日本看護医療学会雑誌 19巻1号 (2017年6月)

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要旨

【目的】老人保健施設で働く看護師がストレスを抱えながらも就労を継続していくプロセスを明らかにすることである。

【方法】半構造化面接をA老人保健施設の看護師10名に行いM-GTAで解釈分析した。

【結果】27の概念が生成され、12のカテゴリー<葛藤を抱えながらの就労><自己を取り巻く関係性の困難さ><徒労感><逃避・回避><ケア提供者への批判的な思考><自己洞察><老年看護の学び><個々の高齢者を尊重する思いの深まり><ケアチームの力を強化する><メンバーを育てる><その人らしさを尊重したケア><達成感>が抽出された。

【結論】老人保健施設の看護師の就労継続のプロセスが明らかになった。看護師は、≪ストレスを認知≫しながらも、【高齢者の強みに着目】することで≪やりがいを見出≫し、≪自己の成長に気づく≫という一連の過程の中で、就労継続に至っていた。

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要旨

 本研究の目的は、学士課程を卒業した新人看護師の臨床1年目の経験のプロセスを可視化し、そのプロセスにおいてどのような看護基礎教育の学びを活用したのかを明らかにすることである。私立看護系大学卒業後に中規模病院に就職、内科病棟に配属された新人看護師3名を対象に、臨床での経験、学生の時との変化、活用した看護基礎教育の学びについて半構造化面接を実施、複線径路・等至性モデルを用いて質的帰納的に分析した。その結果、新人看護師の1年目の経験のプロセスには、≪看護師であると自覚する≫、≪精神的に落ち着いて仕事ができる≫、≪自らの看護について再考する≫の3つの様相が明らかになった。また、プロセスにおいて活用した看護基礎教育の学びは、『時間管理』と『基礎看護技術』、『チーム医療』、『看護過程の展開』であった。看護学生から看護師へのスムーズな移行に向けて、これらの看護基礎教育での学びを活用できるような卒後研修や支援体制を検討していくことが望ましい。

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要旨

 集中治療から終末期へと移行した患者の家族ニードを明らかにすることを目的として研究を行った。国内文献データベースである医学中央雑誌(Web版Ver.5)を用いて過去28年間(1986年〜2014年)で検索を行い8件の文献を対象とした。急激な変化をたどった患者の家族は、「いつまでも生きていてほしい」と願い、「患者に触れ回復を願う」ことを希望していた。終末期へと変化したときには「何とか助けてほしい」という思いを抱きながらも「親しい人々に見守られ、穏やかに自然な死を迎えさせたい」、「患者を不憫に感じこれ以上傷つけたくないと思う」といった患者の安楽に関するニードも抱くようになり、生命への希望と安楽という2つのニードを抱いていた。

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要旨

 中・小規模病院に勤務する看護師の、看護基本技術の革新経験の実態とそれに影響する要因を明らかにするため質問紙調査を実施した。200床未満の病院32施設1,082名を対象にし、449名(回収率80.3%・有効回答率51.7%)を分析対象とした。看護基本技術の革新の必要性を認識しており、実際に革新経験のある人は57.9%(260名)であった。きっかけは「受け持ち患者等に実施して問題があった」、「教育的役割についた」であり、問題解決や役割遂行の必要性に迫られて革新していた。影響する要因は「年齢」、「経験年数」、「看護研究発表(院内)」、「看護研究発表(院外)」、「研修参加」、「学会参加」、「転職」、「異動」、「教育系役割」、「学生指導役割」、「雑誌購読」の11項目であった。多重ロジスティック回帰分析により、革新に対して「看護研究発表(院内)」、「転職」、「看護研究発表(院外)」、「学生指導役割」が影響しており、これらの役割や経験を持つ人の支援や活用が、革新の促進につながる可能性が示唆された。

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概要

 本研究は、消化器系手術を受けた患者が術後早期に回復を実感する時期とその要因を明らかにすることを目的に面接調査を行った。対象者の条件は、近畿圏内のA病院に入院している患者で、術後にカテーテル類が全て抜去され、術後合併症がないがん患者とした。対象者は10名(男性7名、女性3名)、平均年齢は75.3歳であった。回復を実感する要因は多い順に、①痛みの消失、②動ける、③食事、④医師の話であり、特に男性患者は医師の話から回復を感じる傾向にあった。回復を実感する時期は平均4.8日、ドレーンの有無は必ずしも影響していなかった。回復を実感した時の気持ちは多い順に、①すっきり、②吹っ切れる、③明るい、④晴れやか・喜ばしいであった。術後患者が回復を実感する要因は、痛みや体に挿入されている管から解放されて動けることが最も重要であり、回復を実感する時期は要因と関係が深かった。また男性患者は、医師に対する信頼感が強く、医師の説明内容で回復の実感が左右される傾向にあった。退院促進への看護援助は、患者が回復を実感し、明るい気分になっている時期に行うことが効果的であり、患者個人の実感を重視した患者理解が重要と考える。

基本情報

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日本看護医療学会雑誌
19巻1号 (2017年6月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:1345-2606 日本看護医療学会

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