日本看護医療学会雑誌 20巻1号 (2018年6月)

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要旨

 本研究は、身体疾患を有する患者の首尾一貫感に着目した国内外の研究の動向と今後の課題を見出すことを目的とした。国外では北欧を中心に活発な研究が行われており、国内での報告も増えている現状があった。ただし、患者の首尾一貫感が前向きにどのような影響を及ぼしていくのかについての報告は少なかった。患者の首尾一貫感に影響する変数についての報告として、年齢、性別、教育歴、婚姻状況、疾患の種類、罹患期間、身体活動制限、支援者の存在の有無があった。一方、患者の首尾一貫感が影響を及ぼす変数についての報告として、ストレスへの対処戦略、身体の状況があった。なお、QOLと精神状態は首尾一貫感とお互いに影響しあう関係にあると考えられた。これらのことから患者の首尾一貫感を支える支援の必要性が示唆された。今後の課題として、患者の首尾一貫感に影響する支援内容を明らかにする研究の蓄積が挙げられた。

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Ⅰ.はじめに

 2016年3月28日より同年7月1日まで、名古屋大学大学院における「ウェルビーイングinアジア実現のための女性リーダー育成プログラム」の一貫として、「独立行政法人国際協力機構JICAカンボジア事務所社会開発班(以下、JICAと記す)」でのインターンシッププログラムに参加した。また、翌年2017年4月18日より同年7月11日まで、研究調査のため、プノンペンに滞在した。二度にわたる約三ヶ月間の滞在を通して、JICAでのプロジェクトに携わる専門家や政府関係者、国際機関関係者だけでなく、JICA青年海外協力隊(以下JOCVと記す)、JICAシニアボランティア(以下SVと記す)、在カンボジア医療者勉強会に属する複数のNon-Government Organization(以下、NGOと記す)スタッフと出会い、数箇所の保健医療機関を視察する機会にも恵まれた。今回の滞在期間中に視察した保健医療機関は、首都プノンペンの国立病院3箇所と国立輸血センター、コンポンチャム州病院、タケオ州病院、その他日系の私立医療機関数箇所である。全ての保健医療機関において、JICA専門家、JOCVやSV、支援に携わっているNGOスタッフの内、いずれかに該当する者の同行のもと、視察を実施した。視察の他に、JICA職員、JICA専門家、JOCV、SV、NGOスタッフらとカンボジアの保健医療について学び、意見交換をする機会を複数回得た。本稿では、現地での滞在を通して得られた、カンボジアにおける保健医療の現状と課題、支援のあり方に関する知見を報告する。

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Ⅰ.緒言

 本研究では、自然災害被災者の心的外傷後成長に関するテーマを扱う。過去半世紀のわが国の災害の事例から、自然災害が多いことが指摘されている(高橋ら,2015)。この自然災害は、予期せぬなかで、時に甚大な被害に及ぶこともあり、多くの人びとの生命や生活が危機的状況に陥ることもある。また、このような出来事は被災者にとって耐えがたい苦しみの体験につながる可能性がある。

 人は苦しみの体験から、ネガティブな心理的影響を受けやすい。被災時に想定される急性ストレス障害(ASD:Acute Stress Disorder)や心的外傷後ストレス障害(PTSD:Posttraumatic Stress Disorder)などもその一つと言えるだろう。その一方で、この苦しみの体験から生ずることのある「こころの成長」は、あまり知られていないように思われる。近年提唱された概念にPTG(post-traumatic growth)がある。PTGとは、宅(2016a)により“「トラウマティック」な出来事、すなわち心的外傷をもたらすような非常につらく苦しい出来事をきっかけとした人間としてのこころの成長を指す(Tedeschi et al., 1996)”と紹介されている。このようなPTGの存在は、必ずしも苦痛を減じたりウエルビーイングを増すものではないが、人生をより豊かに充実して意味深く生きることができるようになるという示唆もある(Calhoun et al., 2006/2014)。PTGは、周囲や社会が期待するものではないが、私達が人の心の理解を深めていく上で重要な概念と考えられる。

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要旨

 本研究の目的は、2型糖尿病患者の食事の自己管理行動と、HbA1c値、自己効力感、ソーシャルサポート、負担感との関連を明らかにすることである。2型糖尿病と診断された入院・外来患者111名を対象とし、質問紙と診療記録より調査した。

 その結果、血糖コントロール良好群は不良群と比べて、「摂取量を決めて食べる工夫」、「他の価値観を優先して食べることはない」、「無意識に食べてしまうことはない」、「過食を重ねない」の食事の自己管理行動得点が有意に高かった。また、自己効力感とソーシャルサポートの行動サポートの高値群は、低値群と比較して、食事の自己管理行動得点が有意に高かった。負担感の低値群より高値群の方が、「無意識に食べてしまうことはない」の食事の自己管理行動得点が有意に低かった。食事の自己管理行動を継続するには、自己効力感を高める関わりと行動サポートが得られるような環境を整え負担感を軽減する必要がある。

基本情報

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日本看護医療学会雑誌
20巻1号 (2018年6月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:1345-2606 日本看護医療学会

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