日本看護医療学会雑誌 19巻2号 (2017年12月)

オリジナル・アーティクル

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要旨

目的:臨地実習指導者(以下、実習指導者)の役割遂行における動機づけとなるものは何かを明らかにすることである。

方法:研究対象者である実習指導者に、半構成的面接法を行い逐語録にし、文脈で切片化した後コードを抽出し、相違点と共通点で比較した後にコードを分類し、複数のコードが集まったものにふさわしい名前を付ける作業を行った。サブカテゴリーからカテゴリーを抽出した。

結果:研究対象者は5名である。実習指導者の役割遂行における動機づけのカテゴリーは【責任感を持ち自信のある指導をしたい思い】【役割から得た充実感と強み】【成長を期待する学生への思い】【過去のマイナス経験とプラス経験】【尊敬する上司が認めてくれる実感】【実習に協力する病棟の雰囲気】【非労働時間の充実】【スタッフに対する配慮・成長を望む思い】であった。

考察:役割遂行における動機づけは、外発的動機づけやネガティブな感情から始まった役割も上司の承認や病棟のスタッフ間の相互関係により内発的動機づけに変わっていたと推測された。

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要旨

目的:アルコール依存症者が精神保健の専門家の支援を求めることへの人びとの態度やその規定要因を性差に基づき検証する。

方法:モニター型インターネット調査で、800名を目途に、性比1:1、年齢は20〜50代で均等割付とした。規定要因の設定では<問題の重大性と意味>から5項目、<支援を求めることへの正当性>から2項目を抽出し、階層的重回帰分析を行った。

結果:回収数は837。【専門家の支援を求めることへの人びとの態度】は肯定的で、規定要因として設定した項目の認識は『回復の理解』を除き存在した。また、全ての項目で女性の得点は男性より高かった。規定要因の検討では、男性で『相当な多量飲酒』『専門的非援助時の予後』、女性で『回復の理解』、に態度との有意な関連がなかった。

結論:人びとの認識が低い断酒の理解を高めると共に、特に男性では、『多量飲酒』への支援の理解を高める取り組みが重要であることが示唆された。

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要旨

目的:愛知県内の病院に勤務する実習指導者の実習指導者経験と学習ニードの実態、およびそれらに関連する要因を明らかにし、実習指導者育成のあり方への示唆を得た。

対象と方法:愛知県内の病床数100床以上の全病院203施設のうち看護部長から承諾が得られた46施設の実習指導者816名を対象に、『学習ニードアセスメントツール─実習指導者用─』21項目を用いて質問紙法で実施した。

結果:分析対象は、454名(有効回答率95.6%)であった。実習指導者講習会の受講者(40.3%)は、実習指導を担うときの勤務状況が専任、自ら実習指導者を希望、実習指導者役割継続意向が高い、自己研鑽の遂行などが有意に多かった。学習ニードは、実習指導者役割継続意向が高い者、自己研鑽や実習指導者責務遂行努力をしている者が、そうでない者よりも有意に高得点であった。

結論:実習指導の役割を担う者には、実習指導者講習会の受講機会を与えることと、実習指導の専任体制を整えていくことの重要性が示唆された。学習ニードは、実習指導者役割継続意向などとの関係が確認されたことから、実習指導者の内発的動機付けを喚起し、自発的に実習指導の役割を担えるよう、本人の意向を反映することが必要と考えられた。

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要旨

目的:愛知県内の病院に勤務する実習指導者の職務エンパワメントの実態と関連要因を明らかにし、実習指導者育成のあり方への示唆を得た。

対象と方法:愛知県内の病床数100床以上の全病院203施設のうち承諾が得られた46施設の実習指導者816名を対象に質問紙調査を実施し、454名を分析対象とした。佐々木&菅田(2011)の『日本語版看護職の職務エンパワメント尺度』4因子31項目を用いて、職務エンパワメントに関連する要因を検討した。

結果:職務エンパワメントは、50歳以上、勤続20年以上、看護職経験30年以上、役職者、教育経験ありの者で、【情報】や【機会】などが有意に高値であった。男性が【情報】以外で、有意に高値であった。実習指導を行う時の勤務状況が専任の【情報】が有意に高く、実習指導役割継続意向H群が、すべての得点で、継続意向L群や不明群よりも有意に高値であった。学習ニードと、【支援】、【機会】、合計点との間で、弱い正の相関関係がみられた。

結論:病院の現状などの情報や研修参加の機会の提供、適切な役割や権限の付与の必要性が考えられた。職場の【支援】【資源】【機会】【情報】のソフト・ハード面の整備や、実習指導者の役割評価について検討することの重要性が示唆された。

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Ⅰ.緒言

 わが国における高齢者人口は、2015年9月時点で3,384万人となり、総人口に占める割合は26.7%(総務省,2015)と過去最高を記録し、超高齢社会となっている。また、認知症高齢者は2012年時点で462万人、高齢者の約7人に1人の割合を占めており、2025年には約700万人、高齢者の約5人に1人は認知症になる(厚生労働省,2012)と推定されている。これに加え、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment;MCI)の人は2012年時点で約400万人、65歳以上の高齢者に占める割合は13%と推定されており(NAGOYAかいごネット,2015)、認知症高齢者数は今後も増加することが予測されている。

