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はじめに
フィンランド(図1)は北欧型福祉国家として,母子保健をはじめとした社会サービスが広く行き届いた国である。このような社会環境を反映してか,フィンランドはさまざまな指標で世界の上位にランクされており,セーブ・ザ・チルドレンの「お母さんに優しい国ランキング2014」でも世界第1位を獲得した1)。
このように,フィンランドでは,妊娠期から子育て期に至るまで切れ目ない支援がなされている。この切れ目ない子育て支援の中核をなしているのがネウボラである。
「ネウボラneuvola」とは,フィンランド語で「アドバイスの場所」を意味している(ネウヴォneuvoがアドバイス・情報の意味)。ネウボラは,妊娠期から就学前にかけての子どもと家族を支援するための地域拠点(ワンストップ)であり,かかりつけ保健師(担当保健師)が中心となって支援にあたっている。
今日,このようなフィンランドの子育て支援が,日本においても注目されてきており,「日本版ネウボラ」をめざした母子保健システムを構築する自治体も出てきている2)。
筆者(横山)は,フィンランドのヘルシンキ大学との共同研究を10年近く実施している。その関係で,フィンランド国立健康福祉研究所(National Institute for Health and Welfare)とも共同研究を始めており,フィンランドの母子保健について学ぶ機会を得た。このフィンランド国立健康福祉研究所は,研究機関であると同時に,母子保健をはじめとした国の健康政策に関するガイドラインの作成も担っている機関である。
共同研究者である同研究所のTuovi Hakulinen-Vitanenは,フィンランドにおける母子保健のガイドライン作成にも携わっており3-6),フィンランドの母子保健の専門家である。
本稿では,フィンランドの母子保健の専門家とともに,フィンランドの母子保健システムと切れ目ない子育て支援の中核をなしている「ネウボラ」について紹介する。
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