研究
携帯電話を利用した「子育て支援携帯ネット」の作成と運用―予防接種に関する情報を中心として
赤星 琴美
1
,
甲斐 倫明
2
,
桜井 礼子
2
,
草間 朋子
2
1別府溝部学園短期大学
2大分県立看護科学大学
pp.736-742
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100184
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■要旨
母親への効果的な子育て支援のためには,個々人の状況に応じたサービスの提供が重要である。本研究では,インターネット対応型携帯電話を活用し,保健師から母親に携帯メールで個別の情報を発信すると同時に,母親は,随時,携帯Webを通してタイムリーな情報を得ることができるネット環境「子育て支援携帯ネット」を作成し,試験運用により有効性を検討した。対象者は,7~10か月の子どもをもつ母親56名。期間は,2003年7~9月までの10週間とし,この期間内に保健師からは週1回のペースで,合計10回の情報発信を行った。評価は,質問紙と予防接種率の比較によって行った。
質問紙の結果は,「とても役立った」が20.5%,「まあまあ役立った」が48.7%であった。携帯電話による情報提供を今後も「ぜひ利用したい」が42.1%,「利用したい」が52.6%という結果が得られ,子育て中の母親からの今後の期待が大きいことを示した。
「子育て支援携帯ネット」参加者の予防接種率は,BCGが94.1%(非参加者の子どもの接種率78.1%),ポリオが79.4%(同54.8%),初回三種混合が94.1%(同65.8%)であり,予防接種率からも「子育て支援携帯ネット」の効果が示唆された。インターネット対応型携帯電話という身近なコミュニケーション手段を用いた個別的な子育て情報のサービスが,時代のニーズに沿った新しい形の育児支援手段として有効であることを示した。
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