 このような背景から、社会全体で高齢者を支えるため、2000年に介護保険制度が創設され、2011年度の改正では「認知症対策の推進」が掲げられた。その中で、認知症高齢者の地域での日常生活や認知症高齢者を介護する家族に対する支援の強化が推進され、具体策として、「家族教室」や「認知症カフェ」の普及が挙げられた。家族教室とは、認知症の人の家族向けの認知症介護教室等を指し(厚生労働省,2014)、行政や全国の医療機関が主体となり開催している。一方、認知症カフェ(以下、カフェ)は、「認知症の本人、その家族、専門職、地域住民など誰もが参加でき、和やかに集うカフェ」(厚生労働省,2012年)と定義され、2013年から国による財政支援も開始された。さらに、2015年4月から始まった「新オレンジプラン」の中でも、認知症の人やその家族等に対する支援として「認知症カフェ設置の推進」が明記され、2018年度からすべての市町村に配置される認知症地域支援推進員が、地域の実情に応じて設置すること(厚生労働省,2014)が国の方針として示された。

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Ⅰ.はじめに

 看護方式は、看護専門職が継続的に入院患者への質の高い看護サービスを提供する仕組みとして欠かせない。櫻井ら(2015)は、看護方式を「病院看護における組織が対象者に対して看護サービスを提供するためのしくみ」と定義している。看護方式には、固定チーム・ナーシング方式やプライマリー・ナーシング方式、モジュール型継続受け持ち方式、機能別看護方式などがある(石山,2015;渡辺,2013)。

 我が国の看護方式は、診療報酬の影響を受けながらも、看護専門職として質の高い看護サービスを提供するために変化してきた(櫻井ら,2015)。近年、新しい方式として福井大学医学部附属病院の開発したパートナーシップ・ナーシング・システム(PNS®)(以下PNSとする)が多くの病院で採用されている。PNSは、「看護師が安全で質の高い看護を共に提供することを目的に、2人の看護師が良きパートナーとして対等な立場で互いの特性を生かし、相互に補完し協力し合って、毎日の看護ケアをはじめ、委員会活動、病棟内の係の仕事に至るまで、1年を通じて活動し、その成果と責任を共有する看護方式(橘,2015)」と定義される。2009年に同病院消化器外科病棟で導入され、2011年から全病棟で本格的な運用を開始した(橘,2014)。その特徴は、パートナーシップ・マインドの3つの心、「自立・自助の心」・「与える心」・「複眼の心」と、3つの要素「尊重」・「信頼」・「慮る」である(橘,2014)。橘(2014)はPNSを導入することで、均一化された看護サービスの提供や看護の安心安楽な提供、インシデント・アクシデントの減少による看護の安全性向上、残業時間の減少、ナースコールの減少、高い教育効果による人材育成の促進(On the Job Training効果、以下OJT効果とする)などの効果を期待できると述べている。

 しかしながら、丸岡ら(2015)も述べるように、PNSの歴史は浅く、その研究目的や方法論、導入による効果・課題点、これまでに行われた研究の手法・デザインなどについての課題(以下研究課題とする)などの科学的な検証は十分に明らかにされていない。看護方式は、提供される看護サービスの質や看護師の労務管理にも影響する。そのため、PNSに関する研究(以下PNS研究とする)の内容を調査・概観し、研究課題を考察することは、今後のPNS研究の発展・促進へとつながり、看護の質向上やより良い労務管理の一助となる可能性がある。

 そこで本研究は、今までのPNS研究の研究内容を調査・概観し、研究課題や方向性を考察することを目的とした。

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要旨

 【目的】がん関連看護論文において、1972年から2017年の研究動向を探ることである。【方法】医学中央雑誌(Web版)の表題に使用された語句の傾向や対がん政策年代別の特徴等について、テキストマイニングの手法を用いて分析した。【結果】12,030件の論文が検索された。対がん政策以前は「術前後の看護」、第1次対がん10か年総合戦略は「看護ケア」、第2次対がん克服新10か年総合戦略は「QOL」、第3次対がん10か年総合戦略は「化学療法」、がん研究10か年戦略では「退院支援」が出現していた。研究内容は、6カテゴリに分類された。大学等所属研究者は「がんの包括的研究」、看護師は「患者との関わり」を主な研究テーマにしていた。【考察】がん看護の研究テーマは、対がん政策と関連し変遷しており、家族を含めた終末期がん患者への看護はがん看護研究の中でも重要な位置を占めてきている。臨床看護師と大学等研究者では、研究テーマの関心が異なっている。

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要旨

 本研究は、中部ブロック管内の中小規模病院に勤務する看護師に対して、研究者らが開発した「大学として取り組むことができる研究支援プログラム」の実践効果を明らかにすることである。本プログラムの展開期は、計4回の集合プログラムと個人プログラムで構成し、各集合プログラムの開始・終了時に質問紙調査とフォーカスグループインタビューを行った。その結果、質問紙調査からは研究対象者の半数は看護研究に関する理解度を低下させたが、インタビューからは【集合プログラムによって明確になる今後の研究の進め方】と【個人プログラムにおける繰り返す研究の行き詰まり】を行きつ戻りつしながら、【看護研究実践への手応え】を感じ、【研究に対する自主性の芽生え】を育んでいることが示された。以上より、本研究支援プログラムは臨床看護師の看護研究の進め方を明確にし、自主性の芽生えに影響する可能性が考えられた。課題としては、研究できる職場環境の整備と集合プログラムの開催時期等が挙げられた。

基本情報

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日本看護医療学会雑誌
19巻2号 (2017年12月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:1345-2606 日本看護医療学会

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