,文化*1の変容や言語の違いによるストレスへの対処,ソーシャル・サポートやネットワークの乏しさなどの問題,支援ニーズの違い,信頼関係の構築などの課題に直面しました。そのなかで,外国籍の住民への支援が十分でないと感じ,Social Determinants of Health(健康の社会的決定要因)の観点から,外国籍の住民にもニーズに合った支援が公平になされるべきであると考えるようになりました。

 これまでも,在日外国人(移民)女性が異文化社会で育児を行う際,十分なサポートが欠落していれば産後うつになる傾向の高いこと1-3),精神障害を引き起こすこと4),不安や葛藤,ストレスが生じること5)などが報告されています。

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要旨

 本研究は,地域における生後3~4か月の第1子を育児中の母親と初妊婦との交流が,3~4か月児の母親にとってどのような体験であったかを明らかにすることを目的とした。親子教室における初妊婦との交流に参加した,生後3~4か月児を育児中の母親18名を対象にグループインタビューを実施し,質的帰納的に分析した。

 その結果,母親にとって初妊婦との交流は,子どもへの愛情の再確認と,育児の新しい視点の獲得につながることから【育児への活力を得る】体験であり,加えて【少しだけ成長した自分を感じる】体験であることから,産後3~4か月に必要とされる母親としての自信の向上につながる可能性が示された。また,自身の妊娠時の記憶も鮮やかであることから,【初妊婦への仲間意識をもつ】ことができるとともに,出産・育児の経験者として【先輩ママとして初妊婦の力になりたい気持ちが芽生える】体験であった。さらには,交流に参加したほかの母親に自分の気持ちを理解してもらうなかで,【同じ立場の母親同士のつながりの大切さが増す】体験となっていたことから,母親と初妊婦の交流は,地域における子育てニーズの解決に向けた,子をもつ者同士の縦と横のつながりを生む契機となる可能性が示された。

 以上より,地域における生後3~4か月の第1子を育児中の母親と初妊婦との交流は,有効な育児支援策となりうることが示唆された。

連載 ナカイタ発 保健師へのつぶやき・4

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 ある県看護協会の研修会で,担当する地域住民との協働成果を生き生きと背伸びすることなく自然に語る3年目A保健師(地区担当)と10年目B保健師(地域包括支援センター)に出会った。地区担当制にチャレンジして約3年の市だから,Aはその混乱の最中に入職し,地域を担当したと考えられる。高齢者(介護)施策を業務として担当する10年目の先輩保健師のサポートが実によい。

 類を見ない少子超高齢社会を迎える今,保健医療施策は,“病院中心の医療”から“在宅中心のケア”へ移行しようとしている。「地域包括ケアシステム」の本質は,病める人も障害を有する人もそして健康な人も,地域の中で自分らしく生き,自分の願う死を尊重される仕組みであろう。今年4月に厚生労働省から出された「地域における保健師の保健活動に関する指針」(以下,指針)は,当然そのことを含めて今後の活動の方向性を次のように示している。

連載 Cから始めるPDCA実践法 特定健診・保健指導の「第2期」に向けて・2

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 前回は,『標準的な健診・保健指導プログラム【改訂版】』(以下,「改訂版」)のポイントを解説しました。読者の方は,その変更点の多さと重要性に驚いたことと思います。改訂版の発行後,多くの都道府県に出向きましたが,「大きな変更点はない」と思い込んでいる関係者は少なくありませんでした。たとえば非肥満者への対応や,受診勧奨判定値を超える該当者の対策をほとんど検討していませんでした。

 第2期に向けて読者のみなさんが第1にすべきことは,「改訂版」をしっかりと読み込み新しく実施しなければならないことを把握すること,第2にはこれまでの事業の「定量評価」を行い,「改訂版」の新しい方針に従って「計画立案」することです。とりわけ,後者はPDCAサイクルを活用すれば容易にできます。定量評価はC(Check)であり,計画立案はP(Plan)ですので,まさに「Cから始めるPDCAサイクル実践法」になります。

連載 [事例集]新しい健康日本21へのヒント・6

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須坂市の概要

 須坂市は長野県の北東部に位置し,千曲川を境に,善光寺のある長野市の東側にある扇状地です(図1)。精密機械を中心とする工業と,リンゴ,ブドウなどの果樹を中心とした農業が盛んな生産都市です。最近では,皮ごと食べられて人気の巨峰「ナガノパープル」の産地です。

 2011(平成23)年3月に第5次総合計画が策定され,須坂市にある豊かな自然,伝統や文化,思いやりやおもてなしの心,地域の人々の交流,地域に根ざした企業,須坂を愛する心や思いを大切にしていくという考えから「一人ひとりが輝き,磨かれた『ほんもの』の魅力あふれるまち須坂」を将来像として,市政に取り組んでいます。須坂市で発祥した保健補導員会の活動も「ほんもの」の1つとして考え,市の宝物となっています。

連載 「困りごと」から考える 地域づくり型保健活動の考え方と進め方・7

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 前回は,参加的目的描写法によるワークショップを始めるための準備期として,健康づくり推進員のリーダー的な人と進め方について相談をする際の注意や相談のしかた,ワークショップに入る際の説明などについて考えてみました。

 さらに,「住民とのワークショップで作成した計画が日常の業務に活かされない」という悩みを考えるために,そもそも計画づくりとは何かという問題提起をし,住民の参加の形をいくつかのパターンにしました。

連載 姫井先生と考える 健康に生き抜くためのヒント・7

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 最近,「自分はいったい何歳まで働けるのだろうか?」と考えるようになりました。周りの人は何歳ぐらいが働ける限界と感じていて,その理由は何だろうと尋ねてみました。企業のなかで尋ねると,定年を無視すれば70歳前後で,その理由は心身ともに限界がそのあたりだというのが大半の意見でした。医療職に尋ねると年齢はばらつくものの,「身体が動かなくなるまで」と答える人がほとんどでした。医療は頭を使う仕事というより身体を使う仕事なのだとあらためて実感させられた結果でした。

 超高齢社会である日本が今後直面する事態は世界で初めてのことばかりです。日本のさまざまな分野は,欧米で確立されたことを手本にして,それをカスタマイズしてきましたが,高齢者の雇用に関連する知見は手本がありません。介護事業では日本が世界の見本となっているように,高齢者雇用の手本となるにはどのような課題を解決すべきでしょうか。

連載 町で暮らし人と出会う・34

90の伯母さん,万歳。 森 まゆみ
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 何千人ものお年寄りの聞き書きをしてきて,どうしてこんなに老化に差があるのか,驚くことが多い。70歳くらいで認知症が入ってしまう人もいる。新内がたりの岡本文弥などは101歳で亡くなるまで頭はシャープなままだった。

 母方の姉は近藤富枝といって『本郷菊富士ホテル』『田端文士村』などを書いた作家である。1922(大正11)年生まれの90歳,しかし記憶は鮮明,打てば響く頭の回転に,私は遥かに及ばない。彼女の下町むかし話を聞くのが大好きだ。

連載 ニュースウォーク・187

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 何ごとも長続きしない質なのに,NHKのEテレ「みんなの体操」と向かい合う朝が2年も続いている。旅先のホテルでも早朝にテレビをつけて体操を欠かさない。健康志向とは縁遠かったはずなのに,われながらおかしい。ラジオ体操歴十数年というわが細君が発信源で,老々介護にならぬよう老々体操のお付き合いである。

 といっても,テレビ画面で模範体操をする女性陣を見まねて10分ほど体を動かすだけ。ラジオ体操について私が知るのは,ほかにその歴史(1928年の逓信省簡易保険局の「国民保健体操」に遡る)ぐらいなのだが,最近,ラジオ体操はもっと奥が深いものと知った。

連載 研究室からのメッセージ・104

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History and Now

どのような機関なのでしょう?

 本学は1973年に雄大な大雪山連峰を望む場所に最北の国立医科大学として開学し,看護学科は1996年に設置されました。北海道の北部に設立された背景には,広域な面積を有し医療の地域偏在が著しい地域の課題があります。本学の教育目標の1つに「地域・僻地住民の医療や福祉を理解し,それらに十分貢献しうる意欲と能力を獲得する」ことが掲げられています。開学以来,多くの医療者を北海道中心に輩出しており,保健師も毎年7,8名程度,道内各自治体に就職しています。地域医療に根ざした教育をめざし,医学・看護学との協働で地域に貢献できる人材育成を行っています。

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 2013年5月に出版されたこの本は,東日本大震災により発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故の直後から,過酷な状況に置かれた保健医療者の貴重な経験と苦悩を,福島県立医科大学の医師らがつづったものです。

 「福島県立医科大学附属病院被ばく医療班」(現・放射線災害医療センター)の人々は,自らの良心に従って原発事故後の過酷な事態に対峙されました。本書には,あの未曾有の原発事故に正面から向き合った唯一の保健分野の教育研究拠点,医科大学の現場の声の集積として,その経過・想いが,心の奥底から絞り出された,生きたメッセージとしてまとめられています。

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保健・医療・福祉のこのひとつきの動き

65歳以上独居男性の17%,会話「2週間に1回以下」

 周囲の人と会話をする機会が「2週間に1回以下」という人の割合が,65歳以上の独居男性では約17%にのぼる―。そんな調査結果を国立社会保障・人口問題研究所が24日に公表した。「2週間に1回以下」は全世代では約2%,65歳以上の独居でも女性の場合には約4%にとどまる。1人暮らしの高齢男性が孤立しやすい傾向が浮かび上がった。

 公表されたのは,昨年7月に行われた「生活と支え合いに関する調査」。福島県を除く全国の1万1000世帯と,20歳以上の約2万1000人が回答した。

今月の3冊プラス1

次号予告・編集後記

基本情報

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保健師ジャーナル
69巻10号 (2013年10月)
電子版ISSN:1882-1413 印刷版ISSN:1348-8333 医学書院

